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第二話 SF(少し不思議な)幼児

 「ヘリオス、朝じゃぞ、起きてきなさい。」

じいさまの起床を促す声が聞こえてきた。

もうすっかり慣れた固いベッドから身を起こす。

「起きたよ、今行くー。」

ベッドから降り、着替えを始める。


僕が拾われて2年が過ぎた。

2歳になった僕は軽く走ることまで出来るようになった。

この世界について僕が知ったことはまだとても少ない。今僕がすんでいる村がどこの国にも属していない危険な森の中にある村であること。

なぜどこの国にも属していないのかは、教えてもらえない。子供に聞かせる話でもないのだろう。


着替えを終えた僕は部屋を出て階段を降りていく。


「朝食は出来てるぞ。早く食べなさい。」


僕を急かすくすんだ赤い髪を持った初老の男性は僕を拾ってくれたリュウヘムじいさま。

初老とは言ったが、その見た目は三、四十代程度でそのムキムキの筋肉は二十代と言っても通じるだろう。


「うん、いただきまーす。」


赤ん坊に転生した影響か言動まで幼くなったような気がする。 


今日の朝食も目玉焼きとパンに牛乳といういつものメニューだ。

朝食を食べ終えると、食器を片付け外に遊びに行く。

この世界が中世に近いと言っても2歳の子供を働かせるほど悲惨な状況ではないからだ。


「じゃあ、行ってきまーす。」


「あぁ、いつも言ってることだが森に入るんじゃないぞ。」


そう言いながらじいさまも出かける準備をしている。じいさまの仕事は危険な森の中の魔物を間引くこと。

村の人たちが言うにはじいさまはかなりの実力者らしい。


家を出て空き地へと向かう途中、隣の家具屋のモービレおじさんがいた。


「おじさん、おはよう。今日もいいひげしてるね。」


「あはは、おはようヘリオス。褒めても椅子やベッドしかだせんぞ、俺は。」


「それで十分だよ。」


挨拶を交わした後また歩いて空き地へ向かう。

空き地に近付くと子供の泣く声が聞こえる。

きっといつも通りクライビーが泣いているんだろう。そそっかしくておっちょこちょいの彼はいつも転んで泣いているから。

空き地に着いたことで僕の予想は当たっていた事が証明された。

空き地には泣きわめいている子供が一人、その周りには何をしたらいいか分からないのだろう、オロオロとしているよく似た男女の子供が一組。そして泣いている子に話しかける女の子が一人。いつもの光景である。


「やぁ、また怪我したのかい?あれほど転ばないように注意したのに。」


そう声をかけると泣く彼の周りにいたよく似た二人が説明してくれた。男の子の方はソウ。女の子がアンナだ。二人は双子でいつも一緒にいる。両方茶色の髪にエメラルドのような色の目をしている。


「クライビーは転ばないように下は見てたんだよ。」


「そうなのよ。でも下ばかり見て頭を木にぶつけたのよ。」


「あぁ、そういうことで。」


事情は理解したがやはりおっちょこちょいというか何というか。


ところで僕には不思議なところがいくつかある。

前世の記憶を持ったまま今世を謳歌していることは勿論不思議だが誰にもそれを言っていない。当たり前だろう。急に子供が前世の記憶を持ったまま生まれ変わったといったら周りの人間は頭がおかしくなったか、そんな題材の物語でも読んだのかと微笑ましい目で見るだろう。誰だってそうする。人事だったら僕だってそうする。

もう一つ不思議なことは薬になる植物などに関して知識があると言うことだ。正確には医療関係の知識が備わっている。前世にそう言ったことを知っていたわけではないが、何故か植物の効能などが分かるというのだ。

そしてこのようなときに、こっちの能力が役に立つ。

この村は森の近くにあるどころか森の中に村があると言っても過言ではない。だから、効能のある薬草などは探せば見つかる物だ。この空き地も森の隣にある立地上、探せばあるものだ。

そう思い、周りを眺めるとやはりあった。鎮痛効果のある薬草であるシュメルツ草だ。一見するとただの野草だが。

それを引き抜き、茎を折り断面から出てきた汁をクライビーの額につける。


「ほら、いつものやつ。ちゃんと後で水で流しておくんだよ。この調子でいったらここら一帯の薬草がなくなっちゃうよ。もうちょっと慎重に行動してね。」


「うん、いつもありがとう、ヘリオス。でも僕としては注意しながら行動してたんだけどねぇ。」


「いくら注意してても結果がそれじゃあねぇ。とりあえずもっときっちりと行動しなさいよ。」


そう言っているのは先ほどまでクライビーに話しかけていた女の子、セレーナだ。小麦のような長い金の髪に青色の目をした少女だ。将来は美人間違いなしだが、先ほどの言葉の通りきつい性格をしている。


「まぁ、とりあえず一段落したから今日は何をして遊ぼうか。」


そうしていつも通りみんなで遊ぶのだった。



















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