プロローグ2
「いやぁ、災難だね。君らの教室にいた人間は異世界に行くことになった。」
突然、そんな声が聞こえてきた。おそらく人型の火のひとつが身振り手振りしているのでそれが今の言葉を言ったのだろう。
異世界? そんな突拍子もない言葉が目の前の光景を見ると不思議とストンと納得できる気がする。
異世界に行く
そんな類いの話は人並みには読んだことがあるがまさか自分が異世界に行くときがくるとは思わなかった。
「えっと、いろいろと聞きたいことがあるんですけど」
とりあえずは下手に出た態度の方が安全だろう。
「まぁ、聞きたいこともあるだろうけどとりあえずはこちらの説明を聞いてからでもいいかな。それで分かる事もあるだろうし。」
さっきと同じ個体が答えてくれる。主にこちらに話すのはこの個体なのだろう。説明してくれるならそれでいい。
こちらがうなずくのを確認して向こうが話を続ける。
「むかしむかし、神々が君らの世界にいて神の統治で世界が成り立っていた頃の話。
神の統治はほぼ完璧であらゆる生物が豊かに暮らしていた。地域毎などに神々が分かれていたのでその問題もあるときもあったが、表面上穏やかにすごしていた。
しかし、ある時未来予知が出来る神達はあることを知ってしまった。」
一旦、そこで区切る火の人型。こちらの反応を見ているようだ。
「何をですか?」
こちらからの質問に気を良くしたかのように答えが出された。
「遠い未来、統治者の神々がいなくなり人が世界を支配するということさ。神々は驚いた。そして嘆いた。
それほどまでに彼らは自らが造った我が子らを愛していたから。自らの手を離れるなんて考えられなかったのさ。落ち着いていた神もいたみたいだけどね。当然、神々は話し合うことになった。中には、人を全て消すべきでは無いかとうい意見も合ったそうだよ。」
神々の中にも過激な方というのはいるらしい。
「しかし、その案は採用されることはなかった。神々が造った中でも自らに似せて造った人を神々は特に愛していたから。
結局、神々はそれぞれの派閥で決定が違った。
それは自らの子達の巣立ちの時だろうと納得して見守る事に決めた神々。
絶望したか未来に希望を見いだして眠りについた神々。
そして、 必ずや戻ってくると決めてひとまず力を蓄えに異世界へ旅立った神々。
今回の話はこの異世界にいった神々が原因さ。」
「それがどうなれば私達が異世界に行くということになるんですか?」
「そうだよね、そこが気になるよね。
言っただろう。神々は全員仲良しこよしではなかったって。
異世界に行くときもみんな一緒に行ったわけではなかったのさ。
そしてある異世界に行った神々はある理由でその世界に生物が住める状況ではなくなってしまった。
苦渋の選択でその世界の住民を連れて神々は別の世界へ行った。
しかし、運が悪いことに移った先の世界は別の神々が行っていた世界だったのさ。
そこの世界にいた神々は新しく来た住人達を愛しの我が子とは認めなかった。人たちも自分たちとは違う所がある新人達に拒否反応を示した。
しかし、新人達もすむところがいる。認められないなら奪うしかないこともあった。あとはあれよあれよとういまに戦争さ。
人対人。 神対神。」
異世界は相当悲惨なことになっているようだ。
「停滞した戦争に嫌気がさした神々は元の世界から人を呼んで自分の力を貸して戦うことにした。致し方ないってね。神対神といっても神が直接戦うなんてしたら世界がどうにかなるからね。君たちが連れてこられる訳はそういうわけさ。連れてこられる人は君たちがいた教室のあの時、あの場所しか無理だった。」
「じゃあ、たまたま自分たちが選ばれたって事ですか?。」
「違う。偶然ではなく必然さ。 言っただろう?未来予知が出来る神々がいると。
なぜ必要かは神が強く介入するから予知できなかったけど神代の神々はそれぞれその時に合わせて特別な個性を持った人間がいるようにしたのさ。
あとは必要な人材を優先度を指定し、魔法陣を造ったのさ。
その時にその場所でしか無理だから双方ね。両方から選ばれなかった巻きこまれた者がいるんだよ。君は巻きこまれた側さ。」
巻きこまれた側と言うことは必要な人材ではないと言うことか。じゃあ、僕はどうなるんだ。目の前の人物はだれだ?
「じゃあ、あなた方は何者なのですか?」
「僕たちは神代からの英雄達さ。
僕たちは魔法陣の優先度から外れた者たちに力を貸すためにいる。
神々に選ばれなかったけど巻きこまれた者たちにね。
他にも数名、他の子達に他の英雄が手を貸すよ。」
そのまま放り出されるわけではないらしい。そこは安心できる。
「僕たち英雄の目的はそれぞれ違うけど神々とは違う思惑でいる。神に反抗するためとかね。
僕としては君たちを助けたいというのが第一なんだけどね。
神に個人的に恨みもあるけど。
僕たちがいなければ選ばれなかった君たちは説明なしに弱い状態で異世界に飛ばされる事になる。 あんまりだろう?」
「じゃぁ、自分は何を異世界ですればいいんですか?」
「自由に過ごしてくれていいと僕は思うし、ここの二人もそう思っている。まぁ、力がある方がどちらにしろいいとおもうから頑張ったほうがいいけどね。」
今までの話を聞いた限りどうにもならないのだろう。覚悟を決めるしかない。
「分かりました。どのような形で向こうに行くことになるか教えてもらっていいですか?」
「赤ん坊からになる。僕たちの力があるから普通より強くなれるけど運は悪いかもしれない。神の祝福がないからね。
向こうの魔法陣に便乗してる形だからそろそろ時間がない。
僕たちは君の中にいる。随時、必要な事は向こうで話そう。じゃあ」
そう言って三つの火の玉は僕の中に入ってきた。熱くは無いが暖かい。そんななか意識がまた薄れていく。