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女神新生 俺と彼女の世界変革の時

さあ、はじまるザマスよ!

いくでガンス!

フンガー!


ここで「真面目にはじまりなさいよ!」というか、「うるさーい」というかで大体の世代がわかる。


※サブタイはいつも通り適当です

 まず状況を整理しよう。

 零士たちは一度、南極へ混沌神を倒すために旅立った藤堂たちを見送り、それから12月31日までの日々を不安を押し殺しながらも、今まで通りの日常を送る。


 そして、来たる12月31日。世界は唐突に滅びた。

 そうなってしまったということはつまり、藤堂たちが失敗したということに他ならない。

 だがそんな最悪の事態を見越して、藤堂たちが南極へ出発する直前に、時を(さかのぼ)れる魔法のカメラでその場にいた全員の姿を撮影しておいた。


 時間逆行の条件は『あの時をもう一度』というキーワードを、撮影者か、被写体になった人物が唱えること。

 これは被写体が複数人いる場合、その内の誰か一人でもキーワードを唱えればカメラの力が発動して、対象となる人物全員を過去へと遡らせる。


 だが、それでも世界は滅びた。

 ということは、8人もいたレベル99のSランク探索者全員が、キーワードを唱える間も与えられずに死んでしまったということだろう。


 なお、零士たちのレベルは、時を遡ってきた時点で12月1日午前11時22分19秒の状態へとリセットされている。

 現時点での彼らのレベルは、


 零士、レベル56

 華恋、レベル58

 美香、レベル55

 マックス、レベル55 

 剛、レベル56

 トミー、レベル55


 なお、リリカはアンドロイドなのでレベルは上がらず、日向と朔夜も神になった時点でレベルは上がらなくなっている。

 そして当然、今日より先の未来で入手したアイテムは全て消滅していた。


「ぐぬぬぬ! まさか時の牢獄に閉じ込めてくるなんて! 完全にやられたでごじゃる」

「お手上げ」


 日向と朔夜が人形のように動かない藤堂たちの足元をぐるぐる回って、悔しそうに歯噛みする。

 二匹とも一応神格を持つ神の端くれではあるが、圧倒的に格上の混沌神の力の前ではどうすることもできないようだった。

 となると、現状を打破できそうな可能性があるのは、リリカが解析中の謎のUSBメモリくらいだろうか。


「――――――で、解析は終わりそうか?」


 ひとまずの現状把握と状況整理を終えて、ボケーっと突っ立ったままのリリカに零士が訊いた。

 暗号の解読にリソースの殆どを割いているのか、反応がイマイチ鈍く、表情筋がのべーっとだらしなく垂れて、目の焦点も合っていない。……本当にこんなのに任せて大丈夫なのか?


「……うぁ。オレサマ、オマエ、マルカジリ」

「おい本当に大丈夫かお前!?」

「すぐにけせすぐにけせすぐにけせすぐにけせすぐにけせすぐにけせすぐにけせすぐにけせすぐにけせすぐにけせすぐにけせすぐにけせすぐにけせすぐにけせすぐにけせすぐにけせすぐにけせすぐにけせすぐにけせすぐにけせすぐにけせすぐにけせすぐにけせすぐにけせすぐにけせ」

