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硝煙のノア  作者: 真白シグマ
16/22

第15話 それぞれの結末

お久しぶりです。

異世界の方がやっと投稿できたのでこっちも出します。

(ホロウ)が二刀のレーザーブレードを手に取った。石波が独自開発した小型の対のアカシック。その名も……

「アカシック・ツヴァイ、こいつが俺の本領だ」

「見てなかったか?俺の実体ブレードはレーザーブレードをすり抜ける」

青い機兵器(ノア)は空中を浮遊し、いつでも突撃できる準備をしている。

「逆も言えるだろ?そのブレードじゃ、レーザーブレードを受け切れない」

そして、俺は柄の端を合わせ一体化させる。アカシック・ツヴァイは、二刀の短刀から、薙刀に変化した。更に、補給部隊の護衛らしき機兵器からライフルを取り、左手に装備し敵を見据える。

「武器同士を結合した……?これもDCSの力……?」

黄泉原(よみはら)は驚きつつも、零のパラメータを確認する。そこには、さらなる驚愕の事実が待っていた。

「……シンクロ率、65%……だって……?」



士南が乗るアイギスに降りかかろうとしたアカシックの一撃を、多摩が乗るナックルが受け止める。

「俺が止めてるうちに、みんなを連れて避難してください!!」

「だがお前は……!」

「何とかします。できるだけ戦力、特に適合者は保持した方がこれから先有利になります……だから早く!」

アイギスがナックル以外の2機を庇いつつ、校舎裏に連れて行こうとする。

「させるか!」

「こっちの台詞だ!!」

王並の射撃が敵の足元を直撃する。

『そこから動けばケガするよ』

「……くだらん、まずは貴様からだ」

アカシックの出力がさらに高まるのを感じ、多摩は覚悟を決めた。

「丁度いい、これを試す時か……」

突如、ナックルの頭部にあるカメラアイが赤く光り、脈打ち始めた。そして、赤い光が機体を全体的に包む。

「なんだ、それは」

青年はこの戦いの中で、初めて驚いた様子を見せる。

限定解除(オーバーロード)、ってとこですかね」

「……面白い、と言いたいところだが」

敵は唐突にアカシックの出力を切った。

「部下から葉隠露雨の残したデータを回収したとの報告が入った。作戦は終了、非常に残念だ」

「……逃げるんですか?」

「挑発のつもりか。そんなガタガタの状態で良く言う」

敵機はライフルを構え、校舎に向けて発砲する。

『くっ……こちら王並、右手が被弾した!これ以降の狙撃は続行不能です!』

「……狙おうと思えばいつでも潰せた……」

「そういう事だ。まあ、退屈しのぎにはなった」

そしてその機兵器は再びヘリコプターに接続され、ゆっくりと飛び立つ。

「ナックル……その機体もよく覚えておこう。準備はしてもし足りないからな」

やがてヘリコプターが見えなくなると、校舎裏から士南、華間、天堂の3人が出てきた。

「持ちこたえてくれたか」

「何とかするって言ったのは自分です。有言実行したまでですよ」

多摩がナックルから降りると、校門に1台のジープが停車した。そこから降りてきたのは、霧島と八重の2人だった。

「部長……それに、八重先輩!?そのジープは……」

「こいつはたまたま救難信号を受け取った傭兵のモノだ。しかしまあ、ひでえ有様だな」

「多摩君久しぶりだね。……そのナックル、何があったの?」

霧島と八重はボロボロの機体と校舎前を見つめ、戦闘の気配を察知した。

「それについてなんですが……」

多摩が先ほどまでの戦闘について話そうとした矢先、霧島の端末に通信が入る。発信元は黄泉原からであった。

「悪い、出るぞ……どうした?」

『部長、今どの辺?』

「丁度城鐘に着いたとこだ。……なんかマズい事でも起きたか?」

『葉隠君のシンクロ率が65%に到達した』

「……何だと?」

『至急みんなを城鐘の部室に呼んで、ここでの戦闘もそこで説明する』

「分かった」

霧島は通信を切り、4人の前まで歩く。

「黄泉原さん、何と……」

「多摩、八重先輩、あとそこの3人、それと王並も聞こえてるか?これからここの部室まで向かう」

「いきなりどうしたんだい?血相変えて」

天堂が焦りを見せている霧島に対し、質問を投げかける。

「かなりマズい事になった。ワケは向こうで話す、急ぐぞ」



薙刀によって片手が空き、ライフルで遠距離に対応できるようにはなったが、それでも敵の速度には程遠い。

「ちっ、ちょこまかと……」

「俺のスピードに置いてかれて、蜂の巣になりテメエは死ぬ。それだけの話だ」

いつも以上に零との連携が上手くいってはいるが、それでもダメージを最小限に抑える事で精一杯だった。

「……スピード勝負なら負けねえっスよ」

聖坂の乗るバニシングが青い光を纏って立ち上がる。DCSに繋いだ証拠だ。

「あ?片腕失ってからじゃ遅すぎるんじゃねえか?」

「いやいや、コイツはちっとばかし寝ぼすけでな。本気出すまでに時間かかるんスよ」

と、言うが早いか……バニシングは既に青い機兵器の後ろまで移動していた。

「なっ……!?」

「こっからは退屈させねえッスよ……さあ、楽しもうぜ」

バニシングが左腕に握っていたブレードを勢いよく振るう。敵は間一髪腕に装備したユニットを犠牲にし、機体そのものへのダメージを無くす。

