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それでも転生者は異世界を生きていくようです  作者: 春深喜
ダンジョン探索編
68/106

小さきものよ

後書きもあるのでよかったら見ていってください

「あんちゃん本当に大丈夫かい?もう少し休んだ方が」


「いえ、本当にもう大丈夫です。それに行かなきゃならないところがあるんで」

俺はドアを開けて外に出た。空には当然のように青空が広がっている。岩でできた天井も水晶の塊も

そこにはない。当たり前の光景のはずなのにどこか若干の違和感がある。だが久しぶりの太陽の光というのは気持ちいいものだな。残念なことがあるとすればそれは全身の怪我だろう。深い傷はない。すべてかすり傷みたいなものだ。ただし医者には全身に40か所以上の傷があったと言われた。そのせいで治療代は少し高くついた。おかげで手持ちはすっからかんだし、服で隠れているが包帯でグルグル巻き、顔にも絆創膏のようなものをいくつか貼られた。今の俺は全身から薬の匂いがしている。


久しぶりの風呂だと思って喜んだのも束の間、傷口にしみるせいでゆっくりできなかったりとひどい目に遭わされた。本当はもっとゆっくりできればよかったのだが治療代で金がなくなったせいで宿代が払えなくなったというのと、ユウナのことが心配ということでさっさと帰ることにした。


「傷は大丈夫なの?」

そう言って頭上からフィリアが現れた。


「まあ一応な」


「そう。もう行くの?」


「ああ。仲間が待ってる」


「それじゃここでお別れね」


「助けてくれてありがとな。お前がいなかったら今頃どうなってたか」

本当にフィリアがいなければどうなっていたのか分かったものではない。目的を達成するどころかエリアスとも合流できず、4層から抜け出すこともできず死んでいたかもしれないのだ。そう考えればフィリアは本当に命の恩人なのだ。


「な、なによ急に」

フィリアは急にまじめにお礼を言われて照れ臭いのか腕を組んでそっぽを向いた。


「でもまあ私も助けられたしね。お互い様だわ」

そう言って笑った。その笑顔につられて俺の口元も緩む。


「それじゃあ、私は行くわ。ちゃんと為すべきことを成しなさい!」


「お前もな!」

そうしてフィリアとは別れた。さて俺もそろそろ行くとしよう。とりあえず王都に行く馬車を捕まえたいな。歩いて帰るのは現実的ではないし、傷もまだ治っていない。馬車でも数日かかるというのがもどかしいがこればかりはどうにもならない。エリアスたちが無事にブラッドチェリーを届けたと信じて馬車に揺られるとしよう。




「2500ルド貰おうか」


「は?」

ようやく王都に向かう馬車見つけた俺は新たな問題にぶつかっていた。それはこの短い会話でもわかる通り金銭問題だ。この馬車の商人は馬車に乗せてやる代わりに2500ルド払えと要求している。だが先ほど説明した通り俺の所持金は傷の治療代と宿代に消えたためすっからかんだ。どうするよ。このままじゃ帰れないぞ。今すぐに金を作る方法と言えば今からダンジョンに潜ることぐらいだがそんなことをやっていたら馬車が出てしまう。ぐぬぬ、こんなことならダンジョンから金になりそうなものを持ってくればよかった。


やりたくなかったがこうなったらアレを手放すしかない‼


「これでどうにか乗せてくれないか?」


「あぁ?何だこりゃ」


「特別な籠手だ。他では絶対に手に入らない貴重なものだ」

俺は魔改造鎧の籠手を見せた。鎧はメルキムスの攻撃によってバラバラにされてしまったが一部はまだ使える状態だった。だから本当は帰ったらそれらを繋ぎ合わせて鎧を直そうと思っていた。だが金がないというのだから手放さざるを得ない。神器は絶対に手放せないし今俺の手持ちで金になりそうなものなんてこれくらいしかないのだ。


商人は籠手をグルグル回しながら隅々まで見る。


「左手しかないのか?」


「左手しかない。その籠手に馬車の護衛、あと俺の手持ちの666ルドで乗せてくれないか?」

商人は少し考えてまた手甲を見る。これだけやるんだから正直この時点でかなりお得なのではないだろうか。大出血サービスとはまさにこのことよ。


「ダメだね。この籠手は見た目がかなりボロイ。それに左手しかないんじゃゴミ押し付けられてんのと同じだ」


「無情!?」


「悪いねこっちも商売だ」

そう言って商人は馬車を走らせて行ってしまった。こんなひどい出来事があるか?そこは快く乗せてくれるところだろうが!そんでもって手甲がゴミだと!?誰の籠手がゴミだ!ほとんどの攻撃をこの籠手なら防げるんだぞ。あの野郎籠手を逃したことを絶対に後悔させてやる。


