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2 友人キャラ

 入学日は午前授業で終わった。

 生徒たちは寮に行くなり、学園内を見学に行くなり好きに放課後を過ごしていた。


 健介は近藤に誘われ、校舎の中を見て回っていた。


「俺たちの教室って全体的に立地わりーよな」


「一年だから我慢するしかないな」


 両手をズボンのポケットに入れ歩く近藤と、その横にキリキリ歩いていく健介。一見すると不良ともチャラそうとも思える近藤ではあったが、口の悪さを抜かせばそこそこ良い奴であった。

 

 一年の教室があるのは校舎内の一階の奥の方であり、上の階には職員室、その上には美術室や視聴覚室があるだけである。他の区画は四階があるが、この区画は三階まででその上は唯一の屋上開放スペースである。


「本校舎で重要なのは特になさそーだな……食堂と部室棟、後は旧校舎にも行ってみっか」


「俺は図書館にも行きたいな」


「真面目だねぇ、お前頭よさそーだもんな」


「自慢したくは無いが入試は一位だった」


「マジかよ!? そう言うので一位取る奴初めて見たわ」


「もっと言うと全国模試も一位か二位を取っている……去年が二位で一昨年が一位だったな」


「……漫画の主人公みたいだな。校庭でノートとか拾うなよ?」


「そんな大量殺人しそうな主人公はNGだな。しかもあの主人公は毎年一位だろ」


「お! 漫画とかは見てるみたいだな。がり勉の真面目君じゃなくてほっとしたわ」


「ちなみにお前の成績は? 場合によっては面倒見るぞ」


「――聞くな」


 藍放学園は四角形の大きい塀で囲まれている。大きい正門と他三方の車一台通れるくらいのゲートがある。正門から続く道の先に本校舎がある。本校舎も四角形で真ん中は中庭として開いている。本校舎には各学年の教室と色々な専用室がある。他の施設には食堂と図書館、旧校舎に部室棟、グラウンドに体育館や寮などがある。


 特に図書館は町にある国運営の物より豪華だと言われている。


 健介たちは本校舎を出て食堂に向かった。


「昼飯食うか? もう開放されてんだろ」


「悪いな、弁当持ってきてる」


「彼女か?」


「入学早々居るわけ無いだろ」


「わっかんねーぞ? 中学から一緒に来た彼女って線も有るだろ」


「こう言う会話してる時点で無いだろ」


「たしかーに、じゃあ俺は売店でパン買ってくっから待っててくれ」


 近藤は食堂に内設された売店に買いに行った。他の生徒も食堂で食うなり、売店で買うなりしていた。


 健介が持ってきた弁当は父が作ったものである。母の瑞輝はコーヒーやお茶や紅茶を淹れるのは神掛かっているが、料理は下手である。別にダークマターを作るようなレベルでは無いが、大雑把な為に味付けがバラバラで形も悪いのだ。


 彼女が働く喫茶店は個人経営だが、彼女の美貌によりサラリーマンや近所のおっさんが常連として通っている。健介は持ち前のエ――ギャルゲー脳により、母によからぬ事が起きているのではと妄想している。母をオカズにする業を行く者である。


 近藤が惣菜パンををいくつか買ってきて、二人は近くのベンチに腰掛けて昼食を取る。


「――うめーなー……そういや~さ」


「(いちいち伸ばすのがイラつくな)なんだ?」


「お前ってしょーこと仲良いのか?――もぐもぐ」


「翔子?……ああ中田さんか――彼女がどうした?」


「名前を思い出すのに時間が掛かるレベルなら親しくも無いか~。あいつとは所謂幼馴染ってやつなのさ」


「ほう! どうなんだ、良い感じなのか?」


「良い感じってどういう意味だっつうの! ただの幼馴染だよ!」

(まあ……そこそこ好きだけど)


「ふーん(ぼそっと言ったの聞こえてんだよなぁ)」


 そのあと気不味い雰囲気になり、食事が終わるまで無言となってしまう二人。


 弁当を食いながら健介は考える。近藤を中田堕としに利用するかどうかを。利用すれば簡単に堕とせるだろう、しかしそのあとの行動次第では絶交ものなのは確実。


 ただ単に中田翔子を攻略するだけならここで利用するの一択。しかし、健介の目的はただ一つ。


『堕としてからつき離す』ただそれだけだ。






近藤遥輝視点――。


「お、俺と付き合ってくれ――」


 中学最後の夏休み最終日、俺は中田翔子に告白した。

 彼女とは幼馴染であり、俺にとっての初恋の相手だ。


 俺と違って頭が良く、俺以上に運動神経が良い。見た目も美人で胸も大きく、身長も高くてすらっとしている。胸の大きさ以外はモデル体型と言えるだろう。


 数多くの男子が彼女に告白しては轟沈してきた。だが、俺は幼馴染! 可能性は高い! そう言い聞かせ今日に至る。


「――? だれ? 知らない男に告白されても迷惑よ、そもそも凡人に興味ないの」


 彼女の眼に俺は映っていなかった。幼馴染だと思っていたのは俺だけだった。


 彼女に釣り合うために努力してきたこれまでの人生を否定された気分だった。俺は髪を染め、今までの真面目な自分とおさらばした。




 いろいろと諦めがついた高校の入学式の日。神の悪戯か、はたまた嫌がらせか。俺は中田翔子と同じクラスになった。


 後ろの席の奴の隣だ。気不味い。


 驚愕すべきは中田翔子から話しかけたという事実だ。後ろの席の西川と言う男は出来そうな男だった。その西川に中田翔子から話しかけたのだ。


 聞き耳を立てれば一緒に勉強する約束を取り付けていた。


「一緒に見学行こうぜ!」


 奴に興味が出た俺は放課後、西川を誘っていた。



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