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クスリの製造現場は温泉街の中にあった。
スラムの連中が温泉街をうろつくのは難しい。
だから襲撃決行は夜中になった。
そして夜。
俺たちは温泉街にある一軒の家屋を襲撃した。
扉を乱暴に蹴破り、中で働く連中をスラム街の連中が捕らえていく。
「チッ、なぜここが分かった?」
クスリを作っていた連中の元締めが膝を付き、悔しそうに言った。
「優秀な協力者がいたんでな」
ダッドリーはそう言うと、剣を一閃して首をはねた。
「……何? そうか、それで……」
「どうかしたのか?」
ダッドリーに下っ端が報告をあげたので、俺は聞いてみた。
「ああ。どうやらクスリの原料にはこの街の温泉が必須らしい。それでこんなところで製造していたようなんだ」
「へえ……そういうことだったのか」
「ふん。だがこれで厄介なクスリはもう作れねえ。今後、同じようなことがあれば温泉街に注意すればいいことも分かった。ありがとうよ」
「いや。いいんだ」
「それで運命の人とやらについてなんだが、やっぱりとんと心当たりがねえ。どうしたらいいと思う?」
「ちょっと待って」
俺はギフトを起動してノーラの運命の人を探してみる。
運命の人は……ダッドリーじゃない?!
「ああ、どうやらクスリの件を解決することが運命だったらしいよ。もうダッドリーはノーラの運命の人じゃない」
「そうかい。大した礼もできなくてすまんな」
「いや。これが運命なら俺たちはそれでいいんだ」
俺たちはダッドリーと別れて、スラム街へ戻った。
「やあ。勘違いしていたよ。ダッドリーのすぐそばにいたから、てっきりダッドリーが運命の人だと思っていた」
「そう。運命の人は私だったってわけ?」
俺たちは密偵のフェイの元へ来ていた。




