無意識の言葉で
「・・・なんでそこで黙るんですか…?」
突然何も言わなくなり固まった陽太に明乃は少し引きつったような表情をしていた言った、自分が言った事に何か言ってほしかったのか、または先ほど言った事に対して否定でもしてほしかったような表情をしている
「っい、いや…氷野ってそんな顔も出来たのかって…」
陽太はそう言ってはアハハ、と少し照れたような顔をしてはノートに黒板の字を写し顔を合わせないようにした、そしてそんな事を言った陽太に明乃は少し気になったのか顔を少し歪め陽太を見た
「・・・」
「っど、どうした・・・?ノート書かないのか・・・?」
明らかに見られている視線に陽太は声を震わせてはノートに文字を写しながら言った、完全にガン見されているわけでもないのに見られているという事に陽太は恐怖を感じた
「・・・いえ、私、いえこれも違いますね…普段人なんて自分が一体どんな表情をしていたのかなど考えませんので…一体私はどんな表情をしていたのか、それが気になりまして…」
「っあ、あぁ~…まぁ、そうだな…」
普段自分が人と会話をしている中一体どんな表情をしているのか、そんな事は相手しかわからない、そう陽太は解釈しては確かにそうだな、と納得していた
「・・・それで教えてもらいたいのですが一体どんな顔をしていたんですか…?私は・・・」
余程自分がどんな表情をしていたのか気になるのか明乃はノートに文字を写しながら、と妙に器用な事をしながら陽太を横目で凝視しては言った
「っど、どんなって言われても、う~ん…」
正直少し子供っぽい顔をしていた、などこんな事を言った場合顔面粉砕などされそうだし、でも微妙に可愛いような顔をしていたなど言った場合後が怖い、どっちにしても危険性のあるばかりの表情だったという事に陽太は顔を青くした
「・・・・・・なんでそこでまた黙るんですか・・・?」
「っ・・・ぃ、いや…言葉にするには結構難しいような…」
どちらにしても自分に危害が及ぶような返答しか返ってこない、そう陽太は思っては言った、そしてそんな陽太の言った事自体もダメだったのか
「・・・今すぐ貴方が正直に思った事を言わなければ後で貴方の顔の原型がなくなると思った方が身の為ですよ…?」
明乃は表情を少し暗くしてはどこかのヤクザ、またはチンピラのような脅し方をした、陽太はそんな明乃の言った事に恐怖のあまり顔を真っ青にした、そしてこれはもう正直に言ってしまった方が助かるのでは、そう思い言った
「っわ、わかったよ・・・ま、まぁ…昨日今日と見た中で一番俺的にはっか、可愛いなぁって思ったというか、ってなんだよその顔」
恥ずかしさを紛らわす為にペンを動かし一生懸命言った結果、白い眼で見られている事に気づき陽太は少し怒ったように言った、そしてそんな陽太に明乃は一息付いた、というよりどこか安心したかのような様子だった
「いえ、私が想像していた事と全く違っていて安心しましてこうなりました、まぁ人がどう思うとそれは人の勝手ですが流石に今の貴方の言動には少し考える物がありました、勿論考えると言っても悪い方ですから安心してください」
明乃はそう言っては机の両端を掴んでは少しだけ机を動かした、勿論近づけたなんてそんな事はなく言った通り机を少し引き離した、小学校の頃は隣同士完全に机をくっ付けていた、だが中学高校と段々とそれはなくなり今では完全に無くなっていた、しかも今動かした事により、より間、スペースが空いた、約50cmぐらい空いていると思った方がいいぐらいだった
「っちょ、ちょっと?氷野、さん…?遠くないですか…?」
「・・・貴方には一応言っておきたいのですが私、他人から何か好意のようなものを寄せられるのが苦手なんです、これは冗談なんかではありません本心です、ですから私のように思っている人は少なくない筈ですからあまりそのような言動は控えるべき、そう私はおすすめします」
明乃自身がどれだけ本心から思って言っているのかわからなかったが明乃と同じく陽太はその明乃のその言葉に少し傷付いたような、そんな気がした、仮にも陽太は恋愛はともかく友達感覚の方では明乃に好意を抱いていた、いくら暴言を吐かれようが気にもならなかった陽太だがこれに関しては少し心が痛んだのか笑えない、そう思った
