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3 状況

 藍放学園に入学して一週間以上の時が経った。


 学園の規則校風、寮生活にと緊張に包まれた日々は慣れへと変わった。

 それぞれの者たちがどうなったかを軽く説明しよう。


 健介は持ち前の頭脳と立ち回りでクラスの中心的地位を獲得していた。中学から一緒の者たちは最初っから知っているし、一週間も経てばクラスメートたちも気づく頭の良さ。口の上手さにそこそこの容姿、運動神経の良さなどが合わさり学級委員長に推薦されたほどだ。本人が立候補しなかったこともあり副委員長に就いた。

 女子が委員長に就いたことにより、男子や一部の女子が彼に頼るようになっている。


 近藤はお調子者の盛り上げ要員として、健介とは違う形でクラスの中心にいた。明るく場を和ませ、時に変態みたいな発言をしたり、バカみたいなことを言ったりしてはクラスを賑やかしていた。女子からは変態として弄られているが、本人の根の真面目さもあってか本当には嫌われてはいない。

 健介とは仲の良い友人として一緒に行動していた。


 中田はその人を遠ざけるような態度や容姿、スペックにより一部の男子に好かれ、同性や他の男子に嫌われていた。空き時間は常に読書をし、会話も健介以外とはしてはいなかった。しかしドジっ子なのか偶にスカートが捲れていたり、時折転んで男子に身体を押し付けてしまうこともあった。それがまた女子たちにはわざとらしいと評判を下げる要因になっている。

 健介には完璧さの中にあるドジが良い味出してると好評である。


 中島は早々に制服を着崩し、校則をガン無視する見た目をしている。一緒に居る者たちも同じようなギャル集団であるが明るく分け隔て無い性格、授業などは真面目に受けるためクラスでも浮くことは無い。勉強もそこそこ出来るようで、授業では積極的に発言している。

 健介とは隣の席ということもありよく話す。今はまだ仲の良いクラスメートの一人といったところ。


 A組はそもそも私立の進学校であることを加味しても真面目な者が多く、不良や人を小馬鹿にするものは居ないので(中田は除く)平和そのものであった。ギャル集団は見た目が良い者たち且つ露出の激しいので、男子たちからは目の保養となっていた。



 そうしたクラス環境のなか、健介たちは二回目の週末を迎えようとしていた。

 一回目はそもそも入学の翌日からだったために寮の生活などもあり、好きに過ごせる者は居なかった。つまり高校生活の最初の自由な休日と言えた。


 今回は健介の休日の過ごし方を教えよう。




 土曜日――。


 朝七時に起床。

 洗顔などをし、朝食を取る。健介は朝食を何より大事にし、しっかり栄養の高いものをたくさん食べる。体作りにしても、勉学にしても朝食というのは一日のエネルギーを蓄える最重要案件である。


 八時半には勉強を開始。

 二時間半、昨晩の勉強内容を復習する。


 十時半からは隣町までジョギング。

 隣町までは一時間半掛かり、そこの行きつけのパン屋で昼食を取る。


 十三時半に帰宅。

 筋トレ開始。肉体をバランスよく鍛える。


 十七時に入浴。

 汗と疲れを取るために一時間の半身浴。


 十八時半に晩飯。

 父の作る料理を食す。よく噛み、時間をかけてしっかり食べる。


 二十時から勉強開始。

 予習をし、苦手の教科を重点的に。一時間だけ休憩時間があり、そこで人気の番組を話のネタの為に観る。


 零時就寝。


 大体こんな流れである。日曜日は完全休養日としてエ――ギャルゲーをしたり漫画を見たりして過ごす。


 健介は自身が天才の領域に居ると自負している。が、胡坐をかき居座れるほどの規格外でもないと分かっている。少しサボれば一気に堕落し、取り戻すのに普段の勉強量などを増やさないといけない。故にサボることなく一日五時間以上の勉強と二時間の筋トレをする。

 筋トレに関しては各部位ごとに行い、毎日やるデメリットを軽減している。


 睡眠時間を削るのは逆効果であるのも分かっているために毎日七時間寝る。健介にはノルマ達成の為に放課後はまっすぐ家に帰らないといけないのだ。つまり健介にはヒロイン攻略の為に放課後を使えないというハンデがあった。


「それ逆に面白い!」

 それがますます健介を燃え上げる枷となった。


「にーちゃん……いきなり何ゆってんの? オナ禁であたまイかれたの?」


「人のトイレでの独り言を聞くんじゃありません!!」



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