とある女性の『黒き死の森』についての取材。
※ダンジョン経営歴100年に突入しました、関連作品。
『黒き死の森』、そう呼ばれるダンジョンがある。
その森の木々は、不気味だ。空は他の場所とは隔離されているかのように黒い。昼であろうか、その森の中は夜を感じさせるほどに闇を纏っている。
今から100年以上前に出現したダンジョンは、今では難易度Sランク級のダンジョンにまで成長していた。
『黒き死の森』から時たま溢れ出たモンスターは、近くの村を壊滅させるほどのもので、『黒き死の森』周辺の村はすっかりなくなってしまっている。
一番そのダンジョンに隣接しているのは、オーガスト王国と呼ばれる多くのすぐれた魔法使いを生み出している魔法国家である。
その国はいつも『黒き死の森』から湧いてくるモンスター達に頭を悩ませ、多大なる被害を受けている。
そして私、アイオスは出版社で働き始めた新米だ。
私の初めての任務は、『黒き死の森』に関する本を出版するための、情報収集であった。
そのためにわざわざ『黒き死の森』から一番近い町(とはいってもかなり離れているのだが、迂闊に近づくとモンスターがうろついているらしい)に来ていた。
時々入りこんだモンスターに人が殺されることもあるらしく、街は城壁で囲まれている。元々この街、ロイスプスと『黒き死の森』の間に幾つもの森があったと聞くが、そこはモンスター達に壊滅させられたのだという。この街には『黒き死の森』を攻略するために集まった沢山の冒険者たちがいる。
さて、情報収集を頑張りますか。
ロイスプスで宿を営む、おかみの証言。
『黒き死の森』について教えてほしい? なんだい、あんたあそこに入る気かい、やめた方がいい。え、取材? そうか、それならよかった。あんたみたいな若い子が死ぬのは気分が悪いからねぇ。
それで、『黒き死の森』についてだっけ? あたしの知っている情報は冒険者の連中に聞いたものや街に伝わるものしかないけれどいいかい? いいのかい。それなら知ってる事なら話すさ。あそこのダンジョンを攻略してくれる人が現れたらあたしは嬉しいからねぇ。
まず『黒き死の森』が100年以上前に唐突に現れた事は知ってるだろう? 不気味な森だろう? 昼夜問わずに空は暗いんだ、あそこは。初期ダンジョンは普通、ダンジョンも狭いし雑魚モンスターしか現れず簡単に攻略できるだろう? それが当たり前だ。でもあのダンジョンは街の記録によるとそうではなかったらしいんだい。
確かにモンスターは雑魚ばかりだったらしいんだ。でもあそこの難解な所はトラップの多さと悪知恵の働いたモンスター達の連携プレー、そして、宝石の場所が見つからないことだったらしい。
普通、ダンジョンの核となる宝石はダンジョンの奥深くや、森型のダンジョンだと中央の宝石置き場に置かれているだろう? そしてその宝石置き場の前にボスモンスターがいて、倒して宝石を持ちかえり、ダンジョンの外まで持ってくればダンジョンは消滅するっていうだろ。魔人っていう存在を殺せばダンジョンは消えると言われているけど、魔人は基本表だって行動しないと聞くからダンジョンを消滅させるためには宝石を奪うのが一番らしいんだがね。
初期ダンジョンの頃に何十人もの犠牲者が現れたと、記録されているよ。そして犠牲者が多すぎると少しランクの高い人間がいった場合もダンジョンの中で宝石を見つけられなかったらしいんだ。それから今も、ダンジョンの核である宝石は宝石置き場にはおかれておらず場所がわからない。そもそも今やもう、あのダンジョンは難易度Sランクであるし、多くの冒険者の命を散らしている。
森の中心部まで行ける冒険者はゼロなんだ、最近では。ボスモンスターに遭遇するまでもたどり着けない。だから年々あのダンジョンは規模も、難易度も上がっているにも関わらず攻略する手立てが全くないんだ。
おっと、お客さんだね。あたしは接客をしなきゃならないんで、これぐらいで勘弁しておくれよ。どうしても知りたいなら『黒き死の森』に入ったことのある冒険者にでも聞いた方がいいと思うね、あたしは。
―――お話、ありがとうございました。
宿の中に泊っている冒険者パーティーにも話を聞くことにした私はその後、話しかけやすそうな冒険者パーティーに話しかけてみた。流石に話しかけにくい雰囲気のパーティーには話しかける勇気はない。私一般人だし。
ロイスプスの宿に泊っている冒険者5人パーティーの証言
『黒き死の森』について? 生憎だが、俺たちはこれから入る所だから実際にはしらねぇよ。ま、事前に情報を集めはもちろんしてるがな。それでいいなら俺達でよかったら協力するぜ?