「・・・・・・そ、っか」
感性の方では他人に比べ群を抜いて鋭い方だった陽太はこのままでは悪い方、悲観に浸りつくし挙句にはまた泣いてしまうのではないか?などそんな事を思ってなのかそう一言言っては興味なさそうな、そんな表情をしては黒板を見る事にした
「・・・・・・?」
そして一方で明乃はさっきまでと明らかに、完全に違う陽太の素っ気無い態度に違和感のようなもの感じ明乃は首を傾げては陽太を見た、どこも特に変わらない様子で授業を聞いている陽太だった、そこで明乃は先ほどの違和感が脳裏から離れないのか、その気持ち悪さから一応聞いてみよう、そう思い机を元の位置に戻す事にした
「・・・いきなりどうしたんですか、その気味が悪い態度は」
「!」
先生の話を聞いていた途中で突然横から声を掛けてきた明乃に陽太は少し驚き見そうになるも授業の方に集中しよう、そう思い
「・・・いや、今は授業中だしあんまり会話しない方が良いよなぁって思ってさ、先生どんどん黒板に書いたら消しちゃうからさ、それで集中しようかなって…」
今の自分の顔を見た場合きっとなにか、なにかしら気づかれる可能性がある、陽太はそう過去からの教訓のようなものを生かしてはそう紛らわせ言った
「・・・そうですか」
「!う、うん」
すんなりと理解してくれた明乃に陽太はほ、っとしつつうまく隠し通せた事に心の中でガッツポーズをしていた所だった、が
「…その割には手がかなり震えているようですがその手はなんですか?」
「っえ・・・」
明乃にそう言われ陽太は反射的に明乃を見てしまった、そして何か見透かしたような水色の綺麗な瞳に陽太は吸い込まれそうになるも頭を振り明乃が見るその視線の方を見た、そしてその先にあったのは陽太自身の腕、手だった
「っ・・・」
武者震いとはこの事なのかと陽太は自分のその無意識からなのかわからないがその震える腕を見ては思った、自分の意志と反し勝手に腕が振るえている事に少し恐怖を感じ腕を抑えつけた
「・・・・・・私自身察しが良い方などとそんな事は到底言えません、思えませんが…貴方のその先ほどの素っ気ない反応、態度、それに突然のその腕の震え……私が原因かなにかですか?」
「!っい、いやそんな事は別に・・・」
そんな事は別にない、そう陽太は言いたかったが口からその言葉が出る事はなかった、と同時にふと心のどこなのかわからないが冷静な自分がいて、他人から冷たい事を言われてこんな感情が出るのはかなり久しぶりだな、そう何故か思っていた
「・・・先ほど私が言った事について私自身は全くもう覚えていませんが貴方が少しでも心から不快、そう思うような事を言っていたのら謝りますが・・・」
明乃は心から、本心から申し訳ない、そう思っているのかわからないがノートを写す手がいつのまにか止まっている事に陽太は気が付いた、しかも先生に見つかるかもしれないにも関わらずほぼ体全体こちらに向けている事に陽太は心が温かくなった、そして昨日では見つけられなかった明乃の新たな一面に陽太は物凄く嬉しく感じた、自分の些細なおかしな部分にも気づいてもらえた事、そして相変わらずの周りくどさでもちゃんと正直に心から謝ってもらえている事に陽太はより、明乃の事が気になった、そんな感じがした、そしてそれと同時に陽太はこんな真剣に謝ろうとしてくれているのに自分はなにノートなんか写してるんだ、とそう思ってはペンを置き明乃を見た
「!」
陽太がペンを置きこちらに振り向いた事に明乃は少し驚くも凝視した
「・・・確かにさっき氷野が言った事、そしてあからさまな態度に俺は少し、傷付いた・・・」
「・・・」
陽太はできる限り周りに絶対聞こえないようにと、小さく、でもできるだけ聞こえるように言った
「確かに氷野の言動にはかなり暴言ばかり含まれていて少し傷付く時、というか頭にくる時もある、でもそれは氷野なりの冗談なんだってわかってる、だから笑ったり、とまではいかないけど楽しいな、みたいに思える…でも、流石に、な…俺も人間だから傷付く時もある、みたいな…そんな感じだな…しかも俺自分で言うのもなんだけど他の奴より泣き虫だし傷付きやすいから、さ、尚更な…」
