プロローグ 1
初投稿です。なろうの機能にも疎いので不手際もあるかも知れませんがお願いします。
窓から光が入ってくる。
普通ならば清々しく感じるだろうが、今の僕には忌々しくも新しい日が来てしまったとしか感じられない。
今日も行きたくもない学校へ行き、息の詰まる生活を送るのかと思っていた。あの教室の床に出現した白と黒の魔導陣を見るまでは。
朝起きてから、着替えて階段を下り一階へ行き、朝食の準備をし食べる。この間、人と会うことはない、いつものことだ。両親が物心つく前に交通事故で失い兄弟もいない自分は天涯孤独の身なのだから。引き取ってくれた叔父夫婦には感謝しなければならないだろう。あまり、育ててもらっているという感覚では無いがおいてもらっているのだから。
そして、学校に行き、いつも通り授業を受ける。
授業の合間、休み時間の中それぞれの集団に分かれ暇を潰している。
次の授業のため準備をしている者、適当におしゃべりをしている者、様々だ。
五人ほどに囲まれて喋っているのはクラスのなかのカースト最上層の金桜だ。いかんせん悪い奴ではないのだが、いきすぎた明るさと人の良さはそれだけで日陰の者を傷つける存在だ。
他に目立ったのは教室の前の方で三人ほどで固まっている中の一人の蒼井だ。銃などの軍事関係が好きないわゆるオタクという奴だ。しかし、分かりやすくオタクと分かるような感じではなく、普通に明るいカースト上層の者。
後はクラスで一番の美人の吉田さんなどだろう。
そんなことを思っている自分は一人だけで教室の後ろの方で次の授業の準備をしている赤野 太陽。今は彼らとはほとんど関係が無い日陰の者。昔はそうでもなかったが、いつ頃からか人と接する事が苦痛になってきて、この有様だ。
人の愛情という物を実感したことがないせいだろうか、ある程度までは仲良くなれるがいつも一定の線が引かれたようにこれ以上仲良くなれなくなるのだ。毎度、この調子では諦めてしまうのも無理はないだろう。
教室の中には15人ほどがいて後5分ほどで授業が始まる。そんな時だった。嫌でも続く日常が崩壊する光景を見たのは。
突然、床に白と黒で描かれた魔導陣のような物が現れた。みんな何事かと右往左往している。しかし、誰かが教室から出ようかする前にひときわ強く魔導陣が光を放った。意識が薄れていく。その時、僕の目には白と黒の一つの魔導陣というより二つの魔導陣が重なっているように見えた。
目を覚ますとそこは何も無い暗い場所だった。そして目の前には白い火でできたような人間の形をしたような物体が三ついる。不思議と熱さは感じない。
なんとなくそれらはこちらを見ているような気がする。
「いやぁ、災難だね。君らの教室にいた人間は異世界に行くことになった。」