だが怒ったところでどうしようもない。確かに片手しかないわけだし、ボロボロだしゴミと思われても仕方がない。腹立たしいがここは大人しくしよう。それよりもどうやって帰るかだ。歩いて帰ることもできるが5日はかかるだろう。そんな悠長にしていられる時間はない。『フェザーダッシュ』もあるが疲れやすい分かかる時間に大差はないだろう。


運良く乗り物の神器とか持っていなかっただろうか。ダメ押しで何か出してみるか。手に力をためて、前に突き出す。


「破っ‼」

渾身の気合を込めた「破っ‼」からポトリと出てきたのはある意味では最強の神器、カロリーメイトだった。(しかも未だに理解できていないメルちゃん味)どうやら俺は乗り物の神器は持っていないらしい。まあ、なんとなくわかっていたさ。俺はため息をつきながら落ちたカロリ―メイトを拾う。涙がちょちょぎれそうです。王都の方向に向かう馬車に途中まで乗せてもらう、という選択肢は金がないし俺が地理を覚えていないためできない。歩いて帰るしかないか。


テンポが悪すぎるだろ、俺の冒険。






??? ある場所にて

ある場所、ある選ばれた者だけが踏み入ることを許された地。そこには海があった。そしてある1つの存在がその向こう、水平線を見つめているかのようにそこにいた。


余談ではあるが彼の存在をどう表現するのが正しいのか、時にそんな話題が持ち上がる。だが明確な答えが出たことはない。理由は簡単で誰にもわからないからだ。なぜいるのか、いつからいるのか、どこから来たのか、そして何者なのか。種族も性別も年齢もすべてが謎に包まれている。確定しているのは彼の存在が神、もしくはそれに近い存在であるということ。そして今も昔も魔人の王であるということだ。


『戻ったか』


「まったく年寄り使いが荒いのぉ」


『だが目覚ましくらいにはなっただろう?』

魔人王は気にする様子もなく水平線を見つめながら言う。メルキムスは肩を回しながら「確かにな」と答える。2人の会話には配下の魔人と支配者の魔人王という支配関係を感じさせない友のような気楽さがあった。


『かなり追い詰められたそうだな』


「逃げていたのかと思えば向かってくるとは・・・一本取られたわい」


『実力は?』


「まだまだ芋虫、と言ったところじゃろうな。だがあれは放っておいてもいずれ羽化するじゃろう」


『根拠は?』


「あやつは本気を出しとらんと感じる。自身も気が付いていないようじゃがな。あの目の奥には何かある。それにして硬化したアマルガムを歪ませるほどの握力。一瞬だが変わった剣筋。異常な体幹。主の言う『異世界人』とは皆あのようなものなのか?」


レイジが一方的に追い詰められているように見えたあの戦い。レイジは間違いなく追い込まれていた。だが実際はそれと同時にありえないようなことがいくつも起きていたのだ。本人もその周囲の者も気が付いてはいなかった。だが唯一遠くから見ていたメルキムスにとってはあらゆることが普通ではなかった。


『奴は特殊だ。他とは根本から出来が違う』

だが魔人王は驚く様子もなく、むしろわかっていたかのように答える。


『状況はわかった。ご苦労だった』

魔人王はそれだけ言うと文字通りその場から消えた。






??? ある『空間』にて

海から離れた魔人王はある空間にいた。そこは誰も知らず、誰も踏み入ることのできない、誰も知らない空間だった。そこには何もない。強いて言えば黒という色がある。メルキムスからの報告を聞いた後魔人王は少し不機嫌なようだった。原因はたった1つだ。


『余計なことをするな』

魔人の王の目線の先にいるのは黒い空間から浮き彫りになっている白いミニワンピースのような服を着た【女】。宙に浮かぶ()()()()()()()()()()()。人の見た目をしているがそれを人と言っていいのかはわからない。一切の異色がない純白の長い髪を広げながら【女】は楽しそうに微笑む。