「相手は1人じゃねえぞ!」

俺は苦戦する敵機にアカシック・ツヴァイを振り下ろす。敵は即座に反転し、俺の一撃を躱す。

「……そうか、超スピード。それがお前の副産物か」

「ご名答。けど、バレたところで……どうという事はない」

「望むところ……あ?通信か?」

敵が構えを崩す。俺はさっきの件から緊張を解かず、機兵器に意識を向け続ける。

「……作戦終了だとよ、悪いな。お遊びはこの辺でお開きにするか」

「逃すか!」

聖坂と俺がブーストの準備に入ると傭兵はまあまあ、という風に口を開く。

「待てって。俺は左腕のユニットを失ったもののノーダメージ、それに対してそっちは片や右腕を失い、片や連戦で疲弊しまくってるはずだ。その状態で俺を追ってどうする?」

「交渉ってワケか」

「互いに退いて整えた方が利口だとは思うがな……それでも俺を追うか?」

俺たちは武器を降ろし、DCSを切る。相手もそれに応じ、飛行ユニットを元の形に戻す。

「話が分かるやつで助かるぜ。お礼といってはなんだが、面白い事を教えてやるよ」

青い機兵器はユニットに接続し、浮上する。

「エスカの目的」

俺と聖坂はほぼ同時に反応する。自分の部長を殺害されたからか、静かに、だが怒りを込めて返答する。

「……さっさと言え」

「おー、こわこわ。アイツらの目的、それは……」


『機兵器の殲滅』


余りにも突拍子も無い内容に俺は唖然とした。機兵器を無くすだと?そんな事、可能なのか?それに何のために?

「どうもお偉いさん方はヒトの未来のため、らしいんだが……俺としてはそんなのは関係ない」

飛行ユニットのブースター出力が最大になる。

「俺は、強いやつと戦えりゃそれで構わねえ。それだけだ」

それだけ言い残し、傭兵は飛び去っていった。



「で、何があった?」

霧島、八重、王並、多摩、士南、華間、天堂が部室に到着し、各々席に着く。先刻までの戦闘をざっと霧島と八重に伝えたのち、黄泉原が口を開く。

「こっからが本題ね。葉隠くんと零のシンクロ率が50%を上回ったの」

「何……?」

最初に声を上げたのは華間であった。

「シンクロ率は通常でも30%前後のはず……50%を超えるなんて、滅多にない事だぞ」

「それに、同調しすぎると……マズい事になるね」

続いて天堂が口を開く。DCSについて知識のある者が深刻な表情をしている。そんな中、多摩が疑問を投げかける。

「あ、あの……このままだと、葉隠君に何が起こるんですか……?」

「意識が零に飲み込まれる。自分の意思で戦う事が不可能になるんだ」

黄泉原が資料を広げながら説明する。

「それはつまり、暴走するって事ですか……?」

「そういう事になる。ところで、葉隠と聖坂の戦況はどうなった」

士南は黄泉原に念のための確認を取る。

「みんなが来る前に連絡取ったけど、作戦が終了しただかで敵さんが撤退したってさ。まあ、さっきの戦闘と一緒だね」

そう言いながら、黄泉原は葉隠達に通信を繋ぐ。

「こっち側の戦闘は全部終わって、今大体の説明が済んだところ。そっちも至急帰還して」

『了解です、なるべく早……く……』

葉隠の通信にノイズが混じる。

『葉隠くん、どうしたんスか!?応答してくれ!!』

「聖坂くん、何が起きたの!?」

『わかんねえ!だけど、急に零が膝をついて倒れやがった!』

『が……ッ!うぐぁああああああああああああああああ!!がはっ、がぁあッ!!』

葉隠の絶叫が通信を通して響く。

「コアを停止させて!今はそれしかない!!」

『分かったっス……ちとガマンしてくれよ』

レーザーブレードの音が鳴り、少年の慟哭は聞こえなくなった。

「葉隠さん……?」

王並は、ショックの余りその場から動けなくなっているようだ。すっと華間が近づき、頭を撫でる。

「大丈夫。聖坂が上手くやってくれた筈だ。仲間なら、信じて待ってよう」

王並は、華間の腕の中で何度も頷く。

「……ちっとばかし、感覚が麻痺ってたな。今回は運良く全員生還出来たが、いつ死んでもおかしくなかった。特に、城鐘での戦いなんかは、5人全員生きてるのが奇跡に近い」

霧島は嗚咽を上げる王並を一瞥し、全員に語りかける。

「気を引き締めていこう。そして、勝つ事じゃなく、生きて帰って来る事を第一に考えろ。俺たちは戦闘のプロじゃない」

霧島の言葉に反論する者は、誰1人いなかった。



「先パーイ、何かポストに入ってますよ?って、城鐘からじゃないですか。聖坂さんにまたこっぴどく怒られますよ」

「げっ、マジかよ……あいつの説教長いから嫌なんだよなぁ」

「しかも中身、DCS適合者を募るやつじゃないですか。これ怒られるの俺なんですけど」

とある高校の機兵器部にて、2人の生徒が話し合っている。

「まあまあ、この新技術のパーツ持ってけば向こうも黙るだろ。ポストに気づかなかったのは俺の不手際だし、俺から伝えとくよ」

「頼みますよ、ホントに……」

彼らが所属するのは、東雲科学技術高校。機兵器の特殊パーツ研究で知られており、彼らの内の1人『加賀美沙仁(かがみさじん)』こそ、DCSの使い手である。

「さて、こっちからも連絡しておきますかね」


第15話 了

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