うまく言い表せない感情
「・・・まぁ、どうでもいいですね、貴方がどうなろうと私に知った事じゃないですし、それになにより私に無理やり合わせて付いてきた事が一番の原因です、後一つ思ったんですが貴方は何故私に付いてくるのですか??」
「・・・っえ、付いてくるって、・・・え?」
陽太は突然明乃にそう言われ答えられなかった、こういうのはただなんとなく付いていき一緒に話したりする、そう陽太は今まで思ってきた、だからその為答える事ができなかった、というよりも考えた事すらもなかった
「私には私のペースがあります、勿論貴方にも貴方のペースがあります、そこでふと気になり今聞きました、理科室に行けば後はまぁ・・・私はあまり話したくありませんがそこで会話はできます、ですが貴方はこうやって今も私に付いて来ています、何故ですか?」
「・・・」
それは氷野と話しをしたいから、そう陽太は思うもその言葉が出なかった、何故なら陽太自身はそう思っていたとしても明乃自身は話をしたくないからである、だから言葉に出なかった
「・・・一つ、念の為言っておきますが貴方は私と今日あったばかりの存在、私からすれば貴方は妙に馴れ馴れしく関わってくる存在に見えます、まぁそんな事を言っておきながら私も人の事言えないんですが」
どこか雲行きが怪しくなってきた事に気づいたのか陽太は何も言えなくなった、そして陽太の悪い癖として悪いことが脳裏に思い浮かんだ、確かに先ほど、体育館の所からそうだった、あまり近づくなと言われていた筈が何故かそれを無視し近づき、そして今もなお言われた筈が何故かそれを無視し近づいていた、他者から見た場合ただのうざいストーカーにしか見えない存在だった
「・・・・・・・そう、だな…まだ本の数時間しか経ってないのに…しかも、あまり近づくなって言われてたのに俺、なにしてるんだろうな…」
陽太はそう自分になにか言い聞かせるように言っては頭の中を整理しようとした、何故こんなに氷野に近づこうとしたのか、と、大体理由は出ているもの、それは無理、そう断言できる理由だった
「・・・・・・私自身別に貴方の事が生理的に無理だとか気持ちが悪いだとか嫌いだとは思っていないです…ですが、それ以前なんです、私は貴方の事をなにも知らない、無関心に等しいんです」
「!!」
まさにその明乃が言った言葉に一番近しい意味としては全く興味を持たれてすらいない、つまり空気と同じという事がわかり陽太は久々に胸を、心を何かでグサッ、と突かれたような気がした、と同時に先ほどまで思っていた「友達」、この思いが薄れたような、そんな気がした
「・・・すみません、貴方から見た場合、私は貴方に少なからず無関心ではなく多少興味がある、そう思われていたかもしれません、ですがそれは違います……なんと言えば良いんでしょうか、とりあえずそんな感じです・・・誤解させてしまってすみません、まぁ唯一貴方への私からの言葉での救いだとしたら貴方を見ているとどうしても暴言、または侮辱を吐きたくなる、でしょうか、別に嫌いなわけではないんですが・・・」
「・・・」
明乃はそう長々と陽太の心を次々とぐさぐさと突き刺しては頭を下げた、そんな明乃の話を聞いていた陽太は不思議と冷静だった、と同時に思った事があった、これじゃあつまりかなり遠まわしにフラれたようなもの、なのではと、そしてそう思っては情けなさからなのか目元が熱くなるような、体が震え熱くなる感じがした
「・・・まぁ、とりあえずそんな感じですね私が思った事は・・・って、どうしたんですか?俯いて・・・」
「・・・・・・っいや…なんでも、ない…」
泣いていないにも関わらず鼻が詰まりだした事に気づきできる限り気づかれないようにと陽太は声を震わせ言った、そして内心では陽太は自分に呆れていた、別に振られただとかそういう事じゃなく普通の事を言われた筈なのにこんな短時間で友達になれたらいいなだとかそんなバカな事を考え、思っていた自分に陽太は呆れ、なんとも言えない気持ちになっていた、また小中と適当に生きてきた結果がこれだ、と陽太は何故かそう思った
