ドラグーンの街――オーク狩りと肉祭りの宴
ドラグーンの街を出ようとしたツクヨミは、門兵に止められた。
「すみません、外出には許可が――」
「これで大丈夫です。」
ツクヨミが見せたのは、Sランク冒険者ギルド証。その輝きに、門兵たちは直立不動で敬礼した。
「し、失礼いたしました!」
護衛をつけようとする申し出も、丁寧にお断り。
(むしろ、ついてこられる方が危ないですからね。)
目指すは、オーク。豚のような顔をした魔物で、肉質は意外とジューシー。晩ご飯にぴったりだ。
運よく、森に入ってすぐにオークが現れた。
「ちょうどいいですね。」
ツクヨミは“ニケ神の血まみれメイス”を呼び寄せ、オークの顔面を一閃。ドゴォン!
一撃で沈んだオークを、ストレージにポイッ。
(……あ、見られちゃいましたね。)
この一撃が、後に“ブラッディー聖女”という仇名を生むとは、まだ知る由もなかった。
街に戻ると、兵士隊の隊長が肉の話に大興奮。
「今夜は肉だ!全員、準備にかかれーっ!」
駐留兵と交代兵を合わせて500名超。オーク1体では足りない。
ツクヨミは再び森へ。オークを次々と狩り、10体をストレージに収めて帰還。
(これで足りるでしょう。)
肉祭りの準備は、兵士たちと商人たちが手際よく進めてくれた。
ツクヨミの役目はただひとつ――「肉を出す係」。
「ツクヨミ様、まずはどうぞ!」
勧められるままに、焼きたてのオーク肉を頬張る。香ばしい香りとジューシーな旨味が口いっぱいに広がる。
気づけば、修道女シャルロットも隣に座り、もぐもぐと肉を味わっていた。
(……まあ、こういう日があってもいいですよね。)
シャルロットのレベルは、すでにLv60に到達していた。
修道女 → 司祭へと昇格し、称号には“魔物の天敵”の文字が。
(……修道女にあるまじき称号ですね。でも、バレなければ問題なし。たぶん。)
翌日、ツクヨミはシャルロットに魔物狩りの訓練を施すことにした。
武器は、目立たないようにスティレット。針のように細く、急所を突くための暗器だ。
「ここをこう持って、こう振ると……」
シャルロットは真剣な表情で頷き、すぐに実戦へ。
オークが現れると、まずは観察。ホーリーバリアーの外からの攻撃を見て、動きを学ぶ。
そして――
「はっ!」
スティレットが閃き、オークの首筋を切り裂いた。
午前中に30体、午後に40体。合計70体のオークを自力で討伐。
司祭 シャルロットの現在のステータス
基礎レベル:Lv130
基本スキル:回復魔法Lv65 蘇生魔法Lv45 身体強化Lv60 刺突術Lv15 ホーリーバリアーLv40
称号:司祭/聖女の弟子/使徒の弟子/魔物の天敵
装備:スティレット(致死効果付き)/聖女のおさがりの法衣(超性能)
オーク肉はたっぷり。今日も街は肉祭りで大賑わい。
「王都に戻ったら、こんな贅沢できませんからね!」
シャルロットには、オークの搬送用にマジックバックを授けた。
しかも、ツクヨミ特製の“容量拡張済み”。
(中に魔力を流し込んで膨張させる裏技……ふふ、家のひとつやふたつ、余裕です。)