【さて、何のことかしら?】


『とぼけるな。ダンジョンで坂下レイジを手助けしただろう』


【それについてはむしろ感謝してほしいわ。あのままだと彼、死んでたわよ?】

【女】の体は空中でゆっくりと回転していく。


『例えそうなったとしても手を出すな。あれは』


【特別なのでしょう?そんなことは知っているわ。でもあなたのやり方、本当に意味があるのかしら?】


『それはわからん。だが何もしないよりはいい』


【ふふっ変わらないのね。ずっと・・・昔から】

【女】は懐かしむように目を細める。


『・・・・・お前は変わった』

魔人王はただいつも通りの声色で【女】を見る。


【ええ、でも】

次の瞬間【女】が消えていた。【女】は後ろからゆっくりと黒い炎に包まれた魔人王の首へと伸びていき絡みつくように抱き着く。そして魔人王のすぐ耳元で【女】は囁いた。


【あなたのせいでこうなったのよ】

【女】のその囁き声は何か愛おしさを含みながら、同時に憎しみや悲しみという負の感情が含まれているように聞こえる。だがそんな不気味な言葉でさえ魔人王は変わらぬ態度で聞いていた。


【私はあなたが好きよ。好意という域を超えて、愛という域を超えて。数値や言葉では表せないほどに。

でもそれと同時にとても憎いわ。今すぐあなたの喉を裂いてしまいたいほどにね】


『そんなものに興味はない。そして私の目的には関係ない』

と魔人王は【女】の腕をほどく。そして最後に『忠告はした』とだけ言うとその場から姿を消した。

1人その空間に残された女はまた空中でくるりと回ると静かにつぶやいた。



【始めましょう。新たなる物語を】





ハイデン王都にて

馬車に乗せてもらえず途方に暮れていた俺は結局歩いてハイデン王都に帰ってきた。途中で馬車に追い越されることが何度かあってそのたびにイライラさせられ、野宿し、傷を痛めながらも俺は自力で帰ってきたぞ。まさか本当に5日かかることになるとは思わなかったぞ。そして今はようやく家の前だ。家の玄関の取っ手を掴む。ゴクリと唾を飲んだ。大丈夫、何も心配することはない。問題は解決しているはずだ。


俺は取っ手を掴みなおして勢いよくドアを開けた。ビビっていたって結果が変わるわけじゃない。どうあがいても今起こっていることが結果だ。どんな結果になっていたとしても受け入れるしかないんだ。

さあ、どうだっ!?


「それはそっちに」


「徹底的に磨け!」


「天井まで手が届きません!」


「台でも何でも使うんだよオラァ‼」

なんだ?これは?目の前の光景に俺は言葉どころか思考すらも失ってしまった。家の中には大勢の人たちがいて全員が忙しそうに掃除している。一体いつから家の使用人は増えたのだろうか。家のメイドは水につけておいても増えたりはしないはずだ。俺が玄関で固まっていると掃除をしていた整った髭のおじさんが「旦那様がお戻りになられたぞぉ‼‼」と叫ぶ。すると瞬く間にその場にいた人たちが整列する。


そして声を合わせて「お帰りなさいませ‼旦那様‼」と挨拶してくれる。未だに何が何だかわからず固まっている俺をよそにまた忙しそうに掃除を始める。


「お疲れでしょう。すぐに準備させますので」


「え?」

困惑する俺はやはり無視され、物事が勝手に進んでいく。風呂に運ばれて、メイドたちに頭や体を勝手に洗われ、綺麗な服を着せられてソファに座らされた。物事が爆速で進みすぎてさらについていけない。俺の理解力はもう1、2キロくらい後ろにいるよ?今頑張って走ってるよ?多分。


「今帰ってきたそうね。3週間ぶりくらいかしら?」

机1つ挟んで目の前のソファに座ったのはハイデン王国第二王女、エリザベートだった。


「ニラ買ってきた法然。真空管クリック台柱?」


「は?」


「あ、『今帰ってきたそうね。3週間ぶりくらいかしら?』か」

ようやく俺の理解力が現状に追いついたらしい。意外とすぐに追いついてくれたので助かる。それにしてもエリザベートに会うのは本当に久しぶりだ。変わらない様子で何より。


「なんでお前がここに?というかこの現状は何?」


「実は・・・」




エリザベートの話を聞いてこうなった理由はわかった。よくわからないけどわかった。俺なりに簡単に

まとめると、まず国王がキメラ事件の解決に助力した俺に何かしら報酬を出したかったらしい。そこで俺に何がいいか聞こうとしたが俺が長期にわたり留守にしていたため聞くことも報酬を出すことも出来なかった。


そのため受けた借りをできるだけ早く返したい性分の国王が発狂、それ見た王妃が国王をフライパンで殴った(どういうこと?)。ついに我慢が限界に達した国王が俺の家に押しかけてきて、現状を知り、

「せっかくだし、手伝うか」という軽いノリで大量の使用人が家に来た。


そして現在に至るらしい。簡単にまとめたつもりだが全然まとまってないな。というかあまり理解できないというか、わかりづらいというか。何が何だかよくわからないのは俺だけではないはずだ。報酬が出せなくて発狂するってどういうこと?王妃が国王をフライパンで殴るってどういうこと!?俺がいない間に

一体何があったの!?


