全身の寒気
第二話 全身の寒気
俺は今、草原に一人きりだ。
「うそ…だ…ろ…あれってこういうことだったのかよ……」
体を支えられなくなった膝を押さえて何度か深呼吸を繰り返して少しだけ落ち着きを取り戻すとサトシは辺りを見渡す。
「つよし~!…やっぱいねぇか」
なんとなくいない気はしていたが、ついここにいない友を呼んでしまう。
これからどうするかを考えていると腹がぐぅ~と鳴る
その音にサトシは気づかされた
「そういや今日あんま食ってなかったわ~」
今日食べた物といえばアフロやかずのこの海などのお菓子ばかりだ
「とりあえずなんか食うか」
そう言ってポケットをまさぐる
「なんもねぇか…まぁ、買いに行けばいっか」
そう言ってポケットをまさぐる
「財布がねぇ…そういやどっかに置いてきたような気がすんな…」
さっきの深呼吸でもまだ落ち着けていないようだ。
周りには店や自動販売機どころか建物、人すら見当たらないというのに
「ってか俺って今これ結構ヤバくね?」
今さら自分が置かれている状況に気づく
「友達…なし…」
これだと自分に友達がいないみたいと口にしてみて自分で思う。事実そうなのだが…。
「財布…なし…」
と言ってもほとんどお金は入っていないが
「…食料のあてもなし…」
周りに知っている食べ物どころか食べられそうな物すらないし、もちろん食べ物は持っていない。
「…ここがどこかもわからない…」
自分の状況はもう少し前からなんとなく予想はついているのだが、とても非現実的すぎて脳が受け入れるまでにもう少し時間が必要なようだ。
「で俺はほぼ持ち物無しで今異世界に一人…」
今、自分の状況を口にしてみたが…これは…
「最悪だ!!」
自分が悪いのでどこにもぶつけられない後悔を空へと飛ばす
『本当にボクもそう思うのだよ』
誰もいないはずの草原で少し高めの声が脳に響いた。
「…え!?い、いま…」
全身に寒気がはしる。
草原に一人きりの少年は心の底から思った。
ー混ぜるな危険はホントに混ぜたらダメだった!ー
『どうしてそれを混ぜたのだよ!?』
「それは…それよりど、どこから話してんだよ!」
そうしたくなったから、なんて言える訳もなくいつもの話題転換を発動する。
『それはキミの心から脳に話しかけているだけなのだよ』
「は?意味わかんないんだけど!…ってかお前なんなんだよ!」
『キミが混ぜた壺の中には一つにボクの力が、もう一つには邪獣の力が封印されていて二つの力が打ち消しあって実体化することができなくなったから人の心に宿る心獣となってキミの中におじゃましているのだよ』
「ふざけんなよ!なに勝手に人の中入ってんだよ!」
自分で何を言っているのかよくわかっていないが
『ボクがそうするしかなくなったのはキミのせいなのだよ?』
「……。」
痛い所を突かれ、何も口に出せないサトシに変わってお腹がぐぅ~と空腹を伝える。
「やべぇ…腹減った~…」
「キミのお腹が減るとボクもお腹が減るのだよ...向こうに村の気配があるから早くそこで何か食べるのだよ...」
そして空腹という感情を共有する一つの二人は村へ向かって歩き始めた。
/ / /
「それじゃあ…つよしはどうしてんだよ!?」
『その友達もきっとキミと同じようにどこかに飛ばされてると思うのだよ…それと...』
「それと?」
『その友達に邪獣がボクのように心獣となって生きている可能性が高いのだよ』
「なっ...早く助けに行かねーと!」
『そんなすぐにはいけないしボクもその邪獣と戦うために力を取り戻そうとしているのだよ』
「それなら早く行こうぜ!」
『だらそんなすぐには…』
サトシの他人の話を聞かなすぎる性格が無限ループを起こした。
『だから今行っても勝てないから力を取り戻そうとしてるのだよ!』
「なんだよお前早くそれを言えよ!」
『ボクは始めから言ってたのだよ!キミが聞かなかっただけなのだよ~!』
そういえばコイツに名前言ってなかったな、とサトシが思ったのとほぼ同時に
『そういえばまだキミの名前を聞いてないのだよ』
「俺の名前はメイコウ・サトシだ。こういうのは普通自分から名乗るモンだろ?」
『そういえばそんなことを聞いたこともあったのだよ 封印される前のことはあんまり覚えてないけどみんなにはキャロンと呼ばれていたのだよ』
サトシはいかにも異世界って感じの名前だな、と思ったが口には出さなかったが、それがキャロンに伝わっているというのはサトシの頭ではわからなかった。
「ふーんキャロンか、なんかしっくりくっからそう呼ぶことにするわ」
『ボクはキミの方がしっくりくるからこのまま呼ぶことにするのだよ』
二人にはこの距離感がしっくりくるちょうどいい距離なのをなにより二人が知っていた。
/ / /
あれからしばらく歩いて少しずつ村が大きくなってきた頃
「ん、あれはなんだ?」
サトシは遠くに大きめのトカゲを見つけた
「おい!食べ物見つけたぞ!」
腹が減りすぎて頭がおかしくなったか、元からおかしかったのか、あれを食べようとしているらしい。
『ボクにはあれが食べられるようには見えないのだけど…』
「じゃためしに少しだけ食ってみようぜ?」
『その少しが命に関わらなければいいのだけど...』
「はいはい、俺はケンカとかも負けたことねーしあんなのよゆーよゆー!」
そう言ってよくテレビなどで見るように手の骨をポキポキ鳴らそうとするが音は鳴らず、サトシは首を傾げごまかす。その動きにトカゲも同調するが何がしたいんだ、という意味での行動だ。
サトシは今自爆して痛めた手を押さえながらたかがトカゲと笑いながら言った。
「一狩り行こうぜ!」
その時サトシは知らなかった。
そのトカゲに自分が敵わないという事に。
前投稿した一話を読んでくれた方々が思ってたより多かったので嬉しかったです!
これからも頑張っていくんでよろしくです~!(>∀<)♭




