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優しさという名の誤認識

何をやっても無駄だよ


「…?誰…?」


ふと誰かわからない声に気が付いた陽太、周り全体、どこを見渡しても真っ黒な空間だった、呼吸をしているのかもわからない


今までは何とか隠し通して、いや…なんとか誤魔化してきたようだけど今回だってまた、裏切れるさ…


「っ・・・だ、誰だよ・・・っ!?誰だよ!!」


低い声色だった、どこの誰かわからない声、ただどこか見知った様な、どこかで聞いた事のあるような声で、そして何故か無性に腹が立った


・・・誰だよ、か…お前の…お前の一番身近な人物だよ…


「っ意味わかんねぇ…おい!!身近な人物ってなんだよ!!おい!!」


陽太は周りのこの黒い空間の事など気にもせずただ、ただその謎の男の声だけが無性に気になっていた、自分の事とは全く無関係の筈の話の筈なのに何故か心を、頭を乱された様な、気を逆撫でされたような物凄い不快な気分にされた陽太はそう叫んだ、一体何故こんな気分にされているのかわからず、ただ怒りのような、また何かの孤独感に似たような空虚感に陽太は恐怖からなのか焦っては叫んでいた、だが返事は返ってくる事はなかった


「ッ・・・っクソッ!!!」


理由のわからない震える手足、それに体に陽太は止めようと思うも止まらず、ただただ頭、心に残されたわけのわからない不快感に地面なのかわからない地面に拳を叩き付けた、痛みが出る筈だった、だがなんの痛みもなかった、まるで神経だけが、痛覚だけが抜かれ、麻痺したような感覚に陽太は驚愕した、そしてこれもまた陽太の不安、怒りに当たったのか何度も何度も叩き付けては頭も叩き付けた、だが全く痛くもなんともなかった、手の、頭の感覚があるのかもわからないような、そんな感覚に


「ッ!!クソォォォォォ!!!!」


外部からの痛みに対しては遮断し、だが内部に対して、感情、感性に関しては生きている事に陽太は恐怖を感じ、ただ叫んだ、だが何故だかわからないが段々と自分の声さえも聞こえなくなってきていた


「っ!!~!!・・・っ…」


防衛反応なのかわからないが陽太は自分の声さえも聞こえなくなってきている事に恐怖し、認めたくないあまり目を瞑った、そしてただ、願った…



誰か、助けて…



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


・・・の


・・・あの!


「っ!!」


机を揺らされた反動、そして声からか陽太はパッ、と目を大きく見開いては起きた、額に大量に汗を掻いては顔を真っ青にしていた、目は虚ろでどこか遠く、遠くを見ているかのような瞳をしていた、そしてここが現実だという事に引き戻された影響からか瞳を大きく揺らしては数秒呼吸を忘れていたのか慌てて呼吸した、そして当の陽太を起こしたのは・・・


「・・・貴方、大丈夫ですか?」


「・・・っひ、の・・・」


あれからなんとか陽太の汚い字を解読し、写し終えたのか明乃は手にノートを持っては陽太の方へ足を組んでは体を向け、見ていた、一方で陽太はゆっくりと体を起こしては明乃を呆然と回らない思考をなんとか回してはそう名前が出た


「・・・随分と魘されていましたが・・・」


「・・・え…」


ほんの少し心配そうな表情をしてはそう言ってきた明乃に陽太はようやく本来の思考が戻ってきたのか、その言葉に先ほど見ていた夢を思い出そうとした、だが何も覚えていなかった、ただある事は悪夢からなのか体全体が汗で湿り、また体が鉛のように重いぐらいだった、そして陽太はそれに気づいては額に付いた汗を手で脱ぎ取った、思った以上に汗が出ている事に驚き急いでタオルで拭き取った


「・・・なにか悪い夢でも見ましたか…?」


明乃はそう言っては机の横に掛けてある鞄の中から昼ご飯を取り出しては机の上に置いた、陽太はそれに数秒考えてはもう昼休みなのだと気付いた、周りを見渡して見ても教室の端っこに女子数人に、またその反対側の端っこに数人男子が固まり昼ご飯を食べていた、その他のクラスメイトはどこかで昼ご飯を食べに行ったのか教室にはいなかった、そしてそんなふうに呆然と教室全体を見渡していると


「・・・人のせっかくの善意を無視するとは貴方最悪ですね」


「!!ご、ごめん…」


重たい体、そして重たい瞼、うまく思ったように回らない思考に陽太はそう明乃に言われては慌てて振り返ってはそう謝った、明乃はそんな陽太に浅く溜息付いてはペットボトルのキャップを開けお茶を飲んだ、そしておにぎりを持っては封を開け、食べた


「もぐもぐ…、…ごくっ、別に平気です、貴方のその表情を見る限りうまく頭が回っていない事はわかっていますので」


「!・・・そっか…」


陽太はそう言っては俯いては口の中がカラカラな事に気が付き鞄の中からペットボトルを取り出しては飲んだ、水だったおかけで飲みやすく、なにより喉が渇いていた事にとてもいつも以上に美味しく感じた、と同時に少し体が楽になったような、そんな感じがした、そしてそんな所を見ていたのか明乃は目を瞑っては言った


