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ノーラが休憩を終えたので、全員で第十五階層に行くことになった。
というのも、二刀流の訓練のためにノーラが階層中の魔物を倒しすぎて、しばらくこの階層は閑散とするだろうから、効率よく戦闘をこなしたい俺たちは階層をひとつ降りることにしたのだ。
第十五階層……上層最後の階層だ。
特別ななにかがあるわけじゃないけど、ここをクリアしたら初心者は卒業だぞ、という威圧感のような雰囲気を持っている。
「よし、俺が魔物の気配に集中するから、トラップはイクト、頼んだぞ」
「はい、アルフォンスさん」
「魔物が現れてもノーラちゃんひとりで片付けちゃ駄目だぞ。できればウルとオーレリア、それからイクトだけで少なくとも半分は任せたいからな」
それでも半分はノーラが倒すということでもある。
まあ訓練だし、始めのうちは安全をとってノーラに頼るのがいいだろう。
「よし、行くぞ」
アルフォンスさんの緊張感のある声に、皆が「はい」と元気よく返事を返した。
ノーラが魔物の半分を二刀流で瞬殺した後の残りを俺たちで片付ける。
オーレリアさんはウィンドセイバーというウィンドカッターの上位魔法を練習していた。
ウルさんは闘気法を使いながら魔物を殴り飛ばす。
身体強化魔法と重複するため、かなり強くなった印象だ。
俺はノーラから盗み取った二刀流を試しつつ、フィジカルブーストと闘気法を練習しながら、ウィンドセイバーを合間に挟みながら戦う。
欲張りだが、俺には戦闘系の才能はないから、努力ですべてを補わねばならない。
とにかく吸収できるものは吸収していかなければ。
フィジカルブーストの魔法は元から使えたが、闘気法との併用となると途端に難易度が上がる。
魔法に魔法を重ねるようなもので、なかなかうまく行かない。
探しもので不足を探してみれば、様々ある要因の中でイメージ不足が最も大きな原因であると感じられた。
イメージは魔法を操る上で最も重要な要素だ。
起こる過程と結果を強く念じることで魔法は発生する。
闘気法の成功例はウルさんだ。
あれと同じことを……ってあれ。
ウルさんは手袋をした拳に魔力を纏っている。
俺は二刀流、つまり剣を使っているわけだが……これでは闘気法の見本がないに等しい。
攻撃に使うのを一旦諦めて、移動の補助などに特化してみるとすぐに馴染むのが分かった。
ウィンドセイバーは比較的楽に習得できた。
オーレリアさんの魔法をそのまま真似ればいいだけだから、こういうのは得意なのだ。
一番苦労しているのは、実は二刀流だ。
ノーラの練習を見て勘所は押さえたつもりだったが、剣聖のセンスと才能無しの俺のセンスとの違いを舐めていたらしい。
率直に言って激むず。
右手と左手が交互に動かす場面もあるのに、同時にしか動かせずにミスを連発したりしてノーラに助けてもらう羽目になったりとなかなかに習得に時間がかかりそうだと感じた。
あとはトラップを探すことに集中するために、アルフォンスさんの気配察知の技術を盗む暇がないことだ。
これは今度、トラップのない浅い階層で個別に教えてもらうことになった。
気がつけばノーラが闘気法を使って剣を振るっていた。
……おいおい、お前が更に強くなるのかよ。
伸びしろの長さが半端ない。
しかしこれでお手本ができたことは否めない。
さっそく俺に足りない部分を探させてもらおう。




