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異世界行ったら聖女様に溺愛されました  作者: うみのうさぎ
聖女の私情

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23/25

神の生誕祭

神殿前広場。


 幾重にも灯された灯籠、

 舞う花弁、

 楽団の音。


 ――神の生誕祭。


 中央、ひときわ高い位置に設けられた特別席。


 そこに並ぶ二人。


 白衣の聖女サナ。

 そして、黒髪の神の使いアカネ。


 周囲の視線が、自然と集まる。


アカネ「……すごいですね」


 目を輝かせる。


アカネ「お祭りって、

 こんなに賑やかなんですね」


サナ「うむ。

 年に一度じゃからの」


 柔らかく微笑む。


サナ「楽しむとよいぞ、アカネ」


 給仕が、杯を差し出す。


給仕「こちら、祝酒でございます」


アカネ「え……お酒……?」


 少し戸惑う。


サナ「少量なら問題ない。

 神の祝福もある」


アカネ「……じゃあ、少しだけ」


 慎重に、口をつける。


アカネ「……!」


 目が丸くなる。


アカネ「……美味しい……」


サナ「ほう?」


アカネ「甘くて……

 果物みたいです」


 もう一口。


 さらに一口。


サナ「……アカネ?」


アカネ「美味しいです」


 ごく。


 ごく。


 ごく。


 数分後。


アカネ「たのしーです!」


 声が一段高い。


 頬が、ほんのり赤い。


サナ「……(可愛い)」


アカネ「音楽、

 からだが勝手に動きます」


 ふらっと立ち上がりそうになる。


サナ「座っておれ」


アカネ「はーい」


 素直に座るが、

 距離が近い。


 さらに数分。


 顔、真っ赤。


 アカネ、ふわふわ。


 周囲、ざわざわ。


アカネ「……サーナちゃん」


 甘えた声。


サナ「……なんじゃ」


 動揺を隠しきれない。


アカネ「だっこして」


 ふぐっ。悶絶


サナ「……」


 周囲を一瞬確認。


 神官たち、

 見て見ぬふり。


サナ「……仕方あるまい」


 そっと、アカネを引き寄せる。


 軽い。


 温かい。


アカネ「えへへ……

 あったかいです」


サナ「……静かにするのじゃ」


 声が低くなる。


 料理が運ばれる。


 串焼き、果物、菓子。


アカネ「……それ」


サナ「?」


アカネ「たべさせて」


サナ「……」


 一瞬、固まる。


 だが、逃げ場はない。


サナ「……あーん、じゃ」


アカネ「あーん」


 ぱく。


アカネ「……おいしい……」


 満足そうに、頬を緩める。


 周囲、悶絶。


アカネ「サーナちゃん」


サナ「なんじゃ……」


アカネ「ぎゅーして」


サナ「……」


 聖女陥落。


 背中に腕を回す。


 やさしく、

 包み込むように。


アカネ「……安心します……」


 声が、だんだん小さくなる。


 呼吸が、規則正しくなる。


 スヤスヤ。


サナ「……」


 眠ったアカネを見下ろす。


 小さく、微笑む。


サナ「……本当に」


 囁く。


サナ「妾の神は、

 罪深いことをする」


 遠く。


 狐の神が、酒樽の上で転がっている。


お狐様(声)

「黒髪美少女を酒でデレさせるの、

 最高の生誕祭やろ?」


 特別席。


 聖女は、

 眠る神の使いを抱いたまま、

 一歩も動かなかった。


 祭りは続く。


 だが、

 この夜一番の神事は、すでに終わっていた。

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