グリムンド王子の修行の終わりと別れ
それは、静かな朝だった。
ツクヨミは、いつものように祈りを終えたあと、グリムンド王子に向き合った。
「王子、あなたのレベルが250に到達しました。これで、わたしの役目も終わりです。」
その言葉に、王子はしばし沈黙した。何か言いたげに唇を開きかけては、また閉じる。
「……もっと一緒にいたい」とは、きっと言わない。彼は王子であり、誇り高き戦士なのだから。
この三週間、ふたりは幾つもの小さなダンジョンを共に攻略し、数えきれないほどの魔物を討伐してきた。王子のスキルは飛躍的に成長し、回復魔法はLv20、アサシンはLv80にまで達していた。
魔法剣士Lv1は……まあ、見なかったことにしよう。
「これからは、あなた自身の力で進んでいくのです。」
ツクヨミはそう告げ、王子の頭をそっと撫でた。
王都へは、もちろんテレポート。便利なものは使い倒す、それが冒険者の流儀。
王城の門をくぐると、王子はすぐに謁見の間へと通された。ツクヨミは控えの間で、報酬のことを考えていた。
(報酬、まだかなぁ……金貨?装備?それとも……)
だが、心の奥では少しだけ不安もあった。
(もし報酬をケチられたら……この王城、ぶっ壊してトンずらしようかな……)
そんな不埒な思考を巡らせていたところ、扉が開いた。
「ツクヨミ殿、此度の褒賞として、金貨1000枚と“ニケ神の血みどろメイス”を授かることとなりました。」
「……血みどろメイス?」
名前のインパクトに一瞬たじろいだが、貰えるものは貰っておくのがツクヨミ流。さっさと報酬を受け取り、王城を後にする。
グリムンド王子への別れの挨拶は……まあ、文官に伝言を頼んでおいた。
「帰ったと伝えておいてください。あと、元気でねって。」
我が家に戻り、さっそく“血みどろメイス”を鑑定してみる。
「……やっぱり呪われてるじゃないですか、これ。」
だが、触れているうちに気づく。この呪い、どうやら“どこにあっても念じれば手元に現れる”という、まさかのチート能力だった。
「……これ、呪いじゃなくて祝福では?」
ニケ神のいたずら心に、思わず苦笑いがこぼれる。
さて、次からはツクヨミの冒険が更につづきます。南へ 南へ ニケ神のご神託に従って