「・・・気のせいだと良いんですが、貴方、もしかして泣いてませんか??」
「っ!!み、見んなよっ!?」
目を細め呆れたような瞳で下から覗き込んできた明乃に陽太は思わずそう言っては慌てて目を隠し明乃とは反対、後ろを見た、そして陽太を見た明乃は目を大きく見開いてはすぐに普通の眼差しに戻った
「…人の感性については個人差がありますので特にとやかくなにも言いませんが貴方のその感性については少し見直した方が・・・ではなく、見直してください、貴方もわかっていると思いますが私はごく一般な反応をしただけです、また念のため言っておきますが私は別に貴方を嫌っているわけではないです、もう一度言います、別に私は貴方を嫌っているわけではないです、わかりましたか?」
「・・・」
なにもかも今まであった事がない部類なのか流石の明乃も多少焦っているような表情をしては二回、そう言った、それに対し陽太は声が出せないのかコクコクと頷いた、そしてそれを見た明乃は安心したのか胸をそっと下した
「・・・にしても、私自身が言うのもなんですが…私は今日一日貴方にはかなりの暴言を吐いた筈です・・・ですが貴方は現に何故か泣いています…、理由は…まぁ、私自身もよくわかってないので…できるだけ良く考えては先ほども言った通り貴方は私に嫌われていると思ったとします…ですがその場合、不可解な事がたくさんあります、まずは第一に今言った貴方への暴言、この時点で嫌われる事間違いないんですが…でも、そうだとしたら貴方が泣いた意味がわかりません……失礼ですが、もし本当にその理由で泣いていたとしたら貴方は本当に…」
とても長ったらしく何を伝えたいのかわからなくなってきている明乃の話についていけなくなったのか陽太は
「・・・っ、もう、いい…考えないでくれ…」
「・・・そうですか」
これ以上言われたとして、ただ惨めになるだけ、そう陽太は思い話に終止符を打った、それに対し明乃はなんとなく陽太の気持がわかったのか窓の外を見て目を反らした
「…一つ、言えるとしたらやっぱ俺の感性の問題だ…だからあんまり気にしないでくれ…」
「・・・わかりました」
もう泣いている事がバレている事に陽太は鼻声だろうがもうどうでもいい、そう思いそうぶちまけた、そしてそう言ってくれた事に明乃は少しどこか救われたのか安心したような表情をしていた
「・・・・・・悪いけどこんなんじゃ授業に参加できねぇや…体調悪くしたから欠席したって、言っておいてくれないか…」
「…すくなからず今回は私にも非があります、貴方を泣かしてしまった事には変わらないですからね、仕方ないです、伝えておきます」
「・・・そっか、ありがとう」
多少違えど、でも変わらない優しさに陽太はまた心がドクン、と喜びのようなそんな感情が浮かんだ、だがそれは今にとっては嫌な感情でしかない、そう陽太は思った
「・・・いえ、後空気を読めなくて大変申し訳ないんですが…いえ、貴方にはこんな親切にする必要もないですね、明日、放課後から部活やりますので必ず来てください、来なかった場合貴方を一生地獄に落とします、わかりましたか?」
「!!…あぁ、わかった…ありがとう…」
ほんの少しだけ口元を吊り上げほほ笑みそう言った明乃に陽太はまるで心の中を見透かされたような、でもこんな約一日しか話しをしていないのに自分の事をこんなにもわかってもらえてるような、でも本当は全くわかってもらえていない、なんとも言えないよくわからない感情に陽太は嬉しいような、嬉しくないようなそんな感情が心を揺すった
「…それでは後数分で授業が始まってしまいますのでもう行きます、明日ちゃんと学校に登校してください、必ずです」
「っわかってるって…」
ほんの少しだけ陽太の調子が戻った事を確認した明乃はそう言うと行ってしまった、そして視界から消えるまで見ていた陽太は自分の胸を、制服を握るように触った
「・・・・・・すっげぇ・・・」
気持ち悪い…、なんとも言い表せない感情に陽太はそう口に出し、吐き出しては保健室、職員室と行き無事、早退できた。多少怪しまれもしたがなんともなく陽太は家へ帰った




