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また忙しくなるな

相手が電気系統の技を持っているなら普通の金属類は危険と考えるべきだが素手で戦うことはできない。超がつくほど危険だが神器を装備する。今までの経験上電撃に当たったことは無論ない。だからどんな感覚なのかもわからない。雷撃に当たればその時点でゲームオーバーになるかもしれないな。


なら、単純な話やられる前に仕掛ける!踏み出して剣を振るが躱される。思ったよりも素早い。

キメラの方も俺から距離をとり雷撃を放つ。弾丸のように放たれた雷撃を必要最小限の動きで避ける。

通り過ぎた雷撃はそのまま後ろの木に直撃し大きな穴をあけた。今の威力、絶対に当たりたくない。

かすっただけでも重症になるような気がする。


強力な電気攻撃を持つ飛行可能な四足歩行型合成動物、か。オーバーロードほどではないだろうがこいつも厄介な敵だ。しかも攻撃が木を貫通するほどの威力。当たりどころによっては治癒能力が働く前に死ぬ。


魔法でシールドを作り雷撃に備える。左手の指先に張り付いているような見た目で薄いガラス板のようなシールドが形成されている。今はこの魔法シールドに命を預けるしかない。雷撃がこのシールドを貫通したが最後、俺はこの世界からおさらばしなければならない。


立て続けに雷撃が飛んでくる。防ぎつつ距離を詰める。

今度は逃さない。ここでケリをつけてやる。そしてキメラは呆気なく振り下ろした剣に切られた。だがそれでも「まだ死なん」と4本の足に力を入れて立とうとする。だがその足は震え今にも崩れそうであった。


「悪いな」

俺はキメラにとどめを刺した。別に悪いことをしているわけではない。なのに後味が悪い。このキメラは20人の騎士を殺した本物の怪物だ。他の所ではもっと殺しているかもしれない。だからこれは当然の報いで

これが正しい選択であり、間違いなどない。


だがそれでも生きるため立とうとする姿を見て俺は一瞬躊躇ってしまった。一瞬、ほんの一瞬だけ「こいつも生きたいんだな」と思ってしまった。もしこいつが人間だったなら俺は絶対に情けをかけただろう。きっと殺そうとはしなかった。殺せたのはこのキメラが起こした残虐な事件と俺の人間ではないという残酷な思考があったから。


俺はキメラの亡骸に手を合わせ改めて詫びを入れた。

よし、やることはやった。とりあえず穴でも掘ってこいつを埋めてやろう。このままにしておくのはなんというか後味が悪くなりそうだ。俺は簡易的ではあるが穴を掘ってキメラを埋めた。


エリザベートには死体の回収はできなかったとだけ

言っておこう。今あったことをバカ正直に教えたらぶん殴られそうだ。

遠くから足音が近づいてくる。おそらくさっきの2人だ。俺はジャンプして木の上に登るとそこから木から木へと移動しその場を離れた。




「クソっどこだ!?こっちの方から聞こえたが」

2人は辺りを見回してキメラを探す。女の方が地面の血痕に気がついた。屈んで血痕を調べる。

「見ろヤツの血だ。ここで何かと戦ったらしい」


「戦ったって、相手はキメラだぞ!?この辺りに上級のモンスターはいないはずだろ?冒険者か?」


「いや、大勢で戦ったなら何かしらの痕跡が残るはず、1人でキメラと戦えるはずはないからな。だがそれもない。血がこの一帯にしかないことから何かに捕食でもされた、か」


「キメラを丸飲みしたとでも言う気か?」


「わからん。だが我々の知らない何かがいるのは間違いない」

女は弓を握る力を強めた。この森、この世界には自分達が予想もしていないような何かがいると感じ取った。




キメラは倒したし一旦帰るか。ここからまた3日ほどかけて王都に戻るのも面倒だな。この世界には当然バイクも原付もない。馬はいるけど俺が乗れないからないにも等しい。改めて元の世界がどれだけ便利だったかを思い知る。


あーあバイク乗りてえ。まあ家にあったのは原付だったけど。学校の駐輪場に止めてあった(放置に近い)バイクに時々乗ってよく遊びに行っていたのを思い出す。普段乗ってるときは風があって良いんだけど夏が終わりに近づいてくると少し寒い。

しかも後ろに人を乗っけていると事故起こさないか心配でしょうがないというデメリットがあるけどな。


何かそういう乗り物とかないのかな。毎回歩いて帰るの嫌なんだけど。確かこの世界で1番技術が進んでいるのはグリなんちゃら帝国だったはず。どのくらい進んでいるのかは知らないが蒸気がうんぬんって言ってたからスチームパンクみたいな感じなのだろうか。


そうだとすればバイクに近いものくらいはありそうだな。

どんなところなのか知らないがいつか行ってみたいものだ。


呑気に木から木へと飛び移っていたその時横から何かが飛んできて俺の腹に直撃した。体から強制的に息が抜ける。何もできずにそのまま木から落ちた。


「クソっ何だ!?」

すぐに体勢を整えあたりを見回すが何の姿もない。だがやっぱり何かいる。耳を澄ますと風に吹かれる木や草の音の中にそれらとは違う音が混じっている。何かが移動する音だ。

結構速いな、しかも1体じゃない。


冷静に状況を整理する。まず今わかる相手の情報として移動が速い。そのうえ姿が見えない。おそらくサイズが小さいものと思われる。次に1体ではない。確実に3、4以上いる。あと地味に力が強い。


次に俺が置かれている状況。まあ考えるまでもないが囲まれている。つまり完全に獲物として認識されているというわけだ。場所は背の高いが数本、地面は背の高い草が生えているため視界が悪い。