本当は好きだから傷付いた、なんてそんな事は思っても言えず陽太は長々と女々しいと自分で思いながら言った、男のくせに回りくどい言い方に陽太は恥ずかしく思うも心の中に溜まっていた、思っていた事を言えた事に不思議と先ほどまでの悲しみのような感覚はどこかへと消えている事に気づきホっとしていた、そしてそんな陽太の思っていた事を聞いた明乃は微かに動揺していたのか瞳孔が震えていた、だが陽太はそんな明乃に気づく筈もなかった
「・・・そうですか、私はてっきり貴方は本当にマゾなのだと思っていましたがどうやらそうではなかったみたいですね…まぁ、完全に真性的にマゾだとわかった場合はどうかと思いますが……とりあえずわかりました、先ほどの事に関してはかなり酷い事をしていたようですね、ごめんなさい…」
「っ・・・え、ちょ…」
心底申し訳なさそうな表情をしてはそう言ってきた明乃に陽太は驚き慌てた、と同時にそんな事をしてほしかったわけではない、そう陽太は思った、また先ほどとは違うような痛みが胸を襲った事に陽太は不快感を感じた
「・・・?どうしました?」
「!い、いや・・・そんな顔されるともっと俺が苦しくなるんだけど…」
別に親しくなったわけではない、そう思っていたとしてもこれでは、この謝り方ではかなり、他人行儀なような、遠い存在のような言葉では表せられない虚しさのような感覚に陽太はそう言った
「・・・?どこに貴方が苦しくなる部分があったんですか?」
明乃は陽太の感情が理解できなかったのかそう言ってはとりあえず顔を上げた
「っう、うまく説明はできない、けど…とりあえずその謝り方はなんか嫌なんだよ…も、もっと氷野らしい謝り方があるだろ!俺を小馬鹿にしながら謝るような、そ、そんな謝り方が…!」
伝えられない苦しさから陽太はそんな自分でもめちゃくちゃな事を言った、理不尽だとも思ったが陽太はこれしかない、そう思った
「っ、な、なんですか、それ・・・?私は本当に心から申し訳ないと思っ「っ俺は・・・氷野にそんな顔、悲しそうなしてほしくなかったから…」
「!」
陽太の意味がわからない言葉に流石に明乃も怒りを感じたのかそう言おうとした直後、陽太は無意識からなのか、または心の声が漏れたのか俯きながらそう言った、それに対し明乃は少し、ほんの少し驚いたような表情をするも普通の、先ほどまでの表情に戻った、そして目を瞑っては溜息付いた
「・・・・・・貴方は…バカですか?」
「!っえ・・・っ?」
呆気に取られている所でいきなりそう、冷徹沈着を帯びた特徴的な、でも優しい声に陽太は顔を上げ見た、そこには明乃がペンを持ちノートを書いている所だった、しかも先ほどまでの表情はもう無くなり自然体、普通の表情に戻っている事に
「・・・・・・貴方がどんな事を思ってそんな事を言ったのかわかりませんが、とりあえず貴方が先ほどいつも通りの暴言交じりの謝罪が言い、そう言いましたので私は今お望み通り言いました、なにか文句でもありますか?」
「!っい、いや・・・、ないよ、あっ…それよりさっきは俺も、ごめん…氷野も心から思ってくれてあんな表情になってたのに俺・・・」
陽太は先ほどの明乃の表情、顔を思い出してはそう言った、仮にも本当に心から思ってくれていた事を否定したようなもの、そう陽太は罪悪感から謝った、だが
「・・・・・・別に良いですよ、私も悪かったですし・・・・・・それに…」
「・・・?」
「・・・いえ、なんでもないです、それより貴方と長々と会話をしていたせいで残り授業時間が数分しかないです、先生が消してしまった部分、後で写させてください」
「!!う、うん、わかった」
最後何か言いかけた所で止めてしまってはノートに書き写し出してはそう言いだした明乃に陽太は無性に嬉しくなりノートを写す事にした、そしてそれと同時にもう一回明乃を見た、そして明乃は微かに嬉しそうに微笑んでいる事に陽太は気づきそうで気づかなかった、そしてそれから授業が終わり休憩時間に入ったわけだったが
「・・・あの、一つ言いたい事があります、言っていいですか」
「っな、なんですか・・・?」
「・・・字が汚すぎて全然読めないんですけど・・・」
「っっ・・・そ、それじゃあ俺が写して「却下です」
「っですよね・・・」
自分で書いた字は自分で読めるという事で陽太がそう勧めるも明乃は即答で却下した、それに対し陽太は苦笑いしながらそう言った