『黒き死の森』は難易度Sの中でも、特に注意しなければならないダンジョンだっては聞いてるぜ。そもそもあのダンジョンは、入ってすぐに見るモンスターでさえ厄介らしい。《ポイズンハニー》っていうモンスターを知ってるか? まぁ、《ポイズンハニー》ってのは普通少しのしびれを相手に与えるだけで、火属性の魔法ですぐに殺せるんだ。しびれで少し麻痺はするが数秒で治るから特に問題のないモンスターだ。まずそいつらがあの森には昔から多いらしいんだが、こいつからして厄介なんだ。あのダンジョンの中でどういう現象が起こっているのかわからないが、まずその毒が強化されていると先輩の冒険者がいっていた。
そうなのよね。それに加えて、燃やしたら毒がその場に充満するというのよ。厄介だと思わない? たまに即死毒を持った《ポイズンハニー》までいるって聞くのよ。それに入り口周辺に居るのは《ポイズンハニー》だけじゃないって聞くし。
本当に、気を引き締めて入らなきゃやってられないのよね。でも私たちはあのダンジョンを攻略したいから頑張るわ。でもまだ住んでいるモンスターについても不確からしいのよね。実際に、奥にいった冒険者で帰ってきたものは全然いないと聞くし、やっぱり情報が少ないわ。
ただ、毒系のモンスターは沢山居るのはわかっているし、念入りに《治の加護》付きの防具を揃えたの。
あれは、高かったよな。即死毒まであるなら流石に加護付きを装備しないわけにもいかねぇしな。それにしても本当、森のダンジョンでこれだけ難易度高いとかおかしいよな。え、関係あるかって。知らないのか、あるぞ。洞窟や塔、そういうダンジョンなら入口は一つしかないだろう。だから侵入者が入って気にくいっていう利点がある。森だと四方何処からでも入ってこれるから対応しきれない魔人は多いみたいで結構簡単に初期の内に排除されるんだ。
それに核の宝石の場所も、洞窟や塔なら一番奥か、一番上にあるわけだ。初期ダンジョンは狭い。どういう理屈かわからないが、長い時間をかけてダンジョンは進化する。学者連中の推測だと、魔人が何らかのことで力をつけてダンジョンを大きくすることが出来るようになったのではなどといってたが詳しくはわからない。
初期ダンジョンで森だと、狭いんだ。狭い森の中央ってなると、洞窟や塔に比べて入口から宝石への場所が短いんだ。基本的に宝石は宝石置き場に置かれているっていうのにあそこはそこにおいてないらしいから本当に例外だよ。それも、昔の証言だから本当かさえもわからない。今では中央まで辿りつけた奴はいないからな。
本当になんていうダンジョンなのでしょうね。僕はあの森から奇跡的に帰還できた冒険者を知っているのですが、その冒険者も帰還出来たとはいっても右腕と片目を失っていますし、毒に犯されてボロボロで20年近くの治療期間が必要だったらしいのです。体に巣くう毒が中々抜けなかったと。
それで、ボスでもないのにあの森でドラゴンと遭遇したとかも聞きました。あの森のボスって何なのでしょうね。中級のドラゴン…要するにダンジョンのボスでもおかしくないドラゴンが普通に居座ってるというのです。
他にも見たことのない魔物もいたみたいで、本当におっかないダンジョンだと思います。でも、僕たちは経験も積んできたつもりですし、このパーティーならやれると思っています。
あの森を攻略してみせます! それが終わったら冒険者を引退するつもりなんです。あの森を攻略できれば心残りはなくなります。故郷に帰って幼なじみにプロポーズするつもりなんです!
