進めない
普段神社の方までは行かない3人
近づく度に足が重くなる。
紗奈「なんだか…雰囲気が暗くない?」
菜々花「確かに…」
愛依「もしかして後ろにいるかもよ?」
菜々花「愛依こんなとき冗談でも言わないでよ。」
愛依「もしかして怖がってるの?」
菜々花「そんなことはないけどさ、なんかでもさ、もしさ、もしだけどさ、怖いドラマとかって大体こんなシーンないっけ?」
紗奈「…そうだよね。じゃあさ、みんなで一緒に振り返ろう??」
愛依・菜々花「うん…」
紗奈「せーの!!」
菜々花「まっまって!!ちょっと待って?でもさ、こういうときって大体後ろが気になって後ろみるけど、何にも居なくて前を振り返った瞬間、目の前にいるってこともあるよね?」
さっきまであんなにウキウキだったのに、自分達が怖い映画の主人公みたいな気がしてきていることを、言葉に出さなくても同じ気持ちになっていることに気付いたし、これ以上言葉にしてしまったらと思い3人は無言で足を止めた。
それに、今までは確かにしていた、蝉の声も鳥のさえずりも葉っぱが揺れる音さえも何もしない。
まるでこの世界に3人しか存在しないかのように静まりかえっている。