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大公  作者: ヨクイ
第4章 野望への道
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飢狼の牙

 次々と首都陥落の知らせがオレの元に届いた。

 陥落した首都には武装文官を配置し、指揮をとらせ、本隊は次の国の首都へと向かわせる。

 今回の攻略目標は隣国だけではない。

 隣国と陸続きにある東方四カ国と西方二カ国も含まれている。

 首都陥落を成功させた部隊は、そのまま鉄道による移動を続け、鉄道の各終点である周辺国の首都まで一気に進軍する。

 陥落した国では、王の名で領土内の貴族へ降伏勧告を出させた。

 国内の戦いでは、貴族の財産領土はすべて没収したが、それは今回は行わなかった。

 より多くの貴族に降服させ、貴族に対して部隊を多く割かず、効率よく進軍するためだ。

 爵位廃止と私兵保有禁止を条件としたが、それに従えば財産と領土までは奪わないと呼びかけた。

 いずれは没収するつもりだが、今は攻略を優先とする。

 従わない貴族には、第九、第十軍団から部隊を派遣して徹底的に叩きつぶし、見せしめにした。

 彼らが震えあがって、二度と馬鹿な考えを起こさないように。

 思惑どおり、その残酷な有様を目の当たりにした貴族たちは、早々に降服を願い出た。

「さっさと降伏しておけば良いものを」

 最初に潰された貴族は運が悪かったとしか言いようがない。

 オレは低く笑った。

「部隊はどこまで進んでいる」

「南方はやや苦戦しているようです。東方は既に進軍し、宣戦布告の通達が送られました。西、北も既に隣国を制覇し、移動中です」

 南方は肥沃だ。

 自信満々にこちらの要求をはねのけてきただけあって、軍備にも自信があるのだろう。

 隣国ではない国には、援軍を送ろうとしたという濡れ衣をきせて進軍した。

「南方に遊軍を送る必要があるか」

 南方経路は、第三、第四軍団が担当になっているはずだ。

 第三軍団長は穏健派で状況判断にも長けているが、第四軍団長は、武断で部下の信頼も厚いが、少々融通が利かないところがある。

「報告から察するに、問題ないでしょう。陥落も時間の問題だと思われます」

 太政大臣が、オレの胸中を察したように言葉を添えた。

 そこへ、情報卿が入ってきた。

「先ほど報告があがりました。東方一国で、貴族の兵が徒党を組んで王城に向かっているそうです」

 やはり、きたか。

 懲りない貴族が欲をかき、主力部隊が移動したのを見計らって首都奪還に動いたのだ。

 泡良くすれば、自分が政権をとれるかもしれないとでも思っているのかもしれない。

 愚か者どもめ。

「部隊の規模は」

「およそ二千とのことです」

「王城には八百人の武装文官を配備しております」

 武装文官には予め要所にガトリング銃を配備するように命じてあり、それぞれライフル銃も持たせてある。

「至急、第十軍団を派遣しろ」

 第九軍団は別件で貴族鎮圧に動き、今、西方から移動しているところだ。

 第十軍団を動かしたほうが早いだろう。

「抵抗するものはすべて殲滅せよ」

 そして、刃向かったことを後悔するがいい。

 自分の愚かさに気付くまで、頭と胴体がつながっていればの話だが。


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