06 不慮の事故
忙しい。
執筆時間が欲しいです。
鍛錬を始めてから数日が経過した。
食糧がピンチになるギリギリまで鍛えた結果、今のステータスはこんな感じだ。
名前:チサト・ホンジョウ
種族:獣人(兎)
年齢:10歳
LV:4(1up)
HP:28/28(8up)
MP:13/13(5up)
STR:12(5up)
VIT:7(2up)
SPD:18(8up)
INT:24(2up)
LUK:12(1up)
SP:120
スキル:【威圧の魔眼:LV10】【聴覚強化:LV2】【脚力強化:LV5(2up)】【直感:LV3】【根性:LV5】【毒耐性:LV3】【魔闘技:Lⅴ3(2up)】
称号:【酒豪】【転生者】【継承者】
洞窟の周囲に居てもゴブリンや角兎(角の生えたウサギ)と遭遇し、【威圧の魔眼】の餌食になったのでレベルも1だけ上がっている。
スキルが成長したおかげで、全力を出せば細めの木なら蹴りでへし折ることが出来るようになった。
垂直跳びは5~6m、走り幅跳びは10mを超え、走る速さは原付ぐらいだと思う。
こと脚力が関わることに関しては、完全に人外の領域だ。
ちなみに何度か遭遇した角兎を実験台に、【威圧の魔眼】の効果をオフに出来ないか試してみた。
その結果スキルの効果をオフには出来なかったが、かなり弱めることに成功したので普段はその状態で過ごしている。
これでもし友好的な存在に会っても、いきなり気絶したり死んだりすることは無いはずだ。
しかし、鍛錬ばかりもしていられない。
生きていくには食べ物が必要だし、何時までも洞窟周辺に引きこもっているつもりもない。
食糧の問題で一旦区切りがついたので、今日から行動範囲を広げて探索を再開したいと思う。
太陽の動きから、おおよその方角は知ることが出来る。
それをもとにこれまでに探索した場所をまとめると、洞窟の西に果実を見つけた川があり、南にゴブリンの死体を食った何かがいるということになる。
今回は一旦西の川に向かい、そこから川の流れに沿って南を探索する予定だ。
川は北から南に流れていたので、人を探すのなら川の下流だと思うのだ。
川に着いたらボロ布の服を脱いで水浴びをする。
相変わらず貧相な体だが、目覚めた時より少しは健康的になったと思う。
肉は少しだが果物はたくさんあるので、毎日お腹いっぱい食べてるしね。
ついでに服も洗って近くの木に掛けておく。
この服はボロボロで、辛うじて大事な部分を隠せている状態だ。
このままでは痴女一直線だ。
布でも毛皮でもいいので、もう少しまともな格好がしたい。
水浴びが終わり、服を軽く絞ってから着て南下を開始する。
日が暮れるまでには洞窟に戻りたいので、今回は周囲の探索より川の先がどうなっているのか確認するのを優先する。
MP《魔力》の関係で常時は無理だが、時々【魔闘技】を軽く発動させて距離を稼ぐ。
二時間ほど経過してそろそろ引き返えそうと考え始めたころに、耳が川の水の音が変化しより強くなったのを感じ取った。
さらに進むと森の木々が途切れて、その先は崖になっており川は崖下に向かい勢いよく流れ落ちていた。
水の音が変化したのは滝になったかららしい。
崖は高さが50m以上あり、左右どちらを見ても終わりが見えないぐらい続いている。
崖下には森が広がっており、かなり遠いがその森の先に砦のような建物が見える。
折角見つけた人の手がかりだが、さすがにこの崖は降りられそうもない。
迂回するのも時間が掛かりそうなので、別の道を探した方が良いだろう。
仕方ないことだが、見えているのに進めないことに腹が立つ。
これまでの疲れもあり、思わず近くにある小さ目の岩を足の裏で蹴りつけてしまった。
その瞬間足岩のある場所から、嫌な音がしたので急いで飛び退く。
どうやら私の一撃で岩の根元に亀裂が入り、嫌な音はそれが広がっている音らしい。
程なくしてガラガラと音を立て、小さな岩は崖下に落ちていった。
『レベルが上がりました』
突然頭の中にメッセージが流れる。
何も殺していないのになぜ?
さっきの岩のせい?
おそらく原因と思われる岩が落ちた崖下を確認する。
遠くて分かりずらいが、そこには落下した岩と血溜まりらしきものがあった。