ドラグーンの街――修道女シャルロットの商売事情
テレポートの光が消えると、そこは北方の街――ドラグーン。
一行が到着するやいなや、兵士たちは持ち場へ、商人たちは荷を解き、各々の仕事に取りかかっていった。
ツクヨミは辺りを見渡し、ふと気づく。
(あら、シャルロットさん、ちょっと困ってる?)
修道女シャルロットは、商売の経験がなく、荷車の扱いにも手間取っていた。だが、そこに現れたのは、地元の露店商人たち。
「こっちにスペース空けといたよ、姉さん。」
「設営、手伝うよ。こっちの方が人通り多いからね。」
なんと、広場の一等地にシャルロットのための販売スペースを用意してくれたのだ。
さらに、商人のひとりがつきっきりで、売買の基本を手ほどきしてくれていた。
「まずは笑顔!それから、品物の説明をしっかりね!」
シャルロットは必死にメモを取りながら、見よう見まねで接客を始めた。
やがて、教会特製のワインとクッキーが並ぶと、自然と人が集まり始めた。
「修道女様、どうか神のご加護を……」
買い物客たちは、まずシャルロットに挨拶し、軽く頭を下げてから商品を手に取る。
(……なるほど。神の前で買えば、なんとなくご利益がありそうってことですね。)
そこでツクヨミは、ふと思いついた。
「ストレージ、ニケ神像、展開。」
我が家に鎮座していたニケ神像を、そっとシャルロットの横に設置した。
すると、祈りを捧げる人がさらに増え、売り場はまるで小さな巡礼地のような賑わいに。
ツクヨミは、いつものように我が家を展開し、シャルロットのためにベッドを用意した。
(これで夜も安心ですね。)
そして、こっそりとシャルロットにパーティ申請を送り、祈りによって得られる経験値を分け与えるようにした。
(ふふ、これで彼女も少しずつ強くなれますね。)
まだ日は高い。
「さて、晩ご飯の材料でも調達してきましょうか。」
ツクヨミは軽く伸びをして、森の方へと足を向けた。
(魔物狩りついでに、何か美味しい素材が見つかるといいなぁ……)