俺も無事に帰ってきたら故郷に帰るつもりだな。もうしばらくかえってねぇ。母ちゃんに元気な所みせねぇとな。俺たちはあの森を攻略すると決めたんだ。
情報も少ないけど、あの森を絶対に攻略しようと思ってる。ただ宝石の場所が問題なんだよな。宝石は宝石置き場に置いていれば収縮して手のひらサイズで埋め込まれているかしているはずなんだ。その場におかれていないとなると幾つもの数にわけて沢山存在しているのか、デカイまま存在しているのかさっぱりわからない。
あんたも知ってるだろ。宝石がそのダンジョンの強さによって大きさが異なること。あのレベルのダンジョンだと、本当に宝石は巨大なはずなんだ。それか幾つもにわけて散乱しているはずなんだ。
そもそも難易度の高いダンジョンは、宝石置き場からはずせば宝石の大きさがもとに戻って、運びにくいからって砕く作業からしなければならない。
その点、バラバラに宝石置き場に置かれているのは砕く手間がかからなくて言い分色んな場所を散策しなければならない。
《黒き死の森》の宝石が何処にあるか、そしてどういう形状なのか、ばらけているのか…、それも攻略するには重要だ。本当に何処に宝石をかくしているんだか…。と、俺たちはもう準備しなきゃ何だ、このくらいでいいか?
―――はい、ありがとうございました。
その後、私は宿を後にして、普通の町民のダンジョンの印象も聞いてみることにした。
酒屋を営む女性の証言
『黒き死の森』? 怖い森よね。絶対に入りたくないわ。近づきたくもない。はやく冒険者の方々が攻略してくれればいいのにって思うわ。
正直話を聞くだけでも、身震いしてしまいそうになるわ。それにあの空なんて不気味すぎるわ。ずっと空が黒いままだなんて…。
ある花屋の娘の証言
怖いですよね。あのダンジョン…。仲良くなった冒険者の人が帰ってこないとかもあるので、もうなんか早く攻略してほしいです。
やっぱり知り合いが帰ってこないのは怖いですから。
元冒険者である男の証言
『黒き死の森』について? 思い出したくねぇな。あそこに入ったのが運のつきだった。俺のパーティーはたまたま入り口で即死トラップに引っかかって…、仲間が死んでな。もうダンジョンに入るのが情けない事に怖くなってしまってな。
どんなトラップかって…、口に出すのもおぞましいからいいたくねぇ…。あっけなく死んじまった仲間の事も思い出すし…。とりあえず、言いたい事は一つだ。死にたくなかったらあそこには入るな。
そうしてお話を聞くのを続けた結果、やはりあのダンジョンは恐怖の象徴らしい。噂話では一度入ったら出て来れないなんても言われているらしい。
私はふぅと一息つく。そうして最後にもう一人にでも意見を聞くかと街中を見渡す。
沢山の人間が行き来する中で、私は一人の少女が目についた。髪も、目も黒い少女。いないわけではないけれど少ない黒髪黒眼の少女に目がついて、彼女に話を聞いてみようと私は話しかけた。
「ちょっといいですか?」
「はい? 何の用?」
その少女は、突然話しかけた私に怪訝そうな表情を浮かべる。腰まで黒髪を伸ばした少女は、可愛らしい顔立ちをしている。
「私は、出版社に勤めているアイオスというものです。このたびは、『黒き死の森』についての取材を行っています。意見をもらってもいいですか?」
「『黒き死の森』についての取材?」
「ええ。本を出版するのです」
「へぇ…」
少女は『黒き死の森』の名前に一瞬反応を示す。だけどその目に脅えや恐怖といったものは格別感じられなかった。何だか不思議な雰囲気を纏った少女である。
「それでは、質問させていただきます。あなたは『黒き死の森』についてどう思われますか?」
「『黒き死の森』についてねぇ。そうね、テンプレ通りに攻略してほしいと答えておくわ」
「テンプレ…?」
「ああ、気にしないでください。ところでそれだけならもういいですか? 私家に早く帰りたいから」
「え、あ、はい」
テンプレなんて不思議な言葉を使う少女に、不思議に思いながらも私は戸惑いながら答える。
もちろん、私は知らない。
私が去っている姿を見ながら少女が、ふーんと楽しそうに微笑んだ事を。そして、その少女こそ、『黒き死の森』のマスターである魔人な事ももちろん知らなかった。
証言を受けた冒険者パーティーはもちろん、殺されました。一応ランク高い高位のパーティーなんですけどね。
※加護付き
治癒とか色々な加護をアイテムにつけることができるので、そういうのがついたアイテムです。治の防具をつけていれば毒はききにくくなります。ただしものすごく高い。
