プロローグ
さあ、いつまでかけるか知らないけれど、暇だったら核!
以上!
死を、覚悟した。
椅子に座らせらされたままロープで縛られ、体の自由を奪われている。
アバラ骨が折れてるみたいで、息をするたびに胸のあたりに痛みが走る。
額を切ったみたいで、血が止めどなく流れており、顔の半分は血で濡れている。
もう感覚はない。指一本動かせない。
のどの渇きは限界に達している。これ以上の出血は命に関わる。
だけれどもう、俺には打つ手がない。
交渉は不可能。脱出はもっと無理。ジュネーブ条約? 知るか! 俺には関係のない話だ!
ここから帰還するには、いきなり俺の中に眠っている真なる力が目覚めるか、お偉いさん方が俺のために交渉をしてくれるのを祈るだけだ。
まあ、そんな奇跡は起こるまい。
真なる力? ありえない。俺は生憎、勇者でも英雄でもないんでね。
お偉いさん方が交渉をする? 馬鹿、それはもっとありえない。もしそれで助かりでもしたら、俺は一生窓際生活だ。
そんな屈辱を送るくらいなら、いっその事、舌を噛み切って死んでやるよ。
そんな事を考えている間も、血はドクドクと流れ続けている。
――くそ、服が重いな。血、結構吸ってる。……これはもう、本格的にダメかもだな。
瞼が重い。寝るのは問題ない。問題はもっと別のこと。
彼らは俺を殺すだろうか。
まあ、殺す理由はあっても生かす理由はないしな。
それに安心して、俺は瞼を閉じた。もう二度と光は見えないだろと思いながら……。
***
「ジン! 参謀閣下にぃぃ! 敬礼ー!!!」
ザッ!
とまあ、まさか死んだ後に魔王軍の作戦参謀長に就職するとは、流石の俺も予想してなかった事態だ。