「混乱するのはわかるわ。でも事実を説明しただけなのよ」

エリザベートは額に手を当てて困ったように言う。身内が意味わからんことで発狂したり、フライパン振り回したりコイツも大変なんだなぁ。


「それで、何か欲しいものとかないの?」

実は欲しいものというか、やりたいことはすでに決まっている。それはこの国の奴隷に関することだ。

それだけはどうにかしたかった。あの日見た奴隷が虐げられていたあの光景を忘れることも日常にする

ことも俺には出来ない。普通なら何ができるというわけでもないが王族に頼めばどうにかしてもらえる

かもしれない。さすがに奴隷1人1人を買っていくほどの財産は俺にはない。ただでさえ日々の生活を維持するので精一杯なのだ。それにそんなことをやっていても意味はない。ここは直接、奴隷制度をなくす方が早い。


「一応言っておくけど奴隷制度とか地下での闇商売については廃止するつもりはないわよ」

そんな俺の考えを読んでいたかのようにエリザベートは先に言う。


「なに?」


「もちろん薬物とか地上での闇商売は見逃すつもりはないわ。でも奴隷制度と地下の闇商売には需要があるの」


「悪い奴らを見逃す理由があると?」


「納得できないのはわかるわ。国王だってやりたくてやってるわけではないしね。でもこの国を維持していくためには仕方ないことなの。奴隷制度は国に力があることの証明、闇商人は表では出回らない他国の情報を持っている。領土、権力がこの大陸で3番目に大きな国。『3番目』は強いけど同時に一番手が届きやすいということでもあるの。上の国からも、下の国からもね。だからこの国はいつ何に攻められても

おかしくない。人を、領土を、国を守るためならどんなことだってするわ。それが王族としての責務よ」


俺は頭をかく。納得したくはないが最悪な制度がこの国が他国に与える圧力を強めているということ。国を守るための制度だということには納得せざるを得ない。正義を貫けば貫くほど国は弱まる。政治と悪事は切り離せない関係にあるということか。俺は政治に詳しいわけじゃない。政治に関わっている以上俺にはどうこう言えない。なぜなら俺は()()()()()()()()()()()


「カーリーが言っていたわ。あなたは優しすぎるって」


「・・・・・」


「でも奴隷たちを助けられないわけではないわ。教会が奴隷たちを買い取って世話をしているそうよ」


「ならそこを支援してやってくれ」


「ええ、それがあなたの望みに1番近いでしょうしね」

エリザベートは立ち上がると「ごめんなさい。帰ってきたばかりなのに」とだけ言ってそこを後にした。

俺はソファに座ったままうつむいていた。悔しいわけでも、腹が立つわけでもなく、ただ沈んだ暗い気分になっていた。結局、俺は何もしていない。ただ周りの出来事に振り回されて、なんとなく解決できているだけだ。そう思いと自分がひどくちっぽけな存在に思えた。


俺は立ち上がってユウナに会うことにした。あのまま沈んでいたってどうしようもない。この気分はすぐには消えないだろうがそれでもいい。どれだけ自分を落としていったって生まれるのは自己嫌悪とみじめな自分だけだ。そんなものは気持ち悪くてしょうがない。


俺はユウナの部屋のドアをノックした。

「俺だけど、入っていいか?」


「ええ、どうぞ」

ドアを開けるとベッドの上にユウナがいた。

前に見たときのように全身に亀裂のようなものはない。その姿を見て安心した。苦労の末、ユウナを救うことができたのだ。


「調子は?」


「だいぶ良くなったわ。まだ安静にしてろって言われたけどね」


「そうか」


「・・・・・」


「・・・・・」

久しぶりに会うからだろうか。会話が長続きしない。いやそもそもユウナとの会話が長く続いたことなんてなかったかもしれない。でもそれでもいい。例え沈黙が続いたとしてもそこには確かに風見ユウナという仲間がいる。そう思うだけで何だか救われたような気がする。


