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0.ハルとユウの物語
今日は出て来た。
今まで我慢してきた。
いいよね。いいんだよね。お母さん……。
「ユウ! いねぇのか?」
ボボボボボボボボ
単車の音がして。靴の引きずる音。ハル。
彼は、時々ここにやってくる。私も知ってる。
だから待ってた。
だけど、素直に出て行くのもちょっと悔しい……。
海岸沿いにある、と・あ・る・公園の真ん中。
渦巻き状のカタツムリみたいな滑り台の死角に隠れ、ハルの声を聞く。
「ユウ!」
「ユウ!」
ハルの声が大きくなる。段々近づいてくる。
私はハルの声が近づくにつれ、目を閉じる。
私はハルが好きで好きでたまらない。
「ハル……」
夜の光はピカピカで、彼の後ろに載って眺める街は別世界のようだった。




