09
ウィルホーゲン子爵。
それがノーラの養父だ。
ノーラのギフトは剣の才能としては最強格の『剣聖』というギフトだった。
このような特別に強力なギフトを持つ子供を、貴族が養子として、悪く言えば金で買うことは珍しいことではなかった。
「それで……彼の、イクトとやらのギフトでノーラの運命の人を探しに行きたい、と?」
「はい。義父様、どうかお許しください。私の運命がどう変わるのか、気になるのです」
「ふむ……確かに。興味はあるな」
ジロリ。
俺を見る子爵の目は鋭い。
背中に自然と冷たい汗が浮かぶ。
「ちなみに私の運命の人は、今どこにいるのか分かるかね?」
「はい。えと、……どこにもいません」
「…………どういうことだ?」
やばい。
子爵様の機嫌を損ねた!?
「義父様、ギフトは完璧なものではありません。イクトの運命の人である私だからこそ、運命の人を探せたのかも知れませんよ」
「ふむ……そうなのか、イクト?」
実を言うと、故郷の村では他人の運命の人を探したことがある。
探せる場合と、探せない場合があったのだ。
ちなみに殆どの場合が探せなかった。
そのことを正直に言う。
「運命の人がいない場合というのは、どういうことなのだ」
「それは俺にもわかりません。ギフトも万能ってわけじゃないと思いますし……」
「そんな事は分かっている。……いや、そうだな。確かにギフトは万能ではない、子供に詰め寄っても仕方ないか」
子爵はため息を付いて、俺からノーラへと視線を移した。
「旅は許可するが子供二人というのは許可できない。ノーラ付きのメイド、ウルを連れて行くことが条件だ」
「……! ありがとうございます、義父様!」
なんとかノーラの運命の人探しを許可してもらえた。
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