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学園戦記ハイペリオン  作者: 猫姫
2/8

建国

時刻は放課後、教室は騒ついていて誰も帰っていなかった。


「今からみんなには、私と戦って貰います」

立花さんが教壇に立ち、突然そう言ったからだ。


…何処のバトルロワイヤルだよ。

教室の後ろの扉には宮園さんがいる。

見張りってわけか。


「なんでこんな事をするんですか?」

学級委員長の佐藤さんが言うと答えが返ってきた。


「人を探しているの、シールドナイトよ、誰か知らない?」

みんな顔を見合わせる。

キャラクターネームで本人なんて分からないのに、職業ジョブだけで特定なんて出来る訳がない。


まさか、見つからなかったら全クラスこの調子で回るつもりなのかな。

埒があかない、みんなに迷惑だし、このままじゃクラスの立花さんの立場も悪くなる。


しょうがない。


「それじゃ、僕から戦闘を申し込むよ。勝ったら帰れるんだよね?」

「そうよ、それじゃ…」

「ちょっと待った。戦闘は二人対戦の練習用フリー・バトルでいい?」

「いいわ、それじゃ設定して…開始!」

接続開始ダイブ・イン、僕らは味気ない練習用ステージに立っている。

ここなら二人きり、立花さん以外に知られる事はないはず。


「あなただったのね!」

ツインテールの双剣使い『アリサ』が目の前にいる。


「取り敢えず宮園さんに連絡して、みんなを解放してもらえるかな」

「な、なによ、人を悪者みたいに…」

なにかブツブツ言いながら、メールしている。


「それじゃ、お待たせ。はじめましょ!」

「そうだね、それじゃ降伏します」

システムが僕の敗北を告げたのでログアウトした。


「ま、待ちなさい!?」

「いやだよ!」

走って教室から出る。

今日は僕の大好物のコロッケだ。

これだけは、譲れない。


そのまま家に速攻で帰った。


次の日。

「なんで昨日は逃げたのよぅ!」

僕の机を両手でバンバン叩く立花さん。

同じ学校の同じクラスなんだしこうなるか。


「大事な用事があったんだよ」

「今日は?」

僕らの会話に宮園さんがはいってきた。


「今日は別に…」

「なら放課後付き合って」

「いい?約束だからねっ!」

返事する間もなく、約束が決まった。


午前の授業も終わり昼休み、お弁当を出して村を起動、働く獣人と畑仕事をする。


ガタガタン。

立花さんと宮園さんが机を近づけてきた。


「一緒にいい?」

「いいけど…」

「勘違いしないでよ?あんたがまた逃げないようによ」

そんなことを言って、二人はお弁当を取り出した。


「遅くなったけど、あの時はありがとう。助かったわ」

「いや、たいしたことじゃないよ」

宮園さんの眼鏡の奥、何か含みのある光を感じた。


「なによ、二人で見つめ合って!」

「い、いや、そんなつもりはないよ」

「そんな事より、あんたのあの回避なんなの?」

「スキル…じゃないわね。武器かな」

二人ともよく見てる、さて、どう誤魔化したものか。


チャイムが鳴る、助かった。


「あ、ほら昼休み終わるよ」

「じゃ、放課後ね」

「逃げんじゃないわよ!」

なんだかなぁ、まぁ取って食われるわけじゃなさそうだしいいか。

僕は少し帰りが遅くなるかもしれないと母にメールした。


そして放課後。


「さぁ、いくわよ!」

「あ、うん」

「こっちよ」

両手に華…じゃないか、拉致される宇宙人みたく両脇を固められた。


学校を出て商店街の裏路地、人通りも少ない地元の人ぐらいしか通らない道。


「ここよ」

「おばちゃん、奥借りるね」

はいよ、と姿は見えないが声が聞こえた。


昔ながらの駄菓子屋。

学園都市の近未来的な中に、昭和を感じる佇まい。

僕達は、店の奥に入った。


「さて、本題にはいりましょう」

「な、なに?」

「私達と契約して欲しいの」

「本気?」

「本気よ」

騎士契約は、このゲームの要だ。

僕が契約を受け入れれば、彼女達は僕の騎士になり、僕は王になる。


「意味は分かって言っているのかい?」

「勿論、だからここに連れてきたのよ」

「どう言うこと?」

「ここはホール・アウトなのよ、おばちゃんが電化製品苦手なせいで、携帯電波の届かない場所よ」

携帯を見ると圏外になっている、そういえば店に入る時、ダイヤル式の電話があったのを思い出した。


「それは、分かったけど…」

騎士契約、騎士は王に全てを捧げる。

ゲーム内は勿論、ゲーム外でも影響する。


騎士は自分の大事な秘密を王に差し出す。


