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もろもろの準備に一日を当てて、俺たちは宿に泊まる。
オーレリアさんも宿を移ってきた。
「大した荷物もないし、こっちにいた方が話が早いでしょ?」
とのことだ。
しかし俺以外、みんな女性だなあ。
「ところで運命がどーとかっているのは何?」
「それはね、イクト少年のギフトの話なんだけど……」
ウルさんがオーレリアさんにノーラの運命の人探しの話をした。
なおオーレリアさんは15歳で俺とノーラより年上だ。
「へえ。私がノーラちゃんの運命の人かあ。なかなか実感のわかない話だけど、助けてくれるっていうんだからそうなのかもしれないね。一日でも早くアル兄を助けないと、そろそろ危険なんだ。食料も水も尽きたら大変だよ」
「余裕はあるんですか?」
「何日か潜る予定だったから、その分は大丈夫。アル兄は慎重派だから、きっと節約しながらこそこそ逃げ回っているよ」
うーん、俺のギフトによると一箇所に留まっているんだけど。
動いているから生きているのは確実なんだろうけど、魔物から逃げ廻っているという印象はない。
どこか安全な場所を見つけられたのだろうか。
それから俺たちはお互いのギフトやできることを確認した。
オーレリアさんはノーラが『剣聖』だと聞いて驚いていた。
ちなみにオーレリアさんのギフトは『風魔法の才能』だ。
アルフォンスさんは『斥候の才能』だそうだから、ウルさんの『格闘の才能』と合わせて、何気にハイスペックだなこの兄妹は。
俺たちは打ち合わせをしてから、ゆっくり休んだ。
明日はいよいよダンジョンだ。