結論。視覚はあてにならず、移動も得策ではない。大事なのは聴覚と相手の気配を感じる感覚。

俺は目を閉じて全神経を耳に集中させて周囲の音を聞く。一瞬の草の動く音、1、2歩で木を登る足音。すべてが俺の周囲をグルグルと回っているのがわかる。そして次の瞬間すべての音が消える。


俺はしゃがむと同時に目を開ける。上を見るとそこにいたのは猿のようなモンスターだった。予測どおりこちらに向かって一斉に飛びかかってきたらしい。両手に剣を装備しそのままハサミのように両方向から剣を振り上げる。


空中で逃げることはできない。無慈悲にも2つの刃は猿どもを捉えハサミで紙を切るかのようにバッサリとその胴体を真っ二つにした。


俺は切った猿どもを見てゾッとした。その姿は猿ではない。そして明らかに自然界の生き物ではなかった。ある猿は鋭い爪があり、別の猿はサーベルタイガーを思わせるような長い牙があり、

また別の猿は腕が4本あった。それぞれが全く違う形の同じ

生き物。



あまりにも不自然な体のパーツ。それが何を意味するのかバカな俺でさえも、というよりもさっき戦った俺だからこそわかった。

こいつもさっきのライオンと同じキメラだ。あのライオン以外にもキメラがいたらしい。


じっくり考えるのは後でいい。こいつらがキメラなら状況は一変し油断はできない。今倒したのは4体か。まだ何体かいるはずだ。現に周りから移動する音が聞こえる。まだ俺を倒すことを諦めていないらしい。

数が多いな。


本気を出せば別に手こずるような相手じゃない。

問題なのは強さの上限だ。この一帯を更地に変えることぐらいは造作もないだろうが一体どこまでの範囲が吹き飛ぶのかわからない。近くに人がいれば巻き込む可能性が高い。


だがここで俺の良くない癖が出てしまう。それは本気を出した時に何が起きるのか試したいという欲求、好奇心と言う名の悪魔。

だがどのみち敵は多いし、早いうちに自分の今の限界を知らなければならない。そういう意味では絶好の機会と言える。


そしてその好奇心を止めるものは何もない。


手から魔力が流れ出し神器に流れ込む。その魔力は高濃度になり

神器が発光を始める。更に魔力を流し込むとビリビリと電気のように音を立て始めた。流れ込んだ魔力が行き場をなくし空気を限界まで入れた風船のように破裂寸前になっている。神器は蛍光灯でも握っているかと突っ込みたくなるほどの光に包まれ元がどんなものだったのかもわからない。


体が重たいし少しクラクラする。体から急激に魔力が抜けたせいで軽い貧血みたいな状態になっているのか。持っている神器が普段より重く感じる。両手でギュッと握りって構える。


神器をくるりとまわし逆手持ちにするとそのまま地面に突き立てた。魔力が溢れ出し圧倒的な力が周囲を巻き込み閃光がその一帯をあっという間に白く塗りつぶす。そして音も無くすべてが消えた。

俺が次に見たのは変わり果てた風景だった。光を遮るほどの木々も足元を隠すように生えていた背の高い草もない。俺が立っていたのはクレーターだった。地面も含めて周囲の何もかもが消滅してしまった。


周囲にいたキメラたちはもういない。破壊の光によってすでに倒されたキメラも俺を囲んでいたキメラも跡形もなく消えてしまった。


「まさかここまで吹き飛ぶとはな」

俺自身が大量破壊爆弾みたいなものだな。まあいいさ、どうせこの先本気を出す場面なんてほとんどないし気にする必要もない。とにかく今は周辺のキメラを倒さないと。この数からするとキメラの総数は5、6匹などという甘いものではないはずだ。もっと多く、もっと凶暴なのもたくさんいるとみるべきだろう。


アイツらは恐れることなく人を襲うからこのまま放っておけば必ず人類の脅威になる。当然このまま放置することはできない。しかもこの森だけでもすでに2種類のキメラに出会っているためすでに考えたくもない数がこの周辺にいる可能性が高い。キメラに生殖機能があるのかわからないが、もし自分で増える機能があるならのんびりしていると数が増えて余計に面倒くさいことになる。


「はぁ~」

俺はため息をついてボリボリと頭をかいた。どうやら思っていたよりも面倒なことに巻き込まれてしまった。これが終わったら帰ってゆっくりできると思ったんだがまたしてもしばらく帰れないらしい。


少なくともこの周辺のキメラを全滅させるまでは帰るわけにはいかない。

何日かかるかわからないが全滅までいけなくても数は減らしておかないと手を付けられなくなるのは明白、

冒険者や一般人が襲われる確率も高くなる。戦った感じキメラは弱くないし多分頭も悪くない普通の冒険者が戦えるとは思えない。となると必然的に俺みたいな転生者や上級の冒険者の仕事になるわけですね。

お仕事(面倒ごと)くれて本当にありがとうございます。


しかも今回は俺1人だけのソロですかそうですか。まあ居合わせたのが俺だけだから仕方ないんだけど。

グチグチ言っていても始まらないし奴ら探して地道に狩っていくしかないか。やれやれ次は一体いつ帰れるかな。


唐突な横パンチ。


ドサッとすぐそばで何かが落ちた。

それは先ほどの猿のような見た目ではあったが足の形がさっきの奴らと違う別のキメラだった。

ほらそんなこと思っていたらもう次のキメラが来やがった。

この一帯はもうキメラだらけなのか。なら早速働くとしようじゃないか。


「さあ、狩りの始まりだ」

やるかやられるか、キメラとの戦いが今始まった。


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