表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/22

僕たちのハードル

「具合悪いの?大丈夫?」


「うん、ちょっと車に酔ったかな」




饅頭の食べすぎだということは伏せた。




「酔い止めの薬貰ってこようか」


「いや、いいんだ。ちょっと寝たら治ると思う」




胃薬なら欲しいのだが、それは言えない。




「いいよ、寝てて。私は適当にしてるから」


「ありがとう」




意外と素直に僕を寝かせてくれた君に感謝しながら僕は目を閉じ、先程のフロントでの出来事を思い返した。


「はい、田中くんあと書いて」


さっき君が僕の名前を呼んだ。君が僕の名前を呼んだんだ。




僕たちはなんとなく気恥ずかしくて、お互いの名前を呼べずにいた。


ずっと「ねえ」とか「君」ってごまかしながらやってきたよね。でも違和感を感じていた。少なくとも僕は。君もきっとそうだと思う。




僕たちがまず越えなくちゃいけないハードルって、これだったんだ。


これまでの自分の妄想や、電車の中でしたプロポーズが急に恥ずかしくなってくる。




君は僕よりずっと地に足がついていて、大人だ。不甲斐ない僕に見せるため、先にハードルを超えてみせたんだから。


千歳さん。千歳さん。僕は千歳さんが好きだ。僕は千歳さんに好かれたい。千歳さんに愛されたい。千歳さんと抱き合いたい。


千歳さん、僕は君と……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