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スクリーム・ノート III  作者: 藤沢凪
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百八頁    悪魔 陸   『真実』

 百八頁

 

 悪魔 陸

 

『真実』

 

 少し、心が落ち着いて来た。優子と、優子母のおかげだよ。

 

「さっ、食べよう……」

 

 優子母、なんか少し元気が無くなった様に感じるけど、気のせいかな?

 

 私は自分で……いや、まぁほぼほぼ小鳥母が作った魚の煮付けを一口食べて、歓喜した。

 

「美味しい! 家庭の味って感じがする! ……私、一人でもこれを作れるたりするのかな?」

 

「…………」

 

「あぁ美味いね! いつものお母さんの味だ! きっと真央にも出来るよ?」

 

 小鳥母? 無言、なんだけど……私、何か良くない事言ったのかな……

 

「ご飯も美味しい! 炊き方のコツとかあるんですか?」

 

 小鳥母に聞いてみた。

 

「……高い炊飯器を用意する事、かな……」

 

 えっ……これって……絶対嫌われてるじゃん。なんで? あの話しが良くなかったんだ。私が、小学生の時、周りの幸せそうな奴らを手当たり次第殴ってたから、それが、小鳥母の気に障ったんだ……

 

 でも……嫌なの。確かに、言わなくても良かった事だった。でも、私、本当に優子と、優子母の事を大好きになれたから、偽った自分のままでは居られなくなってしまったの。ありのままを、見せたいと思ってしまったの。間違って、いたのかな?

 

 嫌だよ。このまま嫌われたままでいたくないよ。私、人に優しくするから。他人を傷付けた分、誰かの為になる事をするから……だから、お願いだから……私の事、もう必要無いって、思わないで……?

 

 その時、玄関のドアが開く音がした。

 

「チッ……マジでタイミング悪いんだよクソ親父……」

 

 優子が、眉間に皺を寄せて呟いた。

 

「……いいえ。もしかすると、最高のタイミングだったかもしれない」

 

「最高の、タイミングですか?」

 

 小鳥母へ向けたその質問は、小鳥父の登場のせいで掻き消された。

 

「おっ? はじめまして真央ちゃん! かな? 今日は残業が無かったんだよ!」

 

 扉を開け、小鳥父が放ったひと言に、誰もリアクションしなかった。この人が、優子の言っていた不倫ばっかしているどうしようもないクズ親父か。ウチの、アル中で破滅へのカウントダウン聞こえて来る父親よりはマシだよ。

 

「あなた、座って」

 

 小鳥母の冷たい声が響いた。

 

「どうしたんだい? やけに暗いな?」

 

 やっぱり、小鳥母はいつもと違うんだ。何でだろう? 小鳥母に、何が起きたんだろう?

 

「この子の事を見て、何も思わない?」

 

 小鳥母の言うこの子って、私の事だよね……? なんで? 私は、どんな罪を犯したんだろう……

 

「どうしたんだすずか? この子を見て、俺になんて言って欲しかったんだ?」

 

 小鳥母は、すずかって名前なんだ。

 

「瓜二つでしょ?」

 

 えっ?

 

「すずか? 何を言ってるんだ?」

 

「よく見て? 優子と、その子は、瓜二つでしょ?」

 

 何を、言ってるの?

 

「……髪型は違うが、確かに似ているな。だからってどうしたんだ?」 

 

「その子の苗字は、阿久津だそうよ」

 

「…………」

 

 私の苗字が阿久津なのが、そんなに気に入らなかったのかな……

 

「……そうか。大きく、なったな……」

 

 はぁっ⁉︎ 急に感慨深い感じで言ってこられたんだけど⁉︎ 何コレ? どうしてこうなった?

 

「理解した?」

 

「ああ……珍しい苗字だし、優子と、瓜二つだ。そうか……そうか……」

 

 大人同士で、子供には分からない話しをしている。でも、きっとその話しは、私にも聞く権利がある事の様に思えた。

 

「ちょっと? 二人で話し進めるなよ? 二人は、何の話しをしているの?」

 

 優子が両親に言った。今この空間に二人、現状を把握出来ていない子供が居る。出来れば私達にも、分かりやすい様に説明して欲しい。

 

「あなた達は、一旦部屋に行っててくれるかな?」

 

 二人で、話しがしたいって事だよね? 大人しく出て行った様に見せかけて優子と一緒にリビングから出たのだが、気になって、二人でバレない様にリビングへ続くドアに耳を傾けていた。

 

 中で、小鳥母と小鳥父の会話が聞こえてくる。

 

「鷹狩涼子の、娘って事だよね?」

 

「……だな」

 

 どういう事? たしかに……母の名前は鷹狩涼子だけど……

 

「あの子、家で辛い扱いをされているみたいなの……それって、私達の罪なんじゃない?」

 

 小鳥母? なんで? どういう事?

 

「俺達に関係ある事か? 頭を冷やせ。鷹狩とは、阿久津とは、俺達は関係無い。そういう決め事だっただろ?」

 

 なに、コレ?

 

「でも……どうしても……放っておけないの。あの子の事……もっと色んな料理を教えてあげたい。色んな嬉しい事があるって教えてあげたい。生きていく未来に、楽しい事が沢山ある事を教えてあげたい……」

 

 ちょっと待って……訳、分かんないんだよ……?

 

「わがままを言うな。お前がこんな贅沢な暮らしをしていけるのは誰のおかげか分かっているのか? これ以上、厄介事を増やしたく無いんだよ」

 

 優子も、その何かに気が付いた様だった。リビングへの扉を開き、優子が怒鳴った。

 

「おいクソ親父‼︎ 説明しろよ? 説明しろよ⁉︎ 何がどうなってんだよ⁉︎」

 

 説明されなくても、なんとなく分かったよ……ってか、こんな事あるんだ? それこそ、運命ってやつなのかな?

 

「すずかお姉さん? 私と優子の事、瓜二つだって言いましたよね? それって、どういう意味を含んで仰られたんですか?」

 

「……私達は、間違っていたの。真央ちゃん……あなたの母親は、鷹狩涼子なのよね?」

 

「はい」

 

「あなたの本当の父親は、ここに居る小鳥英治よ……」

 

 阿久津でも鷹狩でも無い。私は本来、小鳥真央になる筈だったんだ。

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