表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界行ったら聖女様に溺愛されました  作者: うみのうさぎ
異世界探偵

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/25

治験

小瓶を前に、全員が黙り込んでいた。


ゴードン「……理屈は分からぬが、結論は出ておらん」


サナ「精密な分析術具が無い以上、限界じゃな」


コハル「せやけど、街じゃ“効いた”言う人がおるんやろ?」


 視線が、私に集まる。


アカネ「……少量なら、安全だと思います」


ユメ「え」


コハル「ちょ、待ちぃ」


サナ「妾は止めぬ。判断は貴女に任せる」


 私は小皿に一滴、指先で舐めた。


 ——次の瞬間。


アカネ「……っ」


 胸の奥が、かっと熱くなる。

 視界がやけに鮮明で、身体が軽い。


アカネ「わ……すごい……!」


 声が、いつもより高い。


アカネ「なんですかこれ! 世界、きらきらしてます!」


 ぱっと立ち上がる。


アカネ「コハルさん! ユメさん! サナさん!

 みんな、すっごく素敵です!」


コハル「……は?」


ユメ「……え?」


アカネ「えへへ……楽しい……」


 ふらり、とコハルの袖を掴む。


アカネ「コハルさん、頼りになるし……

 ユメさん、可愛いし……

 サナさんは……綺麗で……尊いです……!」


サナ「――――っ」


 サナが、完全に固まった。


コハル「ちょ、ちょい待ち!?

 なにこの子、可愛すぎひん!?」


ユメ「か、顔……近い……!」


 アカネは満面の笑みで首を傾げる。


アカネ「え? だって本当のことですよ?」


 その場の空気が、耐え難い。


ゴードン「……見てられん」


コハル「悶絶するわ!!」


ユメ「ぼ、ぼく……心臓……!」


 数分後。


 熱が引くように、急に身体が重くなる。


アカネ「……あ」


 私は、椅子に座り込んだ。


アカネ「……疲れました……」


 さっきまでの高揚が嘘のように、どっと倦怠感。


アカネ「……なるほど」


コハル「なるほど、やない!」


ユメ「だ、大丈夫……?」


アカネ「はい……でも、分かりました」


 私は、息を整えながら告げる。


アカネ「これ、治療じゃありません」


サナ「……一時的な興奮と高揚」


アカネ「はい。

 気分が跳ね上がって、何でも出来る気になる。

 でも、切れた後は……反動が来ます」


ゴードン「……だから翌日、具合が戻る」


アカネ「むしろ、続けると危険です」


 小瓶を見る。


アカネ「これを“薬”として売るのは……悪質です」


 サナが、私をじっと見つめる。


サナ「……それにしても」


アカネ「?」


サナ「効いておる間の貴女、反則じゃ」


コハル「せや。

 あんなん街で撒かれたら、死人出るで」


ユメ「……でも……分かってよかった……」


 笑いと安堵が混じる中、結論は一つだった。


 この薬は、

 人を救わない。錯覚を売っているだけ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