「・・・本来ならこのクラス、教室で食べたくなんかありません・・・しかも貴方と・・・」


「!そういや・・・氷野、お前・・・」


明乃にそう言われた陽太は改めて何故ここで自分といるのか、またなんでここで食べているのかと不思議に思った


「もし貴方とこうやって話している、一緒に食べている所を見られた場合私は貴方と同じ同類、部類にされかねません・・・・・・きっと変な噂が広がるでしょう」


「・・・」


「・・・・・・ですが」


「・・・?」


自分の立ち位置、そして明乃の立ち位置を考えた陽太は今更ながら思った、全く完全な逆なのだと、クラス全体とは言えないがほぼ皆から白い眼見られては不良だと勘違いされている陽太に対し明乃は見た目美人で運動神経抜群でクラス全体の人気者に等しい存在、全くの真逆なのだとそう陽太は思っていた。そしてそんな事を思っている一方で明乃はそう言った、陽太はそう思っていたと同時に明乃の話も聞いていたのか明乃が止まった事に陽太は明乃を見た


「・・・・・・ですが、貴方は私の部員です・・・部長である私は部員の体調を整えないといけません・・・そして今さっき、貴方は悪夢を見ていました…、また、今現在貴方は精神に支障、疲労をきたしています…ですから……私は貴方の話を聞く義務があります…ですからここで聞きます!」


「っ・・・あ、あぁ…?」


自分の言っている事に少し理解ができなくなったのか、または面倒になったのか明乃はそっぽ向いては舌打ちした、そして半場乱暴におにぎりを取っては口に運び食べている、陽太はそんな明乃にどう反応したらいいのかわからず適当にそう返答した、そして明乃はそんな陽太を見ては


「・・・それで、貴方は一体どんな夢を見ていたのですか・・・?私は別に精神方面の知識はありませんが相談には乗れますよ・・・」


「!っえ、あ、あぁ~、えっと・・・」


陽太はそう言われては自分がどんな夢を見ていたのか覚えていない事に気づきどう言えばいいのか、そう迷った、あそこまでおにぎりを乱暴に食べる程に怒る程に言ってくれたものを、そう陽太は思っては申し訳なさから呻った


「・・・?どうしたんですか?そんなカバみたいに唸って・・・気持ち悪いです、食事中なんですけど・・・カバ…」


「っか、カバって…い、いや、ごめん…正直言っちゃうと、さ…すっげえ嫌な夢を見てたって感じはあるんだけど、その内容が全然覚えてないというかぁ…ぅん…」


陽太はそう言っては何を言われるかわからない不安、そして申し訳なさからつい俯いた、だが


「・・・そうですか、それなら良かったですね」


「・・・っえ?」


「…確かに私がせっかく恥を、自分のプライドを捨ててまで言った事に関しては今すぐに貴方を蹴っ飛ばしてやりたい所、ですが・・・貴方は悪夢を見た、でもその悪夢の内容を覚えていない…つまり思い悩む事がなく体、精神に対し特に支障は出ないという事です…私のやった事も全く無駄だったというわけではなかった分けです、まぁその私が言った代償に対してのメリットがあまりにも少なすぎる事が玉にきずなんですが」


明乃はそう言ってはもぐもぐと次のおにぎりの封を開け食べている、一方でそんな明乃の言った事を聞いていた陽太は



「・・・氷野って結構優しいんだな・・・」


「・・・・・・は?」


かなりまわりくどい言い方にしたとしても結局的には心配をしてもらえている、面倒見がよく他人の心配をする明乃に陽太はそう思っていた事を口に出した、そしておにぎりを食べていた明乃は数秒間を空いては陽太を見てそう少し棘がある声を出した、それを聞いていたのか陽太は少しビクついた


「っぇ、い、いや・・・俺は他人なのにこんな心配「貴方は一つ勘違いをされているかもしれないので言わせてもらいます」


「っ・・・な、なんでしょうか・・・」


丁度食べ終わったのかおにぎりを包んでいたゴミを袋の中に入れてはゴミ箱に放り投げ、そして立ち上がっては冷めた目で見降ろしてきた明乃に陽太はつい敬語になってしまった


「・・・一つ言わせてもらいます、私は貴方を心配しているわけではなく部員、として心配しているのです、それにこれは優しさでもなんでもないです、部長としての当然の事をやっているんです…!」


「っ・・・」


ガンッ、と音を立てては陽太が座っている椅子に爪先を叩き付けてきた事に陽太は息を飲み明乃を見た、そしてその明乃の目を見ては思った、これは本当にそう自分ではなく、部員としてなのだと、理由を言え、そう言われたとしても言えない、直感的にそう陽太は感じたのだった


「・・・貴方にはまだスクールボランティアクラブの、いいえ…貴方が私と同じ「特異な人間」であるという事を忘れないでください…それに…一日二日話しただけで心配する程私はいい人、お人好しだとは思わない事です・・・貴方自身もわかってると思いますが私と貴方は」


友達でもなんでもない、赤の他人なんですから


「・・・」


明乃はそう強く言っては教室から出て行ってしまった、そして明乃の言った事を一つ一つ噛みしめるように聞いていた陽太は明乃が出て行った後ろ姿を見ては背中を椅子に預けるようにしては窓の外を、晴れ晴れとした空を見た



「・・・・・・んなこと…知ってるっての…」


これで何回目かわからない「友達」というキーワードに陽太は明乃の机、椅子を見てはボソッと愚痴るように悪態を付いていた







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