第一話 絶望からのスタート
すいません、私事でゴタゴタがありまして書けていませんでした。これからはある程度コンスタントに書けるよう努力していきます。
気づいたら揺られていた。目は良く見えない。赤ん坊らしいから当然だろう。
「仕方の無いことだ。」
「ええ、そうね。」
何か話している声が聞こえてくる。異世界に行くというのは成功したのだろうか。
「髪が白い。神々に祝福されていない証だ。この子には悪いが捨てるしかない。」
「忌み子だものね。こちらまで被害が来たらたまらないわ。」
その会話の内容を聞いてぞっとする。何故こちらの言葉が分かるかとかそういう疑問が吹っ飛ぶ位の衝撃を受けた。
忌み子? 捨てる?
運が悪いとは聞いていたがそんなレベルの話ではない。
しかし、僕には何もすることができない。ただの無力な赤ん坊なのだから。
そのまま揺られたままどこかに置かれた。木々のさざめきしか聞こえない。どこかの森だろうか。
「ごめんね、でもあなたが悪いのよ。忌み子なんかに生まれるから。」
そう言いながら足音は遠ざかっていく。
今の心境は絶望でしかない。このままここで餓死するか、それか熊や狼でも出るなら食われることになるだろうか。
どれくらいたっただろうか。十分程度かも知れないし数時間たったかもしれない。
ザシュッ ザシュッ
不意に足音が聞こえてきた。足音は近付いてくる。ついに僕のすぐ隣で足音は止まった。
足音の主を確認することさえ今の自分には出来はしない。
「こんな所に赤子。白い髪、捨て子か。」
そんなことを言っている声が聞こえてくる。
初老の男の声だろうか。そんなことを思っていたところ急に持ち上げられる感覚がした。
「可哀想に、神の加護がないとは。忌み子としてここにすてられたか。」
神の加護がないから苦労するとは聞いていたが、赤ん坊が捨てられる程か。これから僕はどうなってしまうんだ。
「今となっては、わしにはそんなことは関係ない。怖かったろう、今日からはわしが家族だ。」
へっ? 家族? この声の主は僕を拾ってくれるらしい。
良かったが、驚いているところそのままその声の主は僕を抱きかかえたままどこかへ歩いて行く。
結構な時間がたった。いや、そうおもっているだけですぐ着いたかも知れないが。
「どうしたんですかい、リュウヘムさん今日はやけに早い帰りじゃないか。」
そんな風な男の声が聞こえてきた。
「森の中に赤子が捨てられていてね、今日から私に家族が出来るよ。」
そんな言葉が僕の上から聞こえた。
「へぇ、なんで赤ん坊が捨てられてぇ 確かに事情持ちはいるだろうし、珍しい事じゃなかろうが……そういうことですかい。」
男は疑問を持っているようでこちらに近付いてくる音がした後、手が僕の頭を軽く触り僕を包んでいた布をどかした後、男は納得したようだった。
「白髪ですかい。そりゃ捨てられるわけだ。まぁうちの村には関係無いことですがね。それよりもリュウヘムさんきちんと子供育てられるんですかい?」
「問題ないと思うよ。もうずっと前のことだが子供を育てたこともある。昔とった杵柄はあるさ。」
「なら、大丈夫でしょうかね。」
「じゃあ、入ってもいいかな。」
「もちろんでさぁ。さ、どうぞ。」
そんな会話をしたあと、また歩いていく。
その後、わいわいと騒がしい場所を通り抜けながら時たま先ほどと同じ内容の会話を人としながら僕を抱いた男。さっき、リュウヘムと呼ばれていたな。が歩いていく。そしておばあさんらしき声の人物から牛乳を買うと、目的地に着いたようでドアの開く音がして屋内に入るとベッドらしき物に寝かされた。
「さ、これでよしと。赤ん坊用の新しいベッドがいるな。後で家具屋のモービレに作ってもらうとするか。おなかもすいてるだろう。どの位あそこに放置されていたか分からないしな。」
そう言った後、僕の口元に何か当たっていた。今の話からさっき買っていた牛乳だろう。喉が渇いているのか、それとも腹が減っているのか、よく分からないがとにかくそれを僕は夢中で飲んだ。
「はは、言い飲みっぷりだな、君は。ふむ、いつまでも名前がないのは不便だな。そうだな、ヘリオスだ。君の名は今日からヘリオスだ。」
そう喜ばしそうに初老らしき男は言う。
これが、じいさまとの初めての出会いであり、ヒドリド村へ来た日。そして、ヘリオスとしての人生のスタートであった。