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王都への帰還と、新たなる託宣

南の砦の朝は、いつになく賑やかだった。


教会の前には、祈りを捧げる兵士や商人たちが列をなし、まるで祭りのような熱気に包まれていた。もちろん、彼らの目的はただひとつ――“瞬間移動”の奇跡を再び目撃すること。


(……完全にバレてますね。)


ツクヨミは心の中でため息をつきながらも、表情はあくまで無垢そのもの。何も知らぬ顔で、南の砦の広場に集まった一行を見渡す。


「テレポート――王都へ。」


光が弾け、次の瞬間、全員が王都の門前に立っていた。


「うおおおおおっ!?」「な、なんだ今の!?」


初めての者たちは大騒ぎだったが、ツクヨミはそっと目を伏せ、静かにその場を離れた。


(証拠がなければ、ただの偶然です。)


冒険者ギルドに戻り、報酬を受け取る。袋の中には、なんと金貨50枚。


(……往復で10枚のはずでは?)


差額を返そうとしたそのとき、ギルドマスターが“肉壁”を従えてこちらに向かってくるのが見えた。


(あれに捕まったら、また厄介な依頼を押しつけられる……!)


ツクヨミは金貨の袋を握りしめ、華麗にダッシュで撤退した。


その足で王都の教会へと向かう。だが、扉を開けた瞬間、背筋に冷たいものが走った。


(……嫌な予感。)


逃げようとしたが、祈りに訪れた人々の流れに押され、気づけばニケ神の像の前に立たされていた。


「……ニケ神様、今日は何もありませんように……」


だが、神は沈黙しなかった。


「北東に三日。二日後、魔物の氾濫が起こる。汝、これを鎮めよ。」


(……やっぱり来たかぁぁぁぁぁ!)


ツクヨミは心の中で叫びながらも、静かに頭を垂れた。


(神様って、ほんとに休ませてくれないんですね……)


仕方なく、再び冒険者ギルドへと戻り、託宣の内容を報告した。


「北東に魔物の氾濫の兆候があります。明日、調査隊を出してください。そして、討伐隊の準備も。」


ギルドの職員たちは顔を見合わせ、すぐに動き出した。


ツクヨミはそっと窓の外を見つめた。


(……また、旅の始まりですね。)


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