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スクリーム・ノート III  作者: 藤沢凪
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百十三頁    鷹 壱   『鷹狩涼子』

 百十三頁

 

 鷹 壱

 

『鷹狩涼子』

 

 どれだけ時を重ねても、忘れられない事がある。どうしても、思い出してしまうんだ。ある男の言葉が、いつまでも頭の片隅にこびりついている。

 

「俺は、君ら二人と、付き合って行っても、別れてもどっちでも良いんだ」

 

「はっ? はぁっ⁉︎ お前、謝りもしないんだ?」

 

 あの喫茶店での会話は、今も鮮明に思い出せる。狂ってた。全てが狂っていた。逆に、あれ程イカれた男を、女を私は知らない。

 

「何も、悪いと思っていないからね。ってか、こうなる予感もしてたよ。後で知った事だけど、君達仲良いんだもんな? だから長くは続かないだろうとは思ってたよ?」

 

「どういう事……? 私は、私の人生にはもう、あなたしか居ないのに……」

 

 声を振り絞って、鈴香は彼に伝えた。

 

「そうなんだ? ってか、別れるなんて言って無いよ? 君が良いなら、これからも同様の付き合いをしていこうね?」

 

「えっ?」

 

「ちょっと待てよ。自分がどんだけ最低な事言ってんのか分かってんの?」

 

「最低? まぁ、別に良いけど。嫌なら離れれば? どっちでも構わない。俺は、ずっとそう言ってるんだけど?」

 

「私、英治を無くした人生なんて考えられない‼︎ お願い、英治? 傍に居て?」

 

「って事は、涼子とは別れて、鈴香とは付き合っていく方向で良いのかな?」

 

「はっ? はぁぁぁぁぁ?」

 

「しょうがないなぁ? じゃあ、涼子とも関係を続けて行くとしようか?」

 

 コイツ、何言ってんの?

 

「そんなの……あり得る訳無いじゃん?」

 

 いや、ってかさ? 二股の件どうなった? どっちが先に付き合い始めたのかって、まだはっきりして無いんだけど?

 

「君が納得しないなら、これから鈴香と付き合って行くよ。涼子? さよなら」

 

 ハァッ⁉︎ 何? それで一件落着ってなんの⁉︎

 

「ち、違うでしょ⁉︎ 私、そんなの認めてあげない! 私も、英治と付き合っていく!」

 

 私、何言ってんの?

 

「そうか? じゃあ、お互い納得したんだね?」

 

「駄目! 駄目なの‼︎ その子、鈴香は自分の方が付き合い始めたのが早かったとか言ってくるんだよ?」

 

 ちょっと待って? もう頭が追いつかない。だってそうじゃん? どう考えだってそうじゃん? 私が先じゃん⁉︎ お前に相談しただろぉが⁉︎

 

「英治? はっきりさせてよ?」

 

 取り敢えずはその疑問を、この男にはっきりさせてもらった方が早い。

 

「そうだなぁ……」

 

 ……はっ? 言えよ⁉︎ お前なんなんだよ⁉︎

 

「彼は、優しいから言い辛いのよ。何でそんな事も分からないの? 彼の気持ちを、あなたは本当に分かってあげれているの?」

 

 クソ女。鈴香よぉ? ポイント取りに来てんじゃねぇよ? お前より、恋愛経験も無い田舎臭いお前なんかより、私が女として優れてるのは明らかなんだよ。何も分からないを、武器にするなよ?

 

「ってか、鈴香も冷静になれ? この男の良い様に動かされてるぞ? コイツ、当たり前の様に二股掛けるって言ってんだからな?」

 

 まずは、そこからだろ?

 

「二股……私以外とも、涼子とも関係を続けて行くって事……?」

 

 やっと、事の重大さに気付いたか? ってかその話しでずっと揉めてんだよ⁉︎ めちゃくちゃ馬鹿かよコイツ⁉︎

 

「そう言ってんだよこの男! あり得ねぇだろ⁉︎」

 

「嫌だ……私だけを、見てよ……?」

 

「どうなんだよ英治⁉︎ はっきり言えよ?」

 

 よし! やっとまた問題をこの男に振り直せた。だって、悪いのは全部、確実にこの男なんだから。

 

「うん。じゃあ、どうする?」

 

 はっ? 答えになって無いんだけど?