入学時の試験と検査、その項目の一つに『あなたの秘密はなんですか?』と言うのがある。

それが騎士契約のパスワードだ。


王様に自分の秘密を教えると言う事は、余程の信頼関係が必要になる。


「それじゃ亜里抄、終わったら呼んで」

「う、うん…」

宮園さんが部屋を出ると立花さんは、おもむろにスカートを捲って見せた。


「あ、あの、か、可愛いパンツだね!」

「う、うるさぃ!ちゃんと見て、あと、10秒!!」

耳まで真っ赤にして睨んでくる。


「いい?みた?あとで騎士契約メールするから、パスワードちゃんと解読しなさいよ!」

「あ、うん。えっと、キュアなんとかだよね?日朝アニメの」

「柄を言うなっ!?」

続けて弾けたように捲し立てくる立花さん。


「そうよ!わたしはもっと可愛いのが欲しいの!けど、ママはこんなのしか買ってくれないのっ!」

「立花さんは、落ち着いて、外にきこえちゃうよ」

慌てて口を両手で抑える立花さん、僕は何となく周りを見回した。


「兎に角、そう言うことだから、あと、誰にも言わないでよ?」

「分かってる」

「それから立花さんはやめて…アリサでいいわ」

「亜里抄、終わった?」

立花さん、亜里抄と代わりに宮園さんが入って来た。

アリサは、入れ違いに出て行く。


「二人きりね、それじゃこれ見て」

宮園さんは、写真を一枚見せてきた。

つい最近、やめることになった地元の祭りの写真だ。


「これが私の騎士契約パスワードのヒント。あとは、あなた次第」

「けど、珍しいねデジタルプリントじゃないのは」

「いまなんて?」

「ほら、この都市でこんな昔ながらの写真なんて珍しいよ、ネガから焼き回しでしょ?」

いきなり四つん這いなる宮園さん。


「盲点だったわ…こうなったら言うけど、この祭り嫌いなの、恥ずかしく。だってそうでしょ?みんなで褌よ?男も女も子供も大人も…何考えてるのって感じよ」

「それが問題でやめる事になったんだよね。けどもうないし、問題なくなったんじゃ…」

「大アリよ!写真恥ずかしいから全部燃やしたのに、いつのまにかあるの。パパとママのパソコンの中も全部消したわ!でもまだあるの、何時の間にかそこにあるの!だから、パソコン覚えたの。そしてパパとママの会社のパソコンをハッキングして、データを消去した。怒られたけど私は満足だった。だけど!」


まだあったと言うのがことか。


「たぶん屋根裏にでも暗室があって、そこで現像してるんじゃない?」

冗談半分で言って見た。


「ありがとう、参考にさせて貰うわ…」

宮園さんは、力無く笑った。


そんなこんなで帰宅。


「ただいまぁ〜」

「聞いたわよ、優!おかえりなさい、まずお風呂ね、母さんと一緒に入りましょう!」

「な、ちょっと!?まず宿題しないと!」

「後にしなさい!麗華、優が来たわよ!」

「うぃー」

姉さんと母さんに、引き摺られて脱衣所にきた。


「父さん、助けて!」

「やれやれ…僕も一緒に入っていいかい?」

「駄目」「やだ」

「すまない、優…力になれなくて」

父さん、もう少し頑張ろうよ。


事情聴取のお風呂で文字通り、洗いざらい吐かされた上、洗われてしまった。


何か大事なものをなくした気がしながらも、自室で宿題を終え、メールを確認する。

二人から騎士契約メールが来ていた。


騎士契約メール。

立花亜里抄、宮園茉莉。

パスワード…。


少し考え入力する。


立花亜里抄『プ◯キュアのパンツ』パスワード承認、騎士契約完了。

<アリサ>

剣士 双剣

武器:スティール・ブレード

HP(耐久値):C

MP(精神値):D

OF(命中値):A+

DF(回避値):B

AP(威力値):C

AC(防御値):D


宮園茉莉『褌祭りの写真』パスワード承認、騎士契約完了。

<漆黒の翼>

狙撃手 突撃銃

武器:アサルトライフル

HP(耐久値):D

MP(精神値):D

OF(命中値):B

DF(回避値):C

AP(威力値):C

AC(防御値):D


そして、就寝した。

NPC

人族は妖精に強く、獣人に弱い

獣人は人間に強く、妖精に弱い

妖精は獣人に強く、人間に弱い


人族

HP:10

OF:2

DF:3

AP:2

AC:3

・種族能力『商売』


獣人

HP:20

OF:3

DF:2

AP:10

AC:5

・種族能力『狩猟』


妖精

HP:2

OF:10

DF:8

AP:2

AC:2

・種族能力『魔力の泉』

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