全て受け止めてしまえばいい①(陽太の思い)
「…それじゃあ、まぁ特に難しい内容ってわけじゃないんだけど…今日学校でクラスの奴なんだけど、初めて喋ったんだ」
「・・・」
陽太の母親だからこそなのかわからないがその初めて、というのはその話をした人に対しての初めてなのか、またはクラスで初めてやっと話をできたのか、と言いたくなったが母親はその口から出そうになった言葉を飲み込んだ、とりあえず聞いてからにしようと
「…それで、そいつ今日初めて喋ったばかりなんだけど…すっげえいい奴でさ」
余程興味があるのか、または気になっているのか陽太はとても活気としたような表情をしてはなるべく伝えようとしている事が母親にはわかった、ここまで活気な陽太を見た覚えがあまりない、そう思い机に体を預けては耳を傾けよく聞くことにした、一華の方もまたこんな陽太を全く見た事がないのか集中してみている
「・・・それで…なんというか、たった数時間しか喋ってないのに俺…友達になりたいな、って思っちまって…でも、当然向こうはそんな事全然思ってなくて、さ…いや…当然か…」
興味がある分なのか陽太は暗い話をする度に段々と表情が暗くなっていく、そんな陽太に母親はつい、聞きたくなった事があった
「・・・ねぇ、陽太、一つ聞いてもいいかしら?」
「!ん?なに?」
「…その生徒さんって・・・男の子なの?女の子なの?」
大体は女の感というものが働いていたのか母親は予想が付いていたが一応念のためと思い聞くことにした、またそれは一華の方も女の感というものが働いているのか表情がずっとにやけていた、そしてそんな母親からの言葉に陽太は当然戸惑いの表情を見せた
「っえ・・・」
「その子の肝心な性別を聞かないと私も何とも言えないわ」
別に無理やり聞き出そうとしているわけではなく本当に性別を聞かない限りなんのアドバイスもあげられない、そう思い言った母親だったが陽太はとても嫌そうな表情をしている、そんな陽太の表情を見ていた一華は
「お兄ちゃんそれは私もお母さんと同じ事言えるよ、男の子と女の子じゃ大分違ってくるし」
「っま、まじか・・・」
「まじまじ!大マジだよ!お兄ちゃん!」
一華はそう言っては母親を見て微笑んだ、母親はそんな一華にナイス、そう指で示した、そんな二人を見ていたのか陽太はとても苦い顔をした
「陽太、一華もそう言っているし教えて頂戴、別に陽太がどこの誰に恋してたって私は何も言わないわ、寧ろ嬉しい限りよ!」
「!そうだよ!お兄ちゃん!私も嬉しいよ!まだ恋愛なんかした事ないけどさ!」
「っ…なんで恋愛なんだよ…というかそれじゃ女確定じゃねぇか!?」
女確定、そう言いきる二人に陽太は恥ずかしさからなのか顔が少し赤くなっている、そんな陽太に母親はこれは女の子確定ね、そう思った
「別に恥ずかしがる事じゃないわよ陽太、ほらほら時間は有限よ、話しちゃいなさいって、スッキリすると思うわよ?」
「っ・・・」
「お母さんの言う通りだよお兄ちゃん、別にお兄ちゃんの年代なら女の子に興味が合ったって普通じゃないよ、寧ろ無いほうがおかしいんだからさ!」
なんとしてでも話をさせようとしているのか二人は陽太を見てはそう言った、陽太もこれ以上はなにも言えない、そう思ったのか
「っ・・・はぁ…わかったよ…っあ、相手は女だよ…で、でも恋愛じゃないぞ!!」
顔を真っ赤にしては陽太は二人を見ては少し大声を上げてはそう言った、母親はそんな陽太の反応が面白いのか口を手で隠しては二ヤ二ヤとしていた
「へぇ~、やっぱり女の人なんだ」