※宝石置き場
神様が面白がって作った。こんなものがあるから宝石は此処におくべきだという認識を魔人は勝手にもってしまうが、実際はダンジョンの中なら何処においていても問題はない。
ただしレベルが上がると宝石がでかくなりすぎる。置き場にはめ込めば勝手に大きさが手のひらサイズに変わるので何処に置くか迷う心配がない。
宝石は最高で10個にまで分けられる(魔人は10個までしかわけられないように神様がしてるため)。ただし、手のひらサイズ以上小さな宝石には出来ないようになっている。
ちなみに冒険者が宝石を砕く場合は幾らにでも砕ける。時たま小さな破片とかが残る事があるが、手の平サイズかそれ以上の宝石がダンジョン内にない限りダンジョンと魔人は消滅するようになっている。
幾つもにばらけさせておいて、10分の9とられたとしても残りの手のひらサイズ以上の宝石があれば生きてはいける。
ただし、10分の9の宝石分のレベルがどっと失われる。
もちろんマスター室に持ち運ぶ事は不可能である。
宝石はダンジョン内にしか置くことができない。
難易度の高いダンジョンでも結構皆まっとうな考えだから宝石置き場に置く。そっちの方が場所をとらないから。でかすぎると10個に分解してもまだデカイので。
ただし、愛は絶対に見つからない場所がいいなーとダンジョン内の地面の奥深くにドスンッと宝石を埋めている。凄い掘らないと発見できない。というか、掘ってる間に冒険者はモンスターに殺される。そもそも誰も地下に色々あるとは思っていない。
↓ただのおふざけのお遊びのオマケ。
※花本愛と邪神による『黒き死の森』についての会話。(《黒き死の森》は入った連中結構死にまくるから奥深くの情報はほぼない)
愛「即死トラップっていいよねー。一瞬でぶちって殺すの気分がいいよ」
邪神「本当面白いよな、愛は」
愛「入り口に侵入者がいた時に気まぐれに天空からふり落ちる巨大な斧で人間ぶったぎりとかさ。即死毒くらって一気に即死とか。即死トラップ考えるの本当楽しいんだよねー」
邪神「愛のダンジョンは見ていておもしれぇんだよな。仲間が即死して逃げまとう仲間とか」
愛「でも私じわじわ苦しめるトラップも考えるの好きだなぁー」
邪神「本当、トラップ考えるの大好きだよなぁ。あの『底なし毒沼』なんて最高だ」
愛「ふふ、あれは私の渾身の一作! 作るの時間かかったし、毒生産にも時間かかったけど、超楽しかったよ、考えて作るの!」
邪神「しかも猛毒だろ。マジ、あれに落ちた奴滑稽」
愛「そうそう。徐々に体がとけていって最後には骨しか残らないの。加護とかでおぼれず毒もきかなくても、沼の中に毒系モンスター大量にいるから完璧なんだよ! 私超頑張って考えたの!」
邪神「普通は地面に見えてる所をモンスターにおいたてられて踏んだらどぼんって落ちるもんな。マジあの顔ウケル」
愛「だってあれってごまかしておかなきゃ明らかに危険な沼にしかみえないし、それで誰も落ちないとか折角作ったのにつまんないじゃんか。だからわざわざ幻影の効果かけて地面に見えるようにしてるんだしねー」
邪神「毒沼作ってから愛は毒の強化もできるようになったしさ」
愛「毒沼作成のために毒についても色々学んだからね。人間の街にいって毒薬のお勉強したりね。それで強化出来るようになったの。ふふ、弱いモンスターだからって油断してれば痛い目見ちゃうんだよー、私のダンジョンのモンスターは」
邪神「他の連中と違って愛って最初から楽しんで、モンスターの改良とか力いれてたしな」
愛「だってやられたくなかったから。神様ってば鬼畜だし、一番最初MP少なすぎて雑魚モンスターしか作成できないし」
邪神「だからって地下に宝石埋めてその隣に部屋作って異種族モンスター交尾させたりして子供産ませて、改良実験しだすのは予想外だった」
愛「え、駄目だった?」
邪神「いや、予想外で面白かった。だって大体地球系列世界から面白半分で連れてきてるのが多いからさ。レベル制だし、魔力消費してモンスター作れるからってそれしかしない奴しかいなかったからさ」
愛「あー、地球関係って事はゲームが発達してるからきっとそう思ったんじゃない? まぁ、時間はかかるけどモンスター改良とか楽しそうだったしさ、いけるんじゃね? ってやっちゃったんだよねー。
