お話ししましょう
お昼も食べ終え時刻は午後1時20分。家での用事をある程度終わらせ、ログインをする。アイさんにゲーム内のテイムモンスターを連れてこられないかを相談したのちに私はゲーム内へと入る。いつもの天井が見える。のそっとベッドから起き上がり、司書さんに会いに行く。
司書さんに挨拶をし、読みかけていた本を借りる。時間はまだあるとりあえず読み切っちゃおう。椅子に座り、本を開く。......ケミンドさんいないなぁ。必要なの全部読んだのかな?私が気にしても仕方ないか。とりあえず、こっちで6時前まで読んでよう。
図書館の中は私が本をめくるパラパラという音と少し遠くで司書さんの本をめくる音しか聞こえない。この静かな空間は集中できる環境になっている。息苦しいと感じることがなく、逆に居心地の良い空間にも感じる。ここにコーヒーか紅茶があったら最高かな。
そんなことを思いながら私は【書留について】を読み終えた。〈スキル『書留』を入手しました〉とのアナウンスが流れた。書留スキルはある程度の文章を書き記す事が出来るスキル。メニューを開くと書留の項目が増えていた。ここに書き記せと言うことかな?そしてこれはスキルレベルが上がれば書き込めるページが増える代物。つまり、ノートの完全下位互換。でもメモは必要だからね。ありがたいありがたい。
しかし、もう時間になりそう。私は椅子から立ち上がり、司書さんに本を返却したのち外に出る。外は夕焼けに染まっているようでかなり赤い。ついつい見とれてしまったが、時間に遅れるわけにはいかないので小走りで喫茶店まで駆けていくのだった。
『カランカラン』と喫茶店の扉を開けると鈴の音が鳴る。店内をぐるりと見渡してみると、あまり人は見られない。そして私は数少ない客でテーブル席に隣同士で座っている男女二人を見つけた。向こうも見つけてくれたみたいで軽く手を振ってくれていた。私はその2人に近づき、2人の反対側の長椅子に座る。そうするとウェイターの子が
「いらっしゃいませ。ご注文はどうしますか?」
と聞いてくれる。私はコーヒーとイチゴのショートケーキを頼む。注文してすぐに頼んだものが来る。マスターのインベントリに完成品が入っているんだろうなぁ。と物思いにふけっていると。ユーカから話しかけてきた。
「で?メッセージはどういうこと?」
「今ね?この街、プレイヤーとこっちの住民の方で色々あってね」
「あれでしょ?ギルドで暴れてたり街中で騒いだりってやつ」
「そうそれ。その影響で街の人たちからの心証?が悪くなっているみたいで」
掲示板に書かれているならなんとなく理解はしているだろうし、街中の雰囲気を見ていれば分かるとは思うんだけどもね。あ、ショートケーキ美味しい。生クリーム甘さ控えめにしてあるからイチゴの酸味が......酸味強くない?このイチゴ。予想以上に強くて驚いたんだけど。少し考えているのか少し黙り、そのあと
「ふぅん......あと、昨日道具屋が閉まってたって聞いたけど」
「あ~うん。店主さんいるでしょ?」
「えぇ、いるわね。女性の店主さん」
「あの人が過労で倒れちゃったみたいでね」
「原因は何か分かってるの?」
「分かってるよ。ポーションの売れ行きが良すぎて需要と供給のバランスが取れてない感じ」
ポーション自体は皆使うけど、買い占めたりするとそれだけ時間を取るからね。ポーション作りは大変だよ。ケーキとコーヒーを交互に楽しんでいると、今まで黙っていたハイドが話し始めた。
「無限生成ってわけじゃないんだな?」
「そうだね。入手経路は不明だけど微癒草もおそらく無限じゃないと思う。瓶もね」
「ふむ......そうか」
なにか心当たりでもあるのかな?あるならなんだろう。瓶は使用しても消えないとかかな?だとすると、フィールドに捨ててあったりするのかな?ごみのポイ捨て良くない。
「ふむ、ユーカ。生産ジョブはどうだ?」
「スレが立ってはいたけど過疎ってたわよ?そもそも作り方が分からないって。でも昨日だったかな?図書館に製法が書かれてたって書いていた人がいて、ちょっと盛り上がってたけど、フラグ管理してある建物みたいなのよね」
ん?それは聞いてたけど、やっぱりフラグ管理されてるのかな?私はそんなことなく普通に入れたけどなぁ。ん~やっぱり住民の評価が必要なんじゃないのかな?最初はまぁお客人でギルドカードとかで信頼を得て図書館に入る。そんな感じなのかな?