「座ったら?」


「あ、ああ」

俺は椅子に座る。うーむ何か良い感じの会話を切り出さねば。とは思ったもののダンジョンでの出来事はただの地獄だし、王都の方では何が起きていたのかなんて当然知らない。こういうとき気の利く男になりたいものだ。


「1つだけ謝りたいことがあるの」


「なんだ?」


「あなたが私の病気に気が付いたとき、私、すごく不安で怖くて動揺してて。あなたにひどい態度とったんじゃないかって」


「いや、別に何も気にしてないぜ。誰だって知らないものは怖い。多分あれが普通だ」


「そう、ごめんなさい」


「謝るなよ。別に悪いことじゃない」

うーむ、やりづらい。いつも以上にしんなりしてるからどう反応したものかと少し迷ってしまう。

俺は戸惑いつつもどうにか応答している。


「すごく不安だった。もしかしたら間に合わないんじゃないかって、明日死ぬんじゃないかって。でも間に合った。そこにあなたはいなかったけど間に合わせてくれた」


ユウナは穏やかな表情で一言だけ俺に告げた。風に撫でられてカーテンがふわりと舞う。


「ありがとう」

たったそれだけの言葉とその表情。俺のすべての思考が停止した。いや、吹っ飛んだのかもしれない。どちらにせよその瞬間、俺は完全に無になった。何故かはわからない。どこか驚かされたような気分。俺は今どんな顔をしているのだろうか。わからない。ふわりと舞うカーテンや穏やかな光のせいだろうか。

なんだかとても、


「綺麗だ・・・・・いやなんでもない!」

危ない危ない、これは口を滑らせたら何か壮大な誤解を生んでいただろう。さすがの俺でも知っている。

こういうときにこういうことを言うとそれは告白同然だと。いやぁ危ないところでしたな。は?もう盛大に滑り倒しているだろって?3秒以内に訂正してるからセーフセーフ。


「?何が?」

ほら本人もよくわかってないみたいだから問題なし。


「いい天気だなぁと思ってな」


「そうね。だいぶ暖かくなってきたしもうすぐ夏かしらね」


「元気になったらまたクエスト一緒に行こうぜ」


「ええ、体がなまってるもの運動しなきゃね」


それから2人でゆっくり話した。何か特別なことがあるわけでもない。何気ないただのおしゃべり。でもそんな小さな日常がとても幸せに感じられた。


お久しぶりです。作者の春深喜はるふかきです。

このたびは『それでも転生者は異世界を生きていくようです』の「ダンジョン探索編」をお読みいただきましてありがとうございます。


今回は混沌や力の差など少し絶望を覚えることをテーマに執筆しました。正直どうでしたか?

ダンジョンの4層でのシーンは隣にいたエリアスが突然消えたり、突然場面が飛んだりと何が何だか

わからず混乱する場面が多かったのではないでしょうか。今回のテーマ的にそうなっていると個人的には「計画通り」という感じです。まあそのせいで私自身が作業の途中で何回か困惑しましたが(笑)


さて、今回はそんなダンジョンでの苦戦を主軸に物語を組んでいったわけですが、作中の通りダンジョンはかなり危険なところです。実際レイジたちはかなり危機的な状況を迎え、物語の後半では魔人メルキムスとメルキムスが操るアマルガム(通称 黒騎士)の登場でさらに追い込まれていきます。


普段なら難題にぶつかってもなんだかんだ力押しで解決したり、都合のいい神器やらでどうにかしているためそこそこ強く、大きく見えるレイジですが、今回の「ダンジョン探索編」で転生者のレイジがどれだけ小さな存在なのか読者の皆様にも伝わったと思います。またレイジの弱みが心の弱さであったり、怖いことや嫌なことなど、時々特殊な事情が見え隠れしているとはいえレイジが普通の少年と大差ない存在だということもわかったでしょう。




さてさて本当はまだ書きたいことがたくさんあるのですが1万文字くらい使ってしまいそうなので筆を置くことにしましょう。後書きではなかなか書きたいことを書ききれないものですね(笑)


ブックマークしてくれた方々、ありがとうございます。気が付けば80人以上の方にブックマークされていて驚きました。これを励みに頑張って書いていきたいと思います。


感想、誤字報告お待ちしております。


今回、全体的に投稿遅くなってしまってすみませんでした。これからもよろしくお願いします。

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