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南のロードの街へ

私が今、身を寄せているのは、北の港町ハンブルク。

この街は、まるで世界の果てにある砦のよう。北には炎龍山脈がそびえ、竜や魔物が空を舞い、東には「帰らずの森」と呼ばれる呪われた森が広がっている。西は果てしない海。そこにもまた、海の魔物たちが潜んでいる。

ハンブルクは、そんな脅威に立ち向かう者たちの最前線。冒険者や騎士、傭兵たちが集い、日々戦いに身を投じている。


そんな中、私は南へ向かう決意をした。

ニケ神の託宣が「南へ進め」と告げたからだ。

南には、ロードという小さな街がある。そこからさらに進めば、王都シュバインタルトへと続く道が開けている。


徒歩ならば四日かかる道のりも、乗り合い馬車なら一日で着く。

私は迷わず馬車に乗ることにした。同行者の多くは、王都とハンブルクを行き来する騎士たち。彼らの存在が、私の旅に安心をもたらしてくれる。


朝焼けの中、馬車はハンブルクを出発した。

風が頬を撫で、車輪の音がリズムを刻む。

そして夕暮れ時、私たちは無事にロードの街へとたどり着いた。


この街は、ハンブルクに比べればずっと静かで穏やかだった。

久しぶりに、まともな部屋で眠れそうだと胸をなでおろす。


まず向かったのは教会。

聖女として、神への祈りを欠かすわけにはいかない。

教会では祈りを捧げる代わりに、寝床と食事を与えてくれる。お布施をすれば、より丁寧にもてなしてくれるが、たとえ何も差し出さずとも、神の慈悲は等しく注がれるのだ。


祈りを終え、温かな食事をいただき、生活魔法で身体を清めた。

ようやく横になったものの、心はざわついていた。

今日一日の出来事が、頭の中をぐるぐると巡る。


そして、ふと気づいた。


「……しまった。勇者パーティを抜けたのに、冒険者ギルドに届け出をしていない……!」


夜も更けていたが、ギルドの建物に明かりが灯っているのが見えた。

私は急いで身支度を整え、静まり返った街を駆け抜けた。


ギルドの扉の向こうに、まだ誰かがいることを願いながら——。



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