 

「どうする、って、どういう意味?」

 

 聞いてみた。

 

「君達を傷付け無い様に言っていたのに、その思いやりに気付かないんだね? 俺は、この世界に何万、何億と居る女の中から君達二人だけを選んでやっている。正直、君達は会いたい会いたいが多いから、流石に三人目は居ないよ? これ以上増やすと身体が保たないからね。俺は、君達二人に何か不都合を掛けたか? 君達は満たされていた筈だろ? 俺と週に二度三度は会えて、抱かれて、それでもまだ満足出来なかったか? いいや違う。君達は、満たされていたんだ。わざわざ二股を掛けられている事を暴いて何になる? 俺はもう、何でも良いんだよ。君達二人とこれから付き合って行っても、どちらかと別れても、二人とも別れても、どちらでも良いと言っているんだ。でも、君達が心配だからこう言っている。俺を今すぐ失って、二人共、普通に生活していけるのかい? ただ、それだけが心配なんだよ」

  

 コイツ、マジでイカれてる。

 

「英治……そこまで私達の事を想って……」

 

 マジかお前⁉︎ 鈴香、お前までそんなイカれた奴だと思わなかったわ! この男ヤバ過ぎだろ⁉︎ 目ぇ覚ませよ鈴香⁉︎

 

 クソが‼︎ 話しを戻さないと。

 

「まず、謝るのが先じゃないの?」

 

「うーん。俺、謝らないといけない? だって、別れても良いんだよ? 鈴香とも、涼子とも。謝って、俺に得あるの? そんなに面倒臭い事言うんなら、もう、さよならで構わないよ?」

 

 コイツ……悪いとも思って無いし、謝るって最低限の事さえしようとしないんだ。

 

「さよならって、何……? 私、絶対そんな事出来無い‼︎ いつも、いつもベッドで、愛してるって言ってくれるよね⁉︎ 私も愛してる‼︎ 愛し合ってる二人が離れるなんて、あってはならない事なんだよ⁉︎」

 

 鈴香……コイツ大分イっちゃってる。愛してくれてると勘違いしてる。ちょっと前に、どっちとも別れて良いとか言ってた様な男なんだぞ⁉︎

 

「じゃあ、鈴香だけ関係を継続って事で良いかな?」

 

「はっ⁉︎ いや……私は……わ、私も……」

 

 何か、納得出来ない。これで、私が身を引いて終わりって、何か私が負けたみたいじゃん⁉︎

 

「じゃあ、涼子も継続で、良いかな?」

 

「お前、なんなんだよ⁉︎ でも、でも……私、負けたく無い……」

 

 私は、泣きそうになりながら言った。

 

「俺さ? めちゃくちゃモテる訳では無いよ? でもさ、常に狙っていれば、二ヶ月に一回は女を落とせる」

 

「急にどうした? 何でわざわざそんな事言う訳⁉︎」

 

「俺はこれからも、探すよ? 俺は、常に上を目指して生きてるからね。もっとランクの高い女を落とせる様に、日々精進して行くつもりなんだ。その事を、容認して欲しい」

 

「お前……マジで言ってんのかよ……? これからも新しい浮気相手作るって言ってんだよね? 私達じゃ……私達のランク? じゃ、物足りないって言いたい訳だよね⁉︎」

 

「こんな事言いたく無かったけど、そうだよ。君達は、例えば友人に紹介して誇れる程のランクの女性では無い。それは、自分で分かっている事では無いのかな?」

 

 何か、逆に笑えて来たわ。腹立ち過ぎて、笑えて来たわ。分かってるつもりだよ? 私は、周りの容姿に恵まれた子と比べると、女としての価値が低いのかもしれない……ただコイツ、何様だよ⁉︎

 

「マジ、胸糞悪ぃ……その理論で言うと、お前も大してランク高くねぇよ‼︎」

 

「それなら、別れれば良い」

 

「私、分かってる……あなたの好みの女になれる様に、頑張るから……」

 

 鈴香⁉︎ ここまで来ても、お前はそうなんのか?

 

「わ、私も……その輪に、入れてよ?」

 

「良いのかい? それじゃあ二人とも、俺からの条件を受け入れてくれたという事で良いのかな?」

 

「んだよコレッ⁉︎ 鈴香? お前はこれで良いのかよ?」

 

「うん……それで、英治とこの関係を続けていけるのなら……」

 

「じゃあこれからお前とは、敵同士だからな⁉︎」

 

「そうだね……敵だね」

 

 狂ってやがる。こんな関係、絶対おかしい。でも……

 

 恋愛経験の無い鈴香になんて負ける筈無い。私が、小鳥英治の一番になってやる。そして、小鳥英治、お前の人生を、私だけのモノにしてやる。

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