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スクリーム・ノート III  作者: 藤沢凪
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百四十一頁    犬 拾捌   『ToLOVEる』

 百四十一頁

 

 犬 拾捌

 

『ToLOVEる』

 

 学校終わり、猫宮と二人で家まで歩いていた。

 

 ってか、今朝のアレなんだよ⁉︎

 

 朝起きてさ、猫宮にパオン太といつ出逢ったか聞いたら、昨日の夢に信憑性が出てしまった。あたし、めちゃくちゃ嫌だった。だって、ただでさえ猫宮という悪玉菌の様なもんを部屋に泊めなきゃいけなくなったのに、更にパオン太という怨霊まで憑き纏う事態に陥るなんて……

 

 そんな事認めたくなくて、お母さんに猫宮を泊める理由をめちゃくちゃな事にしてみたらアレよ。脳味噌に直接黒板を爪でキィキィ掻く音を注射針で注入されてる感じだった。あんなもん発狂するだろぉが⁉︎

 

「猫宮? ……どうしよう?」

 

 あたし、もう何も思い浮かばないのよ?

 

「いやわんちゃん? こっちのセリフなんだよ⁉︎ 何故火をつけた事をカミングアウトしたか? ってかその前に何故猫が我が家で虐待を受けているかの様に導いたか⁉︎」

 

 糞がっ……何であたしは、こんなカーストの低い女に責められないといけない?

 

 その時、猫宮の携帯に電話が掛かって来た。

 

 プルル、プルル。プルル、プルル。

 

「あっ、ごめんわんちゃん。電話なんだよ」

 

「お前に電話する奴なんて居るんだな?」

 

 あっ、つい口が滑ってしまいました。

 

「はっ? ……わんちゃんから反省の色が微塵も感じられないんだよ。何故あんな優しいご両親からこんなモンスターが産まれたか……」

 

 随分流行ってんなぁそれ‼︎ お前の口から何回も聞いたわ‼︎ どっかでそんなフレーズの広告でも打ってんのかなぁ⁉︎ 教えてくれよ? オリジナル見てみたいまであるわ‼︎

 

 猫宮が電話に出た。

 

「おいイチカ⁉︎ 事情良く知らねぇけど、お前泊まってる友達の家にゲーム持って行きやがったな⁉︎」

 

 電話先の相手が、開口一番に捲し立てた。ってか猫宮コイツ、何でスピーカーで話してんの? 別良いけど。

 

「はっ? カズ兄はもう大学生なのだから、ゲームなど卒業した方が良いんだよ!」

 

 お兄ちゃんからだった様だ。

 

「俺はタツヤだよ‼︎ またお前名前見ずに電話取ったな?」

 

 お兄ちゃんからでは無かった様だ。猫宮如きに家族以外からの男子から連絡来る事なんかあんのか⁉︎

 

「あっ、なんだタツ兄か。イチカは女の声だったらお母さん。男の声だったらカズ兄と決め付けているのだから、確認など要らないんだよ」

 

 お兄ちゃんからだった様だ。二人も兄貴居んのかよ? ってか、それ以外から電話掛かって来ねぇのかよ⁉︎ ……まぁ、それはそんなにね……特別って訳でも無いかな。最近の主流はラインだし。あたしも、アドレス帳には家族しか居ないし。

 

「いや! ってか、何でマリパ持って行ってんだよ⁉︎ 俺今日友達と家でやるつもりだったんだよ⁉︎」

 

「はっ? その歳にもなってまだ友達とテレビゲームで遊ぶか? それにタツ兄がマリパしてる所など見た事無いんだよ?」

 

「その歳にもなってって一つしか歳変わんねぇだろ⁉︎ 俺が友達連れて来た時、お前が部屋から出ねぇから見た事ねぇだけだろ⁉︎」

 

「だってそれは……タツ兄が……」

 

 んっ? どうした? 聞いた事無い様な声で喋ってるぞ猫宮?

 

「今日俺達マリパの気分だったんだよ⁉︎ どうしてくれんだよ⁉︎」

 

 こんな圧掛けて来るお兄ちゃん嫌だな……

 

「カズ兄は好きだけど、お前の事は嫌いなんだよ。お前の都合など知らない。二度と電話を掛けて来るな」

 

 猫宮のこんなムーブ初めて見たわ! ってか、こんな湿った様な圧を掛けて来る妹も嫌だな……結果どっちも嫌だな。

 

「イチカ⁉︎ なんかお前俺の事嫌ってるよなぁ⁉︎ お兄ちゃんだぞ俺は⁉︎」

 

「お兄ちゃん? それが、なんかの理由になるの? 死ねば良いのに……」

 

 めっちゃ小声で言っちゃいけない言葉言った。

 

「えっ? なんて? 最後聞こえ無かったんだけど?」

 

 猫宮が通話を切った。

 

「おい猫宮? どうしたんだよ?」

 

 流石に心配した。

 

「わんちゃんには関係無い事なんだよ。それより、今日の晩御飯何かなぁ? 楽しみなんだよ。……ってかその前に! 今朝の事説明する所からなんだよ⁉︎ どう説明するつもりなんだよわんちゃん⁉︎」

 

 確かにそう。でも、猫宮お前明らかにテンパってるよね?

 

 プルル、プルル。プルル、プルル。

 

「ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ‼︎  嫌ァ、嫌ァァ……」

 

「兄貴からだろ? 何故嫌がる?」

 

「タツ兄は、嫌な事言って来るから、嫌ァ……」

 

 スピーカーで聞いてる感じ、そんなヤバい感じしなかったけどな?

 

「マリパをウチに持って来た事で揉めてんだろ? 分かった、貸せよ?」

 

「へっ?」

 

 猫宮の携帯を奪って、通話に出た。

 

「あっ! やっと出た! おいイチカ?」

 

「あっ、あたし、犬養って言います。マリパは今あたしの家にあります」

 

「へっ⁉︎ イチカの友達⁉︎ えっ、へっ? 女⁉︎」

 

 童貞か? リアクションうぶ過ぎるだろ? 女と喋った事無いのか?

 

「あたしの家に今猫宮のマリパあるんで、マリパの口になってるんなら宜しければウチに来ません?」

 

「えっ、でもそんな急に……」

 

「別に構いませんけど?」

 

「妹の友達の家に……これどんなToLOVEる?」

 

「そんなんじゃ無いんで。やめときます?」

 

 何をえっちぃToLOVEる期待してんだよ⁉︎ こいつマジ童貞‼︎

 

「いや、それなら、お言葉に甘えて……」

 

 住所を伝えて通話を切った。

 

「わんちゃん。ありがとう……」

 

「お母さんに連絡しなきゃ。ってかさ? 何でタツヤの方の兄貴に当たり強い訳?」

 

 カズ兄って方だったらそんな事無かったんでしょ?

 

「……嫌いだもん。嫌なんだもん」

 

「理由言えや⁉︎ ……まぁ、もう良いよ」

 

 深く追求する事はやめる事にした。

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