お料理を作ろう
司書さんからもらった手紙をインベントリにしまって『冒険者の宿』に向かって歩く。今日のババントラは曇り空でちょっと気が乗りきらない。快晴だったらかなぁり気が乗るんだけどなぁ。そんな曇り空なのにも関わらずこの街は賑やかだった。
さて、私も行くとしましょうかね。街中を歩き目的地を目指す。時間的には朝早くだから街の人が活発なのかな?お昼とかになる前にもにぎやかにはなるんだけどね。とりあえず人を避けながら街を歩く。この時間はプレイヤーの数は少ないのかな?こっちの住民が多いかんじ。
街の喧騒を傍目に私は目的地である『冒険者の宿』の前に到着した。さて、ここは表から入るのがいいかな。冒険者の宿はちょっと古びた感じがするけどここって宿屋なのかな?違うのかな?まぁ入ってみようと。
冒険者の宿に入り、中を見てみる。中は宿屋と言う感じではなく至って普通の食堂だった。あれ?ここで間違ってないんだよね?......まぁ、話を聞いてみたほうがいいかな。そう思っていると店員さんというか女将さん?なのかな。がこっちに来る。ちょっとふっくらとした身体をしているがそれが母性を刺激するのかもしれない?
「おや、いらっしゃい。食事かい?」
「あ、いえ。こちらを」
「ん?手紙?......ふむ、イリーナかい」
手紙を渡しておく、どう転ぶか分からないんだよね。手紙を読んでいる女将さんを見ておくしかない、手紙を読み終えた女将さんは手紙と私を交互に見てから目を瞑り腕を組んで少し考えた後数回うなずきこっちを見た。
「うん、事情は分かった。ちょっと待ってなね」
そういうとキッチンの方へと歩いて行った。......ここじゃ邪魔になるかな?普通に椅子に座っておこうっと。この宿?というか食事処?にまだ人はいない感じだけどここで経営しているってことだからある程度儲けが出来てるんだろうなぁ。そんな感じで待っていたら女将さんが戻ってきた。その背後には線の細い男性が付いてきている。彼がここの料理人なのかな?私は椅子から立ち上がりぺこりと頭を下げる。
「待たせたね。イリーナの依頼、受けさせてもらうよ」
「あ、ありがとうございます。」
「まぁそこでね。さて、イリーナからは料理を教えて欲しいと書かれていたんだけど、歓迎するよ。一時的でも人手不足が解消されるからね。じゃあ早速やろうか」
「まちなよ。まずは自己紹介しなさいな。あたいはここ『冒険者の宿』での女将【カリオナ】」
「おっとそうだったね僕はここの店主【ダランテ】よろしくミーノさん」
「あ、はい。自由人のミーノです。よろしくお願いします」
女将さんと店主さんの自己紹介を終えて私はキッチンへと案内される。キッチンの中はしっかりとしたものがそろっている。......やっぱりこの街って始まりの街みたいな感じがしないなぁ。言ってしまえば終盤の街みたいな設備してる気がするけど、この街じゃなくても基準は高い感じだけどね。中を見てそんな感想を浮かべていると
「では、少しずつ教えますのでやってみましょう」
「はい、お願いします」
それから私はダランテさんに教わりながらこのお店のメニューを少しずつ作らせてもらっている。私が料理をし始めていると店内に扉に設置してある鈴が鳴り人が入ってくる。
「いらっしゃーい。おや1人かい?」
「いや、後で2人来る。」
「あいよ」
この街に住む人がここを利用するんだね。いや、プレイヤーももしかしたら利用するかもしれないけどね。でもまだ朝だからかお酒を頼むような感じはしない。今からお仕事かな?そう考えながら料理を続けていると〈スキル『料理』を覚えました。〉というアナウンスが流れた。
「お、早いね。でもまだ手伝ってくれよ?」
「あ、はい。出来る限りお手伝いします」
「うん。ありがとう」
......いやぁ、どうして分かるんだろ?アナウンスが流れた後にダランテさんが話しかけてきた。正直もう驚かないかと思ったけど普通に驚いた。一般の人も読心術使えるの?それともログが見えるのか?!この世界の人はやっぱり摩訶不思議だなぁ。カランカランとまた鈴が鳴って2人の人が来る
「はい、いらっしゃい」
「ども、アイツ来てる?」
「来てるよ。ほら」
「う~い」
まだメニュー表とにらめっこしているのかな?私はそのまま料理のスタックを増やしていく。作った料理?ダランテさんが冷蔵庫に入れてるけど?あれってなんだろ?
「あの、ダランテさん」
「はい、なんでしょう?」
「さっきから料理を入れているあれは何ですか?」
「あぁ、あれは。ちょっと特殊なアイテムボックスだよ。あの中に入っている間時間が止まっているようで作り置きが出来るんだ。」
「なるほど」
つまりあれは私たちの持っているインベントリの設置版と言うことになるのか。なるほどなるほど。それから私は黙々と料理を作り続けた。作っている間に店はかなり繁盛し始めてきていて人が多くなってきておりガヤガヤして来ている。作っている料理は数種類なんだけどこれは忙しい!目も回る忙しさだよ!確かに人手が欲しい!
朝だからなのか?朝だからこんなに忙しいのか?!いやいやいや、メニューを聞いているカリオナさんがすごい人だと感じるし、ダランテさんもすごい人だこれ!私も頑張って作っているけどダランテさんの速度に追い付かない。
そんな忙しい時間も頑張れば過ぎていく。少しずつ人が減っていき、3時間もすれば人が仕事に向かって行く。......なんで私はゲームの中で仕事をしているんだろう?とふとした瞬間に頭によぎったけど忙しくって頭から消えて行っていた気がする。ふふ、疲れたぁ。
「お疲れ様。いやぁ今朝はそこそこの入りだったね」
これで?!ついダランテさんの顔を見つめてしまう。いやいやいやとおかしいと思うよ?!誰か雇いなよ!いつの日か倒れるんじゃないの?!
「いつもはもう少し忙しいんだけどもいやぁ、楽だった楽だった。」
「そうかい?客はいつもより多かったけどね。やっぱり人が増えると楽かね」
「そうだね......やっぱり雇おうか」
「でも結局数日で辞めていくじゃないか」
カリオナさんの言い分はよくわかる。というかすぐやめちゃうよ。こんなに忙しかったらさぁ。
「そうなんだよねぇ。あ、ミーノさん「お断りします」」
「だろうねぇ」
「無理ですよ。あのペースを毎日は大変というかなんといいますか」
こっちに話を振られたのですぐにお断りさせていただきました。無理なものは無理!それから私は朝ご飯を今回の報酬代わりにいただき、お礼を言ったのちに図書館の方へとちょっとふらふらしながら歩いて行った。......今回はもう落ちよう!リアルで休憩しよう。続きは午後にまわそう!料理スキルは手に入ったし午前中は終わり終わり!