「ちょ!? リリカバグってないこれ!?」


 突然壊れたみたくカタカタと震えだして、同じ言葉を何度も繰り返しはじめたポンコツ妹に美香が悲鳴を上げた。

 ……と、明らかに異常をきたしているリリカを前に六人が戦慄していた、その時。


「――――――チーン! 解析完了! おえーっ、か~ッ、ぺっ!」


 電子レンジみたいな音を出したリリカが、(たん)でも吐き出すみたく口からUSBメモリを床にペッ! と吐き出した。汚い。

 床に転がったUSBメモリは、まるでその役目を終えたかのようにサラサラと魔力の粒子となって完全に消滅した。


「ねぇリリカ本当に大丈夫!? 壊れたりしてないよね!?」

「ハイ。リリカはこの通り正常でありマス」


 無駄にキレのある無駄のない無駄な動きでガッシャンガッシャン腕と足を開閉するリリカ。

 ……口調もなんかおかしいし、明らかに様子が変だ。


「うわーん! リリカが壊れちゃったぁー!」


 意味のない動きを繰り返すいっそ哀れな妹を抱きしめて美香がボロボロと涙をこぼす。

 元々ポンコツだったが、とうとう本当のガラクタになってしまったかと、零士たちもあんまりすぎるリリカの最後に目を伏せる。……が。


「ふひひ……たまんねぇ」

「って、ちょっとやだ!? どこ触ってんの!?」


 胸の谷間に顔をぐりぐり(うず)めて、尻や太ももをいやらしい手つきで撫でてくるリリカを、顔を真っ赤にした美香が肩を掴んで引きはがす。

 さしもの高性能アンドロイドとはいえど、高レベル探索者のパワーには勝てず、いやいやと首を振って抵抗するも、とうとう両脇に手を差し込まれて抱え上げられてしまった。


「……リ~リ~カ~?」


 ジトッとした視線を向けられてとうとう観念したらしいリリカは、ふぅと一息吐いてから、


「……てへっ☆」


 ぺろっと舌を出しつつウインクで誤魔化した。所謂、『てへぺろ』である。

 どうやら今までセクハラしたいがために壊れたふりをしていたらしい。


「もうっ! たちの悪い冗談やめてよ! 本当に壊れちゃったかと思って心配したんだから!」


 今にも泣き出しそうな顔の美香に素直に「ごめんなさい」と謝るリリカ。

 セクハラこそしてくるが、基本的には人々の幸福のために奉仕するよう設計されたアンドロイドなのだ。

 世界滅亡の瞬間を目の当たりにして、突然わけのわからない状況に放り込まれた美香たちを和ませようとかましたギャグだったが、今回は逆効果だったらしい。


 冗談やセクハラをするときはTPOを弁える。リリカのAIはまた一つ学習して賢くなった。

 それでも絶対にセクハラをやめようとしないあたり、根本的な部分からしてすでに欠陥品なのは言うまでもない。


 絶対にブレないいつも通りのリリカに、零士たちもやれやれと苦笑する。


「それで、何かわかったのかい?」マックスが訊く。

「あ、そうそう! そうなんじゃよ! 中身は文章と図形のデータだったんだけど、すっごいこと書かれてあったの!」


 USBメモリの中身はなんと900ゼタバイトにも及ぶ膨大な文章データと、それに付随する図形データだった。

 そこには宇宙の成り立ちから現在に至るまでの、この宇宙に存在したあらゆる知的生命体が発見した数式や、編み出したあらゆる技術の理論が網羅されており、その中には魂の存在を証明する数式や、魔力の機械的な運用方法なども記されていた。


「おいおいおい、マジかよ!? ノーベル賞どころの騒ぎじゃねーだろそれ!?」


 素人でもその危険度がわかる超重要情報の山に唖然となるトミー。

 もしその情報が正しく使われれば、間違いなく人類の科学は一気に行き着くところまで飛躍的に進歩することだろう。

 しかし同時に、一つでも使用法を間違えれば人類を滅亡させかねないほど危険な知識の塊。


 そんな神にも悪魔にもなれる知識が、このセクハラアンドロイドの中に収められている。

 人類を生かすも殺すも彼女のさじ加減次第だが……エロ方面に大きく発展する未来しか見えないのはやはり日頃の行いのせいか。

 こうなってはもう、エロと萌えが世界を救うと信じるしかない。


 ともあれ、そんな未来もまずはこの状況をどうにかしないと永遠に訪れないのだが……。


「だが、結局それはこの状況を打破するためのヒントになるのか?」

「もちろん!」


 剛が投げかけた疑問にリリカは自信たっぷりに頷いて、入手したデータを元に導き出した彼らがこれからやるべきことを説明する。


「つっても、やることは普段と全然変わんないんだけどさ」


 リリカが提示した停止した世界からの脱出方法、それは―――――――



「えっとね、よーするに、いつもの引き出しダンジョンを超級(レベル10)のさらに先、神級(エクストラ)ダンジョンまで上げて―――――――」




 ――――――――お姉ちゃんたちには、そこで滅茶苦茶修業して神様になってもらいます!




導入部分なので短め。



世界の発展(意味深)に尽力するセクハラアンドロイド。


……もうこの世界ダメかもわからんね(´・ω・`)

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