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硝煙のノア  作者: 真白シグマ
7/22

第6話 幼竜の牙

なんか色々ごめんなさい。これからもっと遅れます

ポートリック・サイエンス某国本社

取締役ファラン=フィッツロンド。彼は自室にて各国の機兵器(ノア)の情報を収集していた。

彼は前取締役のネイル=オールドマンの死後、その役職を継ぎ、全世界にP.S社の名を機兵器を持ってして広めた。そして10年前、機兵器のブームを世界に巻き起こした功績から、その年を代表する人間に選ばれた。その輝かしい実績の裏、彼はとある暗躍をしていた。

「コード:オルセニアか。コード:シャルパの機兵器に面白い物が見つかった。今度の軍事実験に試してみてはどうだろうか」



石波(いしなみ)高校

機兵器部:部室

「しかしまあ、燃料とかかつかつなんだよなぁ…スポンサー戻ってこねえかな」

「えっ、燃料無いのにあんなにドンパチしてたんですか!?」

放課後いつも通り部室に寄ったら霧島(きりしま)先輩が頭を抱えていた。多摩(たま)先輩は最早呆れて物が言えないといった様子だ。そしてそのドンパチのおおよその原因である俺は何も言えなかった。

「やっほー、って何この暗い雰囲気。もっとパーっとやろうよ」

黄泉原(よみはら)先輩…それどころじゃないんす。機兵器部存亡の危機なんです」

「おい黄泉原ァ!お前の頭脳でなんとかしてくれ!!」

「落ち着け、まず何があったか話してくれぇ!できるだけ考えるからさぁ!!」

燃料不足の話をしたが、そこまで驚いた様子は無いように見えた。

「お金持ち探そーぜ、アテはあるし」

黄泉原先輩以外の全員が一瞬フリーズした。資金提供者を探すって言ったよなこの人。

「黄泉原さん……機兵器の資金提供って馬鹿にならない額ですよ?」

「そもそもどこから見つけるんだよそんな奇特な人間」

「いやこの前スナイパーをスカウトしようみたいな話出てたじゃん?だから金持ちの家見つけて」

「大人しく企業探したほうがいいっすよ!だいたい大企業の息子とかそういうコネない限りその方法使えないじゃないっすか!」

そんな議論が白熱する中、唐突にドアがノックされた。

「だいぶ困ってるみたいだな」

部室に入ってきたのは部の顧問だった。この前部室前で霧島先輩と話をしていた人だ。

「はい、その……燃料が不足していまして…」

「それだけじゃない。現資金では機体の整備で手一杯なんだろ?」

「え、ええ…」

____________

この間、黄泉原先輩が一昨年の試合を見せてくれた。その結果は、かつて強豪と言われた頃の面影をまるで感じなかった。その辺の中堅高校に4試合目で敗北。しかし、1つ疑問が浮かんだ。

「なんで霧島先輩ほどの人がいながら、こんな負けを…」

「部長の機体をよく見て」

「…これは」

霧島先輩が乗っていた機体は……スカーレットじゃなかった。

「スカーレットにする前は普通の2脚機を使ってた。スピードとパワーで押し切る速攻型。でもこの年は電子戦使いがいなくてね」

電子戦タイプの機兵器にボロボロに負けた。俺は受験勉強どころで前年までの大会は見ていなかった。まさかこんな事態になってたなんて……。

「この次の年に部長はスカーレットを使い始めて、準決前までこぎ着けたんだけど……その年に(ホロウ)の乗り手がいなかった。それが決定的に黒星の原因に繋がってしまったの」

「て事は、霧島先輩ってあのタイプを1年かそこらしか使ってないって事ですよね…?」

「そうなるね。部長はよく私の事を天才とか言ってくるけど、スカーレットを数ヶ月でまともに戦えるレベルにまで扱えるようになるなんて……そっちのがよっぽど天才だよ」

_____________

「正直、最近の成績ではスポンサーも離れますよね……」

「そこで、話がある。いいぞ、入ってきなさい」

顧問の先生がドアの向こうに声をかけ、生徒が入ってきた。バッジからして、俺と同じ一年だ。

「あ、あの……僕、先日の試合見て…機兵器ってかっこいいなって思いまして、それで、入部をお願いしたいのですけども……」

唐突な入部申し込みに俺たちは少し面喰らう。最初に口を開いたのは霧島先輩だった。

「いや、それは別に構わねえけど……先生、それとこれの何が関係して」

「その子がスポンサーになってくれるらしい。彼女は、王並(きみなみ)重工の孫娘、王並沙羅(きみなみさら)さんだ」

「僕、皆さんが困っていると知り、また機兵器が輝く姿を見たいと思って……でも僕は、戦えないので」

「戦えなくても構いません。俺は、いや、俺達は、その心だけで十分です」

「なんだなんだぁ?多摩もいい事言うようになったじゃん!」

「その、王並つったか?」

「は、はい」

「……よろしくな!」

こうして、俺達にまた新たな仲間ができた。


「おじいちゃん!石波の人たち呼んできたよ!」

翌日、俺達はその王並の工場に向かった。

「君たちが石波の機兵器部か……」

王並の爺さんはそこそこ強面でジロジロ見られると少しアレだ。

「いい面構えだ。時に、零のDCSを使えるのが入ったと聞いたが」

「あ、はい!俺です!」

「ふむ…どれ、一度手合わせしてみるかの。沙羅、相手してやりなさい」

「ちょ、ちょっとおじいちゃん!?」

「……まさか、『また』戦えないと嘘を吐いたのか?」

王並が、戦える?

「だ、だって……撃つの怖いし」

「はあ…腕は確かなんだから謙虚になる事も無かろうに。葉隠と言ったかな。零をここまで持ってこれるか」

「え、今戦うんですか!?」

「ワシの輸送機貸してやる。試しに戦ってみるといいじゃろ」

沙羅は優れたスナイパーじゃ。

そう言い残し、爺さんは作業に戻った。

「はあ……おじいちゃんのバカ。こうなったら仕方ないですね、葉隠さん!いざ尋常に勝負です」

「ッ!?」

さっきまでと明らかに雰囲気が違う。そこにいるのは、ただの一人の戦士だった。

「王並ねぇ……工業のイメージしか無かったけど、そういや凄腕のスナイパーがいるって話聞いた事あるなぁ」

「黄泉原…お前ぜってえ知ってたろ」

「沙羅ちゃん、あなた……中学生でとんでもない成績残してたわよね?その成績での推薦でここに入ったとか?」

「……結構頭がキレるんですね。おちゃらけた人だと思ってましたが」

基本おちゃらけた人だと思ってもらって構わないな、うん。

小型機兵闘技祭(ミニマムメカリア)であなた、準優勝した実績があるでしょ」

「小型機兵闘技祭?」

「機兵器のレプリカで行う簡易型の機兵闘技祭だ。認知度は低いが、だからこそ実力者が集まる。そしてその中で準優勝したって事は…」

「葉隠くん、君負ける可能性あるよ」

話が大体終わったところで零が運び込まれた。

「じゃあ王並、勝負だ」

「はい!」


第6話 了

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