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貸し切りの居酒屋はざわざわと妙な賑わいを見せていた。
月白軒という古風な名前の暖簾がかかった小さな店に中学を卒業したばかりの三十一人が詰めてきている。
初めて酒を飲む生徒も多く、実は僕もそのうちの一人だった。
未成年に酒を出す店は少なくなってきているらしいが同じクラスだった月白さんがここの子供なので便宜を計ってくれたらしい。
「なぁ、結局お前さぁ中学三年間誰とも付き合わなかったみたいだけどどんな子がタイプなんだ」
アルコールが手伝って僕はうっかり口を滑らせた。
「僕は僕を殺してくれる人が好きだ」