一華は別に隠す必要もないのかそう言ってはニヤニヤとしている、そんな一華に陽太はまた少し顔を赤くした
「っっ・・・な、なんだよその顔…っ」
「別に~?それより話の続きしてよ、ね?お母さん」
「!そうね、話を続けて陽太」
息子の異性に対しての会話、これは少々複雑な気分になるのだろうな、そう母親は昔から思っていた事だったが思ったよりも楽だった事に、しかも微笑ましい事に気づき陽太の話の続きを聞こうとしそう言った
「っっはぁ……えっと…それで、だから…」
二人の態度に疲れたのか陽太はとても言いにくそうというよりも頭が回っていない様に見えた、そんな様子も母親はとても微笑ましく見えた
「・・・っだ、だから…っ、はぁ~~…わかんねぇ…」
「っえ、えぇ…?ダメじゃん…」
頭が回らなくなった、または頭の中でまだ整理が全然付いていないのか陽太はそう言っては机に体を預けた、一華はそんな陽太の体からするすると擦り抜けては椅子に座った
「わからない、か、陽太はその女の子の事どう思ってるの?」
「っ!ど、どう思ってるって…まぁ、そりゃ…さっきも言った通りすっげえなんか友達になりたいなって…不器用、というか…まぁ、優しい奴なんだと思う…だからそれで…多分俺は…」
机に寝そべっては陽太はそう口に思っている事を適当にぶちまけた、そんな陽太の言った事に母親は考える仕草をした
「・・・その友達になりたい以外には何か思った事はなかったの??」
「ん・・・?あぁ…まぁ、可愛いだとかは綺麗な奴だな、って思った…ぁ、で、でも別に恋だとかそういう事はねぇぞ!ただ本当そう思っただけで!」
自分が無意識に出していた言葉に恥ずかしくなったのか一生懸命手を横に振っては否定した、陽太自身その思いは確かな事で恋愛、恋ではなかった
「・・・なるほどねぇ、友達になりたいとは思ってるけど恋相手ではない、と…一目惚れではないの?」
「っ!!」
陽太はそう母親に言われては少し動揺した、それは先ほどの教室での自己紹介の時を思い出し動揺した、そしてそんな陽太の反応になにか気づいたのか母親は
「なにか、心当たりでもあるの?」
「!っ…な、なくはないけど…」
その感情は一時的な感情でそれ以外はなにもない、なんとも思っていないそう陽太は思った、今思い出した所で別になんの感情、というよりそのような思いは何も浮かばない、逆に思うのは友達になりたい、またはもっと仲良くなってみたい、そのような感覚だった
「なくはない、けど?」
「・・・っ確かに今日最初見た時は……その…一瞬だけそう…なんというか思ったけど…一瞬だけだったし…っとりあえずもうわかんねぇんだよ…」
陽太はそう言っては頭を冷やそうと机に額を押し付けた、そして机の冷たさが額に伝わり心地が良くしかも頭を冷やしてくれたおかげで少しずつ頭が冷えた気がした
「・・・難しいねお母さん」
「う~ん…そうねぇ…友達になりたいとは思ってて、でも可愛いとも思ってて…一目惚れ、というわけでもない……ん?そういえば陽太、貴方は今日どうしてそんな泣いて帰ってきたのかしら?」
母親はそう先ほどの一番重要な事を思い出し聞くことにした、これが一番の原因なのではとそう思い
「・・・ん…俺もよくわかってねぇんだけど、まぁ…簡単に言うとあまり慣れ慣れしくしないでくれって、まだ知り合いってわけでもないのにって、そう言われて…なんなんだろうなぁ…」
先ほどの自分の事を客観的に見たのか陽太はそう言っては溜息付いた、そしてそんな陽太の話を聞いた母親はそれは恋なのでは、そう思うもなんとなく違う、そんな気がした、そしてそれと同時にこれ以上はもうなにも考えられる物がない、そう思った




