神よりも優れた……
掲載日:2026/10/10
神を超えたと称する博士が居た。
「私は神よりも優れている」
実際、そんなことを言えるだけの知力は彼にはあった。
無論、神様が無から全てを創り出したというのが事実なら流石に分は悪い。
しかし、それでも『神に並んだ』と言われても人々が認めるほどには彼は優れていた。
しかし、彼と来たらそれでは納得がいかない。
自分は髪よりも優れているのだと伝えるために研究を始めたのだ。
「私は神よりも優れているのだ! 証明をしてやる!」
彼はその凄まじい才能を証明するためだけに無駄な時間を費やした。
費やし続けたのだ。
そして、ある時。
もう随分と老いた彼は遂に神を超えたと言って人々を呼んだ。
「残念ながら私の寿命は直に尽きる。しかし、私は神を確かに超えたのだ。その証拠をおみせしよう」
そう言って彼は恐るべきことに目の前で命を創造して見せた。
あっさりと踏み越えられたタブーに皆が絶句したのも束の間、生まれた命はすぐに死んだ。
何のために生まれ、そして死んだのかも分からぬ命を見つめ呆然とする人々に彼は告げた。
「これが私が神を超えた証明だ――なにせ、私は……」
神が生き物の最期に位置づけた『死』という名の『完成品』を一瞬で到達させることができるのだから。
天才と凡人の認識の差の悲劇はわざわざ語るまでもない。




