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安全地帯ということで、精霊の池で野営することにした。
池の水は自由につかってもよいらしく、飲用にも適した綺麗な水だということだ。
「へえ、オーレリアがノーラちゃんの運命の人ねえ。それで俺を助けに来てくれたわけか。ていうか、もしかして俺はついでで、イケノカリバーが本命だったんじゃないか?」
「それはありそうですね。お嬢様がアルフォンス兄さんを助けに行く運命というより、池の精霊から霊刀を賜る方が運命だったっぽいです」
「なんか俺の命がついで扱いされているけど、まあなんにせよ助けに来てくれてありがとうみんな。で、気になるんだがイクトくんよ、俺の運命の人も探してもらえるのかい?」
「え? 探します?」
「ぜひとも頼むよ。妹ふたりはイクトくんが運命のお相手なんだろう? 俺もイクトくんが相手だったら困るなあ。そういう趣味はさすがにない……って痛い!!」
ウルさんにゲンコツをもらったアルフォンスさんは頭を抑えて悶絶している。
どうやら手加減抜きだったらしい。
「ええと、じゃあ探しますね……」
ギフトを起動してアルフォンスさんの運命の人を探す。
「……反応なし。残念ながら、見つけられませんでした」
「ほほう。その他大勢ってわけか。まあ仕方ないね」
「いや、なんかすみません」
「良いってことよ。俺も自分が大層な人物だとは思っていないし。運命の人なんてのがこの世にいるようなタマじゃないよ」
アルフォンスさんはそう言うと、ゴロリとマントをまとって寝転がった。
「ここは安全地帯だから、見張りはいらない。でも固い床で寝ても疲れは抜けにくいから、ダンジョンで野営に慣れていない子供たちとウルは長めに寝るといいぞ」
「アル兄の言う通りだね。危険がないけど、疲れて帰り道で事故ったら危ないから。特に前衛の要のノーラちゃんとウル姉にはしっかり休んでもらわないと。あとトラップと宝箱を探せるイクトくんもね!」
そんなわけで俺たちは早めに休むことになった。




