VRMMO小説における不遇職の人気の高さ!
この小説はあくまでも私の考えであり、完璧な答えを導き出す物ではありません。あくまでも個人的な物なので、皆さんのご意見は聞き入れますが「絶対に違う!」と言う完全否定はお勧めしません。
この小説が皆さんの考えるきっかけとなれば、幸いです。
なろうの小説には様々なジャンルが存在する。
文学、恋愛、歴史、推理、ファンタジー、SF、ホラー、コメディー、冒険、学園、戦記、童話、詩、エッセイ。以上に属さない物をその他と分類しているが、その他を除いても14という多くのジャンルが存在する。そしてそのジャンルの中にも傾向があり、恋愛ならば『乙女ゲーム転生』や『悪役転生』、ファンタジーならば『異世界転生』や『チート』と言ったある程度の傾向が見える。勿論、これが全てと言う訳ではないが、おおむねその傾向があると言う意味である。
その中でSFと言う小説で多いのがVRMMOを取り扱った小説である。
VRMMO。仮想現実大規模多人数オンライン(Virtual Reality Massively Multiplayer Online)の略称であるこのジャンルは、Web上で多用されるジャンルの1つである。
仮想現実、つまりはこの世界ではないゲームの世界などで、まるでその世界にトリップしたかのよにゲームを楽しむという小説のジャンルであり、代表作をあげると近未来でVRMMOを舞台に繰り広げる『ソード・アート・オンライン』、VRMMOに飛ばされた主人公達が現実と化したゲーム世界で暮らす『ログ・ホライズン』などがあげられる。この2つを例にあげたのは、VRMMO作品として多くの人に知られていると言う点もあるが、同時にこの2つがVRMMOの小説の代表的な例だからである。
VRMMOを題材として扱う作品は次の2つに分類される。
1つは『ソード・アート・オンライン』のように、VRMMOを楽しみつつ現実世界ともリンクして居ると言う作品だ。『ソード・アート・オンライン』の作品のネタバレになってしまうが、この作品は現実世界に帰る事が出来る。現実世界とVRMMO、2つの世界がリンクして居るタイプであり、このようなタイプでは現実の事件とVRMMOが時に関わってくる場合がある。その現実の事件は別に世間を騒がすような事件である必要はなく、仲間内で起こった些細な出来事もある。例を挙げるとすれば現実の殺人事件の犯人の手掛かりがVRMMOにあるとか、現実で離ればなれになってしまった友達がVRMMOでまた知り合うとかだ。逆にVRMMOで何か事件があり、現実世界に影響をもたらす場合もあり、これの例としてはVRMMOの男性キャラを女性陣が好きになってしまって操作しているプレイヤーにも恋愛感情を持つという話である。まぁ、他にもあるだろうがそれは作者がどうするかによってくる。
もう1つは『ログ・ホライズン』のように、VRMMOから出られなくなった、所謂デスゲームである。デスゲームでは、ゲームのキャラクターが死ぬと現実の操作しているプレイヤーが死ぬと言った物が多いが、ゲームのキャラが死んでも復活する場合も存在する。共通しているのはゲームから出られないと言う事だろう。
VRMMOは大きく分けて上の2つに分けられる。
さて、今回私が考察するのは、VRMMOの定義ではなく、VRMMO小説における『主人公=不遇職』と言う事に関してだ。
「ゲームでは不遇職だったけど~」や「俺が選んだのは不遇職とされていた○○と言う職業」、「なんと不遇職とされた○○になってしまった!」などと、最近のなろうのVRMMOを扱った作品では『不遇職の主人公がVRMMOで頑張る』と言う小説が多くなっている傾向があるが、これはどう言う事だろう。今回はそれについて考察してみよう。
VRMMO小説において、不遇職と呼ばれる職業はゲームの定義によって変わってくる。『精霊と契約するのが難しい』と言うVRMMOでは精霊と契約する事が前提の職業は人気がない不遇職とされるし、『現実の器用さにキャラの器用さが関わってくる』と言うVRMMOでは物を作成する、所謂生産職は人気がない不遇職となる。後にゲームのバージョンアップとかで、不遇職じゃなくなると言ったVRMMO小説もあるが、大抵の場合、小説の開始時は主人公の職業は不遇職である。
不遇職を扱ったVRMMO小説において、主人公が不遇職を選んだ後の記述は、大抵の場合、それがどうして不遇職なのかと言う短所が書かれている。
ここで例をあげてみよう。
『僕が今から遊ぶVRMMOでは、僕が選んだ弓を使った職業は不人気の、不遇職とされている。
それはこのVRMMOの世界が銃の世界で弓は発動までに時間がかかり、なおかつ威力も銃に比べると劣るからである』
これは1つの例ではあるが、不遇職を扱った小説では上記のように、まず主人公が不遇職を選んだと言う事実が伝えられ、次にそれがなんで不遇なのかの短所があげられる。その後に多いのは主人公が不遇職を選んだ理由であるが、これは主人公がどのような人間なのかにより、「『魔物が好きだから』で魔物使いを選んだ」みたいな主人公がどんな職業なのかが関わってくる。またこれは、どうして不遇職なのに選んだのか、と言う主人公の理由付けにもなってくるので、忘れずやるべきであろう。
さて、脱線してきたので、そろそろ話に戻ろう。
『主人公=不遇職』のVRMMO小説が多くなった理由として、私は「主人公が考えるから」と結論を付けた。
例えば主人公が不遇職ではない、特に問題もなく、VRMMOを楽しめる職業を選んだ小説では、主人公は特に悩まず、ゲームを遊ぶだろう。
しかし、不遇職を選ぶとそれが考えるに繋がる。普通にプレイするだけでは楽しめず、「どうすれば不遇でなくなるか」や「どうすれば上手く良くか」と言った主人公が考えるシーンが不遇職を扱った小説の魅力である。
ただ漠然とゲームを楽しむ主人公が活躍する小説も、読めば楽しいだろう。
しかし、不遇職と言われながらも自分で考え、答えを出してVRMMOを楽しんでいる、考える小説のほうが人気が高いのは言うまでもない。
これはほかの小説でも同じで、ただチートで無双するだけの小説よりも、考えて考えながら自分の可能性を模索する小説のほうが人気が高くなるのは言うまでもない。
これは他の小説でも言える事であり、主人公が考えなしで動く小説よりも、主人公が彼なりに考えて動く小説の方が面白いのは当然の事である。
皆さんも、そう言った面でVRMMO小説を読みながら考える事をおすすめします。