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ダークヒーロー  作者: 月夜ノ歌
1/1

犠牲者


「次はアンタか」


「また、初めから話せばいいのか?」


「いいさ、何もしないのは退屈だ それに一人でも多くの人に聞いて欲しい」



「私が、した事を…」




スーパーヒーローが世界を救う


悪人をやっつける



しかし、差別はなくならなかった


    戦争もなくならなかった


    戦争に参加したヒーローもいた


    ヒーローは武力であり、兵器であり、権力となっていた



    学校のいじめもなくならなかった


    働き過ぎて、ある日病気になり、報われずに死んでいく人の数は増えた


    世界の人口は100億を超えた



    とっくに限界だったんだよ


    1999年、来ていたんだ アレは 本当に


    恐怖の大王は来ていたんだよ。




1000万人に一人、特別な力を持つ者が誕生した



私は、その一人だった



しかし、力が完全に目覚めたのは17くらいの時だ


それまでは、力の弱い 運動神経のない少年


クラスでも馬鹿にされていた


信じて相談した優しくて若い女の先生がいた


その先生は『絶対になんとかする!私が守る!』と、約束してくれた


いじめ…って、程でもないが 自分としては辛かった


からかわれる回数も増えていた



何日かして、馬鹿にしてきたクラスメイトの親が呼び出され、自分も呼び出された


部屋の中、親同士と自分、アイツと 相談した若い先生 学級主任の先生がいた。



相談していた先生が、私の気持ちとして 私の相談内容をペラペラと話始めた


「言っていいかな?」


何をかわからないまま、唐突に問われ 「はい」と答えてしまったような気がする。


一瞬の出来事で自分がミスを犯したと気付くのは遅かった


「え…?」



( ここだけの話、正直な気持ちを伝えて欲しい、他の人には言わない )


その前提で話した気持ちが、先生からどんどん吐露される


恥ずかしかった、自分の心の内を晒されているような気分になった



もう、馬鹿にされたとか そんな事はどうでもよくなっていた


裏切られたような気持ち、信じた先生に


しかも先生にその自覚はない


”悪気”がない


先生は”正しい事を”していると思っているのだ。



確かに、揉め事の解決に絶対の正解はなく


互いの気持ちを率直にぶつけるのは、一つの方法かもしれない



私の心が傷つく


それ以外を覗いて、何の被害もない



先生にとっては、その程度だったのだ


私との(ここだけの話、本心)というのは


その後の話し合いは、よく覚えていない






私は、学校に行けなくなった





「ああ、すまない あまりに昔の話過ぎたか」


「でも、頼むから聞いてくれよ」


「ここが、一つの大きな要因だったと 今は思うんだ…」




「ちなみに、今わかってるだけの 私の被害者の数は?」



『 死者は、34225人です。』





「そっか、もう少し 殺したかったな」




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