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「イクト~~~? いつまでボサっとしてるのさ。早く手伝って」


「…………はあい、母さん」


 俺の家は宿屋だ。

 客室からシーツを運び出し、洗濯する。

 子供の俺でも手伝える仕事はいくらでもあるのだが……。

 どうにもそんな気分にはなれなかった。


「いつまで拗ねてるの。ギフトは一生の宝なんだから。剣の才能じゃなくたって、いいじゃないか」


「よくねえよ! 俺は剣の才能のギフトを開花させて、冒険者になる予定だったんだから!」


「才能のギフトがなくても剣は振れるよ。あと冒険者なんて危険な職業、お母さんが許しません」


 俺のギフトは、『探しもの』のギフトだった。

 司祭様からは「珍しいギフトで、失くしたものがどこにあるのか分かって便利だと聖書に書かれている」とのことだ。


 便利って……そうじゃないだろう。


 俺は自分の中にあるギフトの感触を確かめる。

 使用可能。


 ……冒険者になる方法は?


 沈黙。

 ほら、役に立たない。


 俺の失くした夢を探してくれよ、俺のギフト。


 沈黙。

 ほら、役に立たない。


 俺の運命の人はどこにいるのかな?


「!?」


 その問いには、ギフトは明確な反応を返してきた。


 ……え、それってアリなの?


 距離と方角が分かる。

 すごく遠い。

 でも、俺の運命を握る人物は確かに、この地上にいるのだ。


 俺は勢いよく宿を飛び出し、天に向けて叫んだ。


「待っててくれよ、運命の人! 必ず、必ず行くから!」


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