ミニマムライオン
素早い動きが私たちを翻弄する。前後左右どこから来るんだろうか。常にガサガサと草がなっており、どこから来るかが予想できない。......広範囲に攻撃できる魔法でやりますか!本に書いてあった方法だと周りに放出するとよいだったかな?
チューンに被害が及ぶといけないので私はチューンを送還して集中する。偶に飛んでくるミニマムライオンをすれっすれで躱す。その際爪でひっかかれてしまうが些細な事!うん。大丈夫。よし雷を周囲に!
「『サンダーバースト』!」
「ぎゃうん!」
私を中心に雷で形成された半球状のドームが発生する。ミニマムライオンにも当たったようで悲鳴が聞こえた。そっちを見るとちょっと動きずらそうにしているミニマムライオンの姿があった。......使用MPは20くらい?じゃっかんの麻痺も入る感じかな?
ミニマムライオンはまだ諦めていないようでこちらをにらみつける。その顔を見ると恐怖心が煽られる気がする。チューンを呼び戻し、改めて戦闘態勢に入る。私は続けてMPの消費が少ないサンダーショットを使いながらミニマムライオンに攻撃を仕掛ける。ミニマムライオンも負けじとこちらに攻撃を仕掛けてくる。
チューンも負けじと果敢に攻撃する。ミニマムライオンの攻撃方法は体当たり、爪、噛みつきの三つ。その小ささと速度が持ち味かな。一進一退の攻防をしつつ相手の体力を減らしていく。チューンにポーションを投げつけ回復させつつ戦う。
......疲れた。まだ戦闘は続いているけどタフ過ぎじゃないか?ちょくちょく攻撃当ててるんだけどなぁ。そう思いながら『ピシュピシュ』とサンダーショットを打ち続けているとようやく戦闘が終わった。最後はチューンががぶっと噛んでとどめを刺した。〈ミニマムライオンの毛皮を入手しました。〉んん~~!疲れたぁ!
アナウンスに素材が流れてきたことで本当に倒したと実感する。チューンが達成感を感じてこちらに寄ってくる。ちょっとどや顔してるチェーンはかわいかった。そんなチューンをモフモフ撫でてご褒美の焼き串をあげたところで休憩のために地面に座る。そのままチューンをソファー代わりにしながら今回も空を見上げる。いつの間にか紺色になってる。......疲れたぁ。
チューンの頭をナデナデしながらダラーンと足を投げる。真っ向勝負なんてゴーレム以来じゃないかな?あのゴーレムも魔法で殴ってただけだしそこまで真っ向勝負じゃないかもだけど。使用したMPはすっかり回復しているのだけど動きたくない。
そのままダラーっとしているとチューンが顔をあげて少し警戒態勢に入った。モンスターかな?それともプレイヤー?遠くの方からガサガサという草を掻き分ける音が聞こえる。ふぅむ、一体なんだろ?しばらく待ってみるとそのガサガサ音は遠くへ遠ざかっていった。話し声とか聞こえなかったしモンスターかな?グラスタイガーに気を付けてって言ってたしグラスタイガーかな?
しばらく休憩したのでどうしようかなぁ。戻ろうかなぁ。チューンを撫でながらそんなことを考える。もう夜だし、戻ってもいい気がする。チューンを含めたウルフたちは夜にテイムしたからか夜に出すようにしているんだけど。ラビちゃん達がねぇ、出せなくって困る。......よし、戻ろう!
私はチューンに串焼きをあげて、送還した。さてさて、どのくらいかかるか分からないけどとりあえず歩いて帰ろうっと。夜空を眺めながらテクテクと街に向かって歩いていく。偶にプレイヤーが戦っていると思う戦闘音が響いてくる。それ以外はいたって平和そのもので私のところにモンスターが来ることはない。スライムが寝ているところを目撃したくらい。
そうして街まで4時間くらいかけて帰ってきた。今回のドロップって何に使えるんだろうなぁ。いるならジェミニさんにでも聞けばいいかな?フレンド登録してたっけ?まぁ会えたらでいいよね。そんなに急いでいる訳じゃないし。街に入り、なんとなく街を散策する。その際に2本ほど串焼きを自分で食べたけどね。
街中をぶらぶらしているとまた人が避けている場所がある。あそこかな?私は躊躇うことなくそこに向かって歩き出す。近づくとジェミニさんだと分かる。道の端で筋骨隆々のおねえさんが露店を開いていれば嫌でも目立つ。人の視線を気にすることなく裁縫をしているジェミニさんに話しかける。
「こんばんはジェミニさん」
「ん?あらぁ、このまえの.....どうしたの?」
覚えてくれたみたいで良かった良かった。私は露店の前に座りインベントリから手に入れたミニマムライオンの毛皮を出す。それを見たジェミニさんは最初は首を傾げたけど鑑定をしたのか驚きの表情になっていた。
「え、あなたそれぇ」
「ちょっとこれで防具って作れないですか?」
私はジェミニさんにそういった。私じゃこの素材は扱えないしね。だったら私の防具にでもしようかと思ってね。ジェミニさんのもとに尋ねたということ。まぁ知り合いで裁縫できる人がこの人しか知らないということなんだけどどうだろう?
「希少モンスターのドロップじゃなぁい。これで防具をぉ?」
「はい。ズボンとかがいいんですけど」
「......なるほどねぇ、ん~~分かったわぁ!やらせてもらいましょう!」
こうして私はジェミニさんの協力を得て、防具を作ってもらう事が出来るようになった。