それにMPには限りがあるし、初期の頃だとすぐにモンスター殺されちゃってすぐMPからになってモンスター生産出来なくて死んじゃうじゃん。折角異世界に来れたのに死ぬとか勘弁だし、てかモンスターって見るからに生物だし。行けるかなと命令してみたら子供出来たしさ。定期的に交尾させて子供産ませて、あと雑魚だから改良しようと色々やってたんだよねぇ」
邪神「モンスターって魔人が作る存在だから普通家族とかないのに、交尾しまくっててなんか家族出来てるもんな、あのダンジョン」
愛「ふふ、子供とか孫とかいっぱいよ。でもま、モンスターにも寿命あるから初期の頃の短命なゴブリンとか死んじゃってるのよねー。折角最初からやってた子達なのに。長寿な種族は沢山残ってるけど」
邪神「寿命なかったらこのダンジョンモンスター増えすぎておかしなことになるだろ。ただでさえ、愛が楽しんでトラップ作ったり改良したりしてるからこのダンジョンのモンスターあんまりしなねぇし」
愛「そうだねー。私超頑張ったんだよー。実際眷属のモンスター増えすぎててどうしようかなーって感じだから地下にモンスタータウンでも作って遊ぼうかなって思ってるのよね」
邪神「改良の場とか、モンスターの鍛錬所まで作っておいてまだ作るのか」
愛「そりゃ作るよ。全員私の眷族だから逆らう事なんてないしさ。モンスターでも自分の配下って思うとなんか可愛い。結構暇な連中って地下で待機してるからさ。そいつらに本よんでやったり他愛もない会話とか結構してたせいかなんか奴ら人間染みてるんだよね。これ私の対応の成果だよね、きっと!」
邪神「そうだな。MP消費して作られた魔物っていわゆる『主人の言う事だけ聞く赤ん坊』と一緒だからな。大抵の連中はダンジョンに放ったり、命令するばっかりだしな。愛なんて初めて作ったモンスターに興味深そうに質問したりしてたけど。寧ろ向こうが戸惑ってたもんな」
愛「だってファンタジーだよ、神様! 現代日本人にとって憧れだよ? 全員じゃないだろうけど、少なくとも私にとっては凄い楽しそうな世界だよ。興奮しちゃっても仕方なくない? 眷属とは念話で意思疎通できるしさ。第一私のダンジョンの中央付近の連中なんて冒険者がそこまでこれなくて暇だからってなんか話してるか遊んでるし」
邪神「本当、愛が話かけまくったり色々とやってたからって人間みてぇだよな、愛の所の」
愛「そうそう。それにモンスター同士って魔物語とかで会話できるみたいだし、皆お友達とか家族とかになってるしね。モンスター同士で色恋沙汰とか起こってて見てて面白いよー。まぁ、仲間内で争い禁止って命令してあるから人間みたいに面倒な事件とか起こらないけどね。殺したいなら冒険者殺してーっていってあるし」
邪神「モンスターが色恋沙汰とか、愛のダンジョンって本当いつ聞いても変すぎて面白い」
愛「そこは個性的っていってほしいかなー。でさ、そんな感じだからモンスタータウン作ったら断然楽しいと思う。特産品とか作ってみたりさ、モンスターに小説書かせてみたり。本気で中央まで行ける冒険者ってここ五十年近くいなくなちゃったしさ。モンスター余ってて暇だし。皆も暇そうにしてるからさ。ダンジョンにいるモンスターは当番制にして結構な数配置してそれ以外は自由って事にしてさ」
邪神「…面白そうだな。出来たら言え。俺も行く」
愛「うん。ぜひきて神様ー。ダンジョン経営怠らずにちまちま作る予定だからどのくらいで出来るかわからないけどねー。それにしてもモンスターってダンジョン内なら魔人と同じで食事いらないからいいよねー」
邪神「まぁな。マスターである魔人の領域に居る限りそんな欲求わかねぇよ。ダンジョンの外は腹へるようになってるけど」
愛「でも私甘いものとかおいしいもの食べるの好きだし、モンスタータウン作ったら料理繁栄させるかなぁ」
邪神「モンスタータウン作るのはいいけど、新しいトラップとか考えてねぇの?」
愛「もちろん、常に結構考えてるよー。ただ、いまいち面白味がないからもうちょっと考えようと思って今考えてる最中」
愛は好き勝手やってます。
ちょっと人間側から見たダンジョンって事で書いてみました。
感想もらえれば喜びます。
そして元冒険者が引っ掛かったのは空より振り落ちる巨大オノトラップです。
補足すると眷属にしたエルフとか人間とかは、魔人が死なない限り死なない存在です。モンスターには一応寿命ついてるんですけどね。でも基本的に寿命全うする前にほぼ死にます。
でもあとがきの会話はほぼ勢いで書いたので、矛盾点あるかもです…。とりあえずオマケと思って気にせずあとがきの会話はよんでください。