調合士のレベル上限
めちゃうまいケバブを食べ終えた私はししょーの家の前に来た。扉をたたきししょーが出てくるまで待ってみる。......そういえば普通にフレンドメッセ使えるけどまぁいいか!ししょーが出てきてポーション作りのお手伝いをする。
「さて小娘」
「はい?」
「そろそろジョブのレベルが上げ終わるんじゃないかい?」
「多分そろそろですね」
「おや、じゃあそろそろ次の薬を作らねばの」
「次ですか?」
「そうじゃ。まぁ特殊な料理屋に荷下ろしをしたり毒薬や上位の回復薬じゃの」
特殊な料理屋って、それに毒薬に上位回復薬?レシピに書いてあるのじゃダメなのかな?
「ま、大体があのレシピに乗っておる。それに上位の回復ポーションを多少品質が悪いが売っておるそうじゃな?」
「え、知ってたんですか?」
「まだ1回や2回そこらしか販売してないようじゃがあれは調合士を卒業してから作るものじゃからな。」
調合士って本当はあのポーション以外作れないのかな?......レシピ本があってもレベルが足りなくてってことになるのかな?うっわぁすっごい大変だろうし、つまらないだろうなぁ。まぁ研究しがいがあるということでは良いんだろうけど。やっぱり生産職って師匠がいたほうがはかどるとかあるのかな?
「ま、おぬしは既に成功しておるようじゃから何も言えんがの」
「まだ毒薬は作ってませんけどね」
「あれは外でやるもんじゃないからのぉ。やるにしても生産ギルドで部屋を借りなければいかん」
「生産ギルドで部屋を借りる?」
「おや?聞かされてないのかい?生産ギルドで金を払えば部屋を借りれるんじゃよ。ま、露店をするなら商業ギルドじゃが、まぁおぬしは持っておるようじゃから問題ないじゃろう」
「ならよかった」
「後は......そうじゃな。東の筋肉熊が暴れて行商人がまだ安全に来れてないようじゃの」
「ん~東はまだなんだね」
「あの熊はの、力任せに攻撃してくる割に頭がいいんだよ」
「そうなの?」
調合の手を止めることなく私とししょーは話を続ける。まだ東の開通が済んでいなかったとは驚きだけどね。すでに開通したものだとばかり思ってたから。けど東のボスを倒さなくてもある程度の素材は手に入るはず。......その先にあるんだからもっとよい素材があるってことなのかな?順当に考えればそうだよね。
「まぁ神からのお告げでやらせてなかったら儂らがボコボコに懲らしめてるんじゃがのぉ」
そのセリフは......うん。聞かせられないや。街の人たちが私たちよりも強いのが分かっただけでも成果と言うことにしておこう。うん。
「この街にいる騎士が3人もいれば東と西のは倒せるしのぉ、北は北でミリーナ1人行けば倒せるだろうし、南はブルングルの小僧と神官がおれば倒せるじゃろう。」
「......それ、他の自由人に言わないでくださいね?」
「お?まぁいいじゃろう。.....そうじゃスライムを出してくれんか?」
「?はい」
何だろう急に。あ~でもスライムって調合で使えるんだっけ?ライムを召喚する。その際には当然撫でる。このツルツルの感触が気持ちいいなぁ。プルプルと震えながらこっちに寄りかかってくるライムをナデナデする。こっちを見ているししょーの眼差しが温いけど気にしない気にしない。さて一通り撫で終わったし、ししょーの話を聞こうかな。
「さて、スライムの使用法だが......このビーカーに消化液を溜める。投げる。以上じゃ。他にもあるが今はそもそも作れん」
「.....え、それだけ?」
「そうじゃ。スライムの消化液はかなり強くてな?ゴーレムにかけても溶けるんじゃよ。核をきれいに取り出したいなら必須レベルじゃな」
「つまりししょーもスライムを?」
「うん?儂は捕まえておらんぞ」
「え?」
「なんでか懐かれなくてな......ははは」
えぇ、ししょーってモンスターに好かれない?それはいいことなんじゃ......違うわ嫌われるから攻撃されやすいのかな?うわぁ、厳しいなぁ。
「まぁ、そういうわけで、このビーカーに液を溜めてもらえるかい?」
ししょーはちょっとハイライトを失った目でビーカーを持ってこっちに来た。......そのビーカーは溶けないんだよね?ししょーの持ってきたビーカーの中にライムを入れて少しだけ消化液を出してもらった。こう、ライムの全身からじわじわと液体がにじみだしてきた感じ。その間に私はポーション作りを再開する。
残りの時間が1時間になったころ〈調合士のジョブレベルが上限に達しました。今より上位のジョブに就く事が出来ます。【調合師】に派生が可能です。〉とインフォが出てきた。ついに調合士の方のレベルが上昇したようで。派生が出てきた。と言っても調合師以外ないんだけどね。インフォにそのまま調合師をタップしジョブの派生を完了させる。これで一応上位なのかな?
「お、ようやく調合師になったか。」
「あ、はい」
「ま、ようやく半人前じゃの。頑張りな」
「はい!」
なんか認めてもらえると嬉しいよねぇ。今でも褒めてもらえるけど昔よりは減ってるし......でも知らないおばちゃんから頭撫でられて飴ちゃんを貰うのは色々と恥ずかしいんだよなぁ。......もちろん飴ちゃんはもらうけどもね。
まぁいいんだそんなことは。ただまぁ歳をとるごとに人から褒められることって少なくなっていく気がする。......それが普通になっていくからだって言うのは分かるんだけどね。なんか寂しいというか物足りないというか。
「どうかしたかい?」
「ん?いや、何でもないですよ」
「ほう?そうか。ま、無理はせんようにな」
「はい」
さて、そろそろ終わりにしようかな。ライムに微癒草あげなきゃ。あ~でもまだ消化液出してるかな?ライムの方を見てみるとすでに終わっていたようで暇そうにぷかぷかとビーカーの中に浮かんでいた。そんなライムに手招きをしてみると頭がいいのかビーカー以外に消化液が付くことなく。こっちに跳ねてきた。
「お疲れライム。食べる?」
「......!!!」
プルプルと身体を震わせるライム。ライムにご褒美の微癒草をあげつつビーカーの方を見てみると何故か投擲が出来るような大きさにまで小さくなり分裂していた。しかも蓋つきで......こういうところはゲームなんだよなぁ。ポーションを入れた瓶も勝手に締まるし。
ししょーはそれを見てうなずいていた。そしてこっちに近づき分裂した3個のうち2個を私に渡してきた。ししょーの取り分は1個でいいらしい。取り扱いには気を付けろと言われたので充分に気を付けることにしよう。
その後私は図書館へと戻る旨を伝え、ライムを抱きつつ微癒草を食べさせながら図書館に向かって歩いていく。そろそろお昼になるからか街の人もプレイヤーも少なくなっているようで歩きやすくなっていた。ライムは街を眺めてご機嫌になったようでぷるぷると震えていた。......ほんとにご機嫌かは知らないけどね?図書館に戻り、司書さんに仮眠室を借りることを伝えた私はそのまま仮眠室へ、仮眠室に着いた私はライムを送還しベッドに横になりログアウトの操作を行う。午後は2人と一緒に遊べるのかぁ。
現時刻は11時50分。お昼と食べたり片付けたりしていれば13時は行くので気にしなくていいかなぁ。さぁ!お昼ご飯を食べようっかな。携帯を持ってリビングへと降りていくのでした。




