夜の街
集団で襲われてはたまらんと街に帰ってきました。いやぁ、ウルフの鳴き声が聞こえたときは焦ったなぁ。私はダッシュで街まで引き返し、門番さんに心配されたのち街の広場まで戻ってきました。まったく、門番さんは私の身長が小さいからって心配し過ぎなんだよ!まったくもう
夜の街は昼間とは全然違う印象を覚える。建物に光が灯り、なかなか幻想的な景色を見せてくれる。窓から漏れる光は黄色よりオレンジに近く、外をやさしく照らしてくれている。プレイヤー住民問わず夜の街を歩いているのを見ると私はその景色に見惚れてしまっていた。だからつい
「きれー」
と、独り言を呟いてしまうのは仕方のないことだと思う。それほどまでに私の心に染み渡った景色なのだから。だけどそこでいつまでもぼーっとしている訳にはいかない。当然だけどこの場所は道なのだから通行の邪魔になる行為はなるべく控えたほうがいい。だから私は道の端に寄り街ゆく人たちを眺めながらどこに行こうかなぁ。
ウロウロと街中を歩いていたら後ろから誰かが私の肩をポンポンと叩いてきた。一体誰だろうと振り返ってみるとそこには疲れ気味のハイドとユーカがいました。あれ?なんでここに、というかよくわかったね?こんなに人が沢山いるのに。
「ようやく見つけたぞ」
ん?どういうことだろうか?探してた?ん~、まぁ2人の必死そうな感じを見て何も思わないわけじゃないけど、ここじゃあ人の邪魔になっちゃうよ?......どこか違うところに行かないのかな?
「ん~、ここで話す?」
「あ~どうする」
「ここだとまずいかも、移動しましょ」
「ん、分かった.......あれ?」
「どうかした?」
「いや、なんで手を繋いでいるの?」
何故かユーカが私の左手を掴んできた。あれ、子供扱いですか?ねぇ、子供扱いはあんまりしてほしくないんだよなぁ。ここは仕方ないとしてもさ。本当に現実でやったら蹴るからね。周りのプレイヤーがざわざわしてたのは見なかったことにしよっと
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その後個室のある料理店まで連れられてきた。まったく一体何なのですかね?急にきて、引きずられたんですけど~、掲示板とかに何か書いてあったのかな?
「で、なに?」
「前に来たアナウンスってミーノがやったでしょ」
あれ、普通に分かってたかぁ。で、なんで飛んできたんだろうか。
「そうだよ。......おいでライム」
証拠を見せてあげようとライムを召喚する。向かいに座っている2人は驚いたような呆れたような顔をしていた。驚くのは分かるけど呆れるなんて。一体どういう了見だ!まったく、このプルプル感がいいのに。と思いながら私は2人をちょっとにらむ。
「掲示板で言われてたわよ。幼女が何かしてるって」
「あぁ、そうだぞ。しかもフレンド通信にも出やしない」
「......かかって来てないけど?」
「ん?」
「え?」
一体どういうことなのか......アイさんに聞けば早いので早速聞いてみることに。
『アイさん、フレンドからの通話が来てないんですが』
『え?......あ、設定から設定されていませんよ?設定しますか?』
『お、お願いします』
『はい。......もう大丈夫です』
『ありがとうございます』
まさかまさかの設定ミス!つい頭を自分で叩いてしまった。これは私が悪いわ。うん申し訳ありませんでした。2人にも謝っておこう。
「私の設定ミスだそうです。ごめん」
「そういうことか、なら問題ないな。それで、本題なのだがな?」
ハイドからの話はなんじゃろうな?まさかテイムの仕方とか?そのくらいならいいんだけどね。全然問題ないんだけど。
「今後の事なんだがどうするんだ?」
「どうする?とは」
「今のお前はテイムの情報を持った貴重な人材だ」
まぁ確かに貴重だね。でも私だって特定できるのかな?私が首をかしげていると、ユーカが
「特定は難しいけど出来ないわけじゃないのよ?何故かまだ検証班が見えないけど」
「ま、俺らがなぜミーノに思い至ったかは分かるだろ?」
「うん、あれだよね。昨日言ったからだね」
「そういうことだ」
「最後はミーノが決めることだけど、どうするの?」
どうする?ん~まぁこの情報は出してもいい気がする。私の名前を出さなきゃいけないのかな~......ん~それは嫌だなぁ。なんかめんどくさい。ユーカにポイって丸投げしちゃおうかな。そもそも条件が全部わかっている訳でもないしね。話しちゃえ
「ん~とね。私としてはどうでもいいかな。ユーカが情報をボンッ!て出しちゃっていいよ。フレンドメールに情報上げるね」
「いいの?」
「いいよ。けど私の名前は出さないでね?」
「まぁ、いいけど」
『カラカラ』と扉が空いて店員さんが入ってくる。頼んだ料理が来たみたい。来たのはから揚げとジュース数種、お刺身などなど、うんうん美味しそう。店員さんは注文票を置いて戻っていった。
「おいしそ~」
「......はぁ、食べるか」
「いただきまーす」
から揚げからいただきます!からっと揚がっていてサクサクの衣にジューシーな鶏肉の肉汁が中からじゅわっと出てくる。ハフハフと口に空気を含み、食べる。う、うっまぁい!ん~~~~♪さいっこう♪
「やっぱり美味しいわね。」
「うんっ!」
「......まぁいいか」
ハイドが何か考えているようだったけど言葉には出さなかった。いやぁ、から揚げ美味しい。そうして私たちは食べ物を堪能したのちに解散し、私はライムを送還、図書館へ行って仮眠室を借りた後ログアウトした。