「ユーカたちは行ってみた?」
「俺はまだだな。ユーカはどうだ」
「わたしはこの後行くつもり、図書館に引きこもってる人がいるからね」
「ん~、まぁ大丈夫なのかな?」
図書館でのルールを思い出してもそんなことは書かれてなかったけどもう~ん、串焼きのおっちゃんとかここのマスターに聞いたほうが早いかなぁ。それか師匠に聞くかのどれかだと思う。まぁここは一番近いマスターに聞くのがいいかな。
「ん~、マスターにでも聞いてみる。」
「あぁ、それがいいわね」
「お呼びですか?」
ちょっとびっくりした。いつからいたの?というかいつから聞いてたの?私たちちょっと浮いたよ?びっくりして......ねぇ!本当にびっくりした。まぁでもちょうどいいか。
「ふ、ふぅ。びっくりしましたよ。......まぁお呼びですが」
「それで、図書館でしたね」
「えぇ、はい。」
「まぁ、お2人の信用度が高ければ受付で拒否されずに入れるでしょうが......しかし状況が状況ですからね」
「あぁ、まぁ確かに......う~ん。じゃあギルドで依頼受けて信用高めるくらいしかないですか?」
「それが一番早いかもしれませんね。おっとでは」
マスターさんはウェイターの子に呼ばれて去っていった。まったく。驚いたよ。急にきて去っていくとか。コーヒーに手を伸ばしカップを傾けると、ほとんどなかった。......でも追加で注文する気はないしいいや。さて、お話の続きだね。
「まぁ、聞いてもらった通りだよ?」
「「......」」
あれ?黙っちゃった。もしかして私と同じでまったくギルドのほうに顔を出さなかったのかな?まぁ私も受け付けには顔出すことはなかったしギルドの依頼とか受けたことないけどね。まぁ道具屋で少し手伝いはしたけどね。
「さて、お2人さん?」
「......仕方ない。ギルド行くか」
「そうね......まずは私たちの信用の回復ね。ミーノも手伝ってくれる?」
「いいよ。でも私たちだけじゃ雀の涙だよ?」
こちらの信用を復活させることは賛成ではあるんだけど、流石に私たち三人でやるのは無理だよ?多分そのレベルじゃないと思うし。私がそう思っているとユーカが
「ふぅ、ベータの時の名前を使って呼びかけるわ。そうすればある程度の人は集まるでしょうからね」
「お、破壊姫の名前を出すのか。」
「まぁ、名前だけは知られてるからね。......少し待ってて」
そういうとユーカは虚空に向かって色々とやっている。......これは不審者ですねぇ。そして怒鳴ったり騒ぎ散らかししたらそりゃあ信用が地の底に落ちますわぁ。そう思いながらその光景を眺める。そして数分が経った後に目を離し、こっちを向く。そしてカップを手に取り中に入っていたコーヒー(カフェオレ)を飲み干した。
「ふぅ、一応書いてはおいたけど、これでどこまで動いてくれるかしらね」
「やらないよりはマシだろ」
「まだまだ攻略できてないから皆イライラしてるのよね」
ため息をつきながら何も入っていなカップの傾ける。そしてそれに気づいたときさらにため息をついた。けどそっか、攻略がうまく進んでいないのか。そりゃイライラするよね。まぁそこで他の人に当たったらだめだと思うけどね。
「ん~まぁ私たちも頑張ろうか?」
「そうね」
「そうだな」
そうして私たちは喫茶店に食事の料金を払い。喫茶店を出た。そして、私たちはギルドへと向かって行くのだった。




