釣り・刺身・天ぷら――海の幸と神の午後
海賊退治も終わり、平穏が戻ったハンブルクの海。
ツクヨミは、魔道船をストレージから取り出し、グリムンド王子とシャルロットを連れて、のんびり釣りを楽しむことにした。
「さあ、今日はお魚パーティーですよ〜!」
釣り糸を垂らすと、まさかの入れ食い状態。次々と魚が釣れる。
刺身にできる魚、天ぷらに向いている魚を選び、残りは優しくリリース。
(……ああ、平和っていいですね。)
そのとき、水面が盛り上がり、巨大な影が現れた。
「ニケ神の使徒よ。帰ったのではなかったのか。何をしている。」
海神リバイアサンからの思念が届く。
「釣りです。お刺身と天ぷらを……」
「それ、我も食べたい。」
「えっ……そのお姿では難しいのでは?」
「ならば、人型になればよかろう。」
そう言うやいなや、リバイアサンはシャルロットの姿へと変身。
(えっ、再現できるんですか!?さすが海神様……!)
こうして、シャルロットが二人に。
「では、改めて――いただきます!」
グリムンド王子と本物のシャルロットは、ぽかんと口を開けていたが、すぐに復帰。
見た目はそっくりでも、バクバク食べてる方がリバイアサン様という分かりやすさ。
ツクヨミは、ストレージから魚を取り出し、刺身モードでスライス。
天ぷらは、魔道加熱器と七輪風の調理器具でカラッと揚げる。
衣は小麦粉と卵を溶いて、パン粉をまぶしてサクサクに。
「うむ、これは……うまい!」
リバイアサン様、大満足。
その間、グリムンド王子とシャルロットが、なにやら楽しそうに話していた。
(……あっちのシャルロットは本物。王子、気をつけてね。人外兵器2号だから。)
ツクヨミは心の中でそっと祈った。
食後、リバイアサンは満足げに海へと帰っていった。
「ニケ神の使徒よ、また会おうぞ。」
その思念を残して、波間に姿を消す。
ツクヨミは、リバイアサンから贈られた海の幸をストレージにどんどん詰め込んだ。
(これは……お土産にぴったりですね!)
魔道船をしまい、3人は王城へテレポート。
だが――
(……あ、やばい。王城に長居すると、また面倒ごとが……)
ツクヨミは、王子とシャルロットを残し、ハンブルクへトンボ帰り。
(さて、あの二人の運命はどうなるのかな?)
グリムンド王子は8歳、シャルロットは7歳。
まだまだ恋には早いけれど、運命的な出会いを果たしたふたり。
(ふふ、時々こっそり様子を見に行くのが楽しみですね